第二十部 第2期新人たち
毎年、桜が咲き始める頃。
久世庵の門の前に、静かに札がかかる。
【春季限定・数量限定】
桜愁団子 本日分終了あり
朝は普通の客。
昼には噂。
夕方には行列。
団子の特徴
・淡い桜色
・花びらのような模様
・自然エネルギーで一つ一つ手作り
・作れるのはエーテルだけ
だから――
一日に作れる数が決まっている。
食べた人の反応(名物化)
「甘いのに……なんで泣きそうになるの?」
「昔好きだった人の顔浮かんだんだけど……」
「これ、人生の味だよ……」
中にはその場で静かに涙を流す客も。
口コミが広がる
・“思い出を食べる団子”
・“春しか出会えない奇跡の和菓子”
・“人生で一度は食べるべき団子”
SNSも毎年この季節だけ桜愁団子一色。
でもエーテルは騒がない
売り切れ札を出したあと、縁側で静かに桜を見る。
かやが隣に座る。
「今年も…完売だね」
エーテルは小さく頷くだけ。
そして指で書く。
「今年も、桜が守ってくれた」
かやの心の声
(この団子は、私たちが生き延びた証なんだ)
団子シリーズ第二弾
――《暁活団子》――
“眠気を消すんじゃない。魂を起こす。”
コンセプト
・カフェインゼロ
・胃に優しい
・自然エネルギーを微量含有
・朝専用団子
見た目
淡い橙色と白の二色団子。
表面にはほんのり金粉のような光。
朝日みたいな色。
効果(あくまで自然由来)
・頭がスッと冴える
・呼吸が深くなる
・肩の重さが軽く感じる
・「今日もやるか」と思える
眠気を飛ばすんじゃない。
生きるスイッチを押す団子。
社会人の反応
「エナドリより優しいのに、ちゃんと目が覚める…」
「午後も落ちないのがすごい」
「ブラック企業の味方」
「会議前に1本で戦える」
久世庵前・朝限定販売
朝6時〜9時のみ販売。
スーツ姿の人が並ぶ。
公安の常連も買っていく。
教授も買う。
会社員もOLもトラック運転手も。
エーテルの本音
「身体を無理やり起こすんじゃない。
心が前を向くように少し背中を押すだけだ」
かやの評価
「……これ、売れすぎるわよ」
実際、
桜愁団子は“心の回復”
暁活団子は“日常の回復”
って感じでシリーズ化できる。
学生向けシリーズ
――《青春脈団子》――
「焦らなくていい。でも、止まらなくていい。」
コンセプト
・テスト前
・部活前
・受験期
・失恋直後
・進路に迷ってる時
“焦燥感を燃料に変える団子”
見た目
三色構成:
薄桜色(感情)
白(意志)
淡い若草色(成長)
全体はパステル寄りで、学生らしい優しい色。
効果(自然エネルギー微量)
・頭がクリアになる
・緊張が“集中”に変わる
・自己否定が少しだけ薄れる
・「まだやれる」って思える
眠気覚ましじゃない。
自分を信じる補助輪。
バリエーション
①《試験前・静心団子》
・青みが強め
・深呼吸したくなる効果
・パニック防止用
②《部活前・瞬走団子》
・ほんのり柑橘風味
・身体が軽く感じる
・瞬発力イメージ
③《失恋後・再芽団子》
・甘さ控えめ
・ほのかに塩味
・泣いた後に食べる用
地元学生の反応
「これ食べると不思議と“まあいっか”ってなる」
「エナドリより優しい」
「受験生の味方すぎる」
販売スタイル
朝:暁活団子
放課後:青春脈団子
団子スペースに制服の学生が増える。
琥珀が接客、
ルミナが明るく話し、
ネメシスがたまに歌ってくれる。
エーテルの裏テーマ
「若い頃の俺に、食わせたかったな」
戦国の頃、
失う前にあればよかった団子。
久世庵・フリースペース《縁の間》
旅館と団子処がひとつになった、誰でも入れる空間。
畳と木の床が混ざった広い間に――
低い机、将棋盤、囲碁盤、長椅子。
窓の外は庭と森。
光景
・おじいちゃんが将棋しながら渋茶すすってる
・学生が団子食べつつ進路相談
・観光客が人生語って泣く
・子供がルミナと遊んでる
・ネメシスが静かに歌って空気が和む
年齢も立場も関係なし。
団子の役割が“商品”から“会話のきっかけ”へ
「一本どう?」
そこから自然に話が始まる。
将棋イベント(非公式)
勝ったら団子1本サービス
エーテルに勝ったらお茶おかわり永久無料
(※ほぼ無理)
たまに
「今日は無言だけど強い日だな」
って常連が察する。
空気感
うるさくない
でも静かすぎない
病院と喫茶店と実家の中間みたいな安心感。
エーテルの本音
「人は戦わなくても生きていける場所が必要なんだよ」
宇宙も神も戦国も越えた末にたどり着いた答えがここ。
エーテルの新作試作 ― 久世庵煎餅
エーテルは庭で自然エネルギーをほんの少しだけ使う。
火は強すぎず、風は優しく、湿気を完璧に調整。
「焼き菓子は力を入れすぎると、心が死ぬ」
とか意味深なことを言いながら。
第一号:素焼き煎餅
パリッと音が気持ちいい。
米の甘みそのまま
渋茶と相性最強
将棋民が無限に食う
常連「これ止まらんやつだ」
第二号:甘醤油煎餅
ほんのり照り。
ルミナ「これおやつ枠!」
ネメシス「いや主食」
第三号:抹茶塩煎餅(エーテル暴走枠)
大人向け。
渋茶と合わせると脳がとろける。
和菓子セット構想(試作段階)
団子3種
煎餅2〜3種
渋茶ティーバッグ(自然エネルギー版)
その名も仮:
「久世庵 くつろぎ箱」
試食会の空気
・橘蒼が真顔で10枚食う
・公安のおっちゃんが追加注文
・ルミナが煎餅で太鼓叩く
・ネメシスが歌いながら食べる
エーテルは縁側で静かに笑って見てる。
エーテルの狙い
「甘いだけじゃ人は落ち着かない。
しょっぱい場所があるから、甘さが生きる」
もう完全に人生哲学。
久世庵「くつろぎ箱」静かに販売開始
派手な宣伝なし。
SNSも使わず、旅館とフリースペースのみ。
ただ木箱に焼印で——
久世庵の文字。
中身は
・桜愁団子(季節限定)
・活力団子
・学生向け団子
・素焼き煎餅
・甘醤油煎餅
・抹茶塩煎餅
・自然渋茶
最初の客の反応
最初は半信半疑。
「ちょっと高いな…」
↓
その夜。
「…なにこれ、心落ち着きすぎる」
「団子で泣いたんだけど」
「煎餅が主役レベル」
口コミの広がり方が静かで怖い
・旅館レビューに自然発生
・写真ほぼ無し(食べて忘れる)
・文章だけで評価爆上がり
「疲れてる人ほど刺さる」
「これはお菓子じゃなく休息」
「買ったあと人生ちょっと楽になった」
久世庵あるある
売切れ続出なのにエーテルは増産しない。
「急ぐと味が逃げる」
かや「商売する気ある?」
エーテル「ある(ない)」
公安のおっちゃん口コミ
「これ食ってから部下にキレなくなった」
→ 公安内で流行
エーテルの結論
「売れるかより、届くかだな」
完全に職人モード。
偽・くつろぎ箱 出回る
ある日ネットに並ぶ。
「久世庵風 くつろぎ和菓子セット」
「話題の癒し団子を再現!」
見た目は完璧。
桜色の団子
焼印っぽいロゴ
渋茶風ティーバッグ
写真だけ見たら区別つかない。
買った人の第一声
「……あれ?」
「甘いだけ?」
「普通のお菓子じゃん」
「なんか疲れ取れない」
レビューが地獄
★☆☆☆☆
「形だけ似せた別物」
★☆☆☆☆
「久世庵の名前出すな」
★☆☆☆☆
「これ食べて本物欲しくなっただけ」
舌は騙せないと気づく民衆
ある口コミがバズる。
見た目はコピーできても
あの落ち着きと温かさは再現できない
あれは“エネルギー”だ
久世庵側の反応
かや「訴える?」
エーテル(団子焼きながら)
「放っとけ。舌が裁く」
数日後——
偽物、売れ残りワゴン行き。
本物の価値だけ爆上がり
「本家しか勝たん」現象発生
・予約殺到
・くつろぎ箱は抽選制へ
・転売アンチ運動発生
エーテルの一言が刺さる
「真似できるのは形までだ。
心までは焼けねぇよ。」
くつろぎ箱の新ルール発表
公式(といっても旅館の縁側の手書き札)
くつろぎ箱は現在【抽選制】
ただし――
久世庵にご宿泊されたお客様には
必ず一箱、無料でお渡しします。
世間の反応がバグる
「え、泊まるだけでもらえるの!?」
「普通逆じゃない??」
「金で買えなくて、思い出で貰えるやつじゃん…」
宿泊=体験型報酬システム
・団子を縁側で食べる
・将棋を指す
・エーテルと少し話す
・森の静けさを味わう
その体験の締めくくりとして渡されるくつろぎ箱。
客の名言が量産される
「箱より、あの時間が一番のご褒美だった」
「くつろぎ箱は余韻」
「帰ってから開けると泣く」
結果
転売価値ゼロ(体験込みじゃないと意味ない)
偽物完全死亡
久世庵=人生の休憩所ポジション確立
エーテルの静かな本音
「売るもんじゃない。
持ち帰る“静けさ”だ。」
縁側で団子を焼きながら、ふっと――
「……焼き加減、これくらいが一番うまい」
自分でも一瞬固まるエーテル。
湯気の向こうでかやが目を見開く。
「……今、喋った?」
「……あれ。ほんとだ」
誰も治したわけじゃない。
無理に戻したわけでもない。
日常の中で自然に戻ってた声。
これが自然エネルギーと人間として生きた証なんだよね。
その夜、静かに相談するエーテル。
「なぁ、かや」
「今の久世庵さ、ありがたいことに人増えてきただろ」
「団子も、煎餅も、くつろぎ箱も……俺一人じゃ追いつかない」
少し迷ってから続ける。
「昔みたいにさ……人格たち呼び出して、
手伝ってもらってもいいと思う?」
かやの反応が最高にリアルでいい。
「……あのオラオラとか王子様とか?」
「チャラいやつも、アホも?」
エーテル苦笑。
「一応、全員俺なんだけどな」
かやの答え。
「逃げるためじゃなくて、
“みんなを幸せにするため”に使うならいいと思う」
「でも条件ある」
かやルール
・家族より人格優先しない
・暴走したら即停止
・夜は普通のエーテルに戻る
エーテルが軽く敬礼。
「了解、女将殿」
そして翌朝――
縁側に並ぶ異様な光景。
真面目職人気質エーテル → 団子量産
無口集中型エーテル → 煎餅焼き
王子様エーテル → 接客で客が昇天
オラオラエーテル → 重たい荷運び
アホエーテル → 子供と遊び担当
久世庵、一気に回り始める。
かやが呆然と一言。
「……旅館というより国じゃない?」
エーテル:
「小国家久世庵です」
久世庵・絶対的財務大臣 琥珀
エーテル(通常)
「会計は全部琥珀に任せてる。俺より信頼できる」
かや
「異論なし」
全人格一致で
“琥珀だけはガチで信用してる”
そして始まる人格別・琥珀甘やかし地獄
オラオラ系エーテル
「琥珀よォ!!重い金庫持つな!俺がやる!!」
「指一本動かすな!!」
王子様系エーテル
「琥珀、少し休憩を。お茶はこちらで淹れました」
「君の手が荒れてはいけない」
職人系エーテル
無言で肩に羽織ものをかける
そっと甘味を置く
アホ系エーテル
「こはく〜!がんばっててえらい!!」
(謎の花冠作ってかぶせる)
琥珀「ちょ、ちょっと皆さん近いです……!」
客たちの反応
「え、あの子……国家レベルで保護されてない?」 「VIP中のVIPじゃん」
かやが腕組みして一言。
「久世庵の金を握ってる人だからね」
「そりゃ全神格から溺愛されるわ」
そして理由が深い
エーテルの独白が最高に刺さる。
「俺は世界を創ったけど」
「琥珀は、俺の人生を支えてくれたからな」
「戦国でも、今でも」
「金を任せられるのは琥珀だけだ」
琥珀、静かに頭下げる。
「……過分です、主」
人格たち一斉に
「過分じゃない!!!!!」
新商品:双運だんご — 運命の二択団子
見た目
同じ色
同じ香り(ほんのり桜+蜜)
完全に判別不可
中身だけが違う。
吉団子 → 甘くてとろける幸福味
凶団子 → 見た目詐欺レベルの激辛団子
エーテルの説明
「どっちを選ぶかは今の運気が引き寄せる」
「甘ければ今日は良い流れ」
「辛ければ無理せず休めってサインだな」
旅館内で大流行
客同士で
「せーの!」
「うわ甘っ!人生うまくいく気しかしない!」
「ぎゃああああああ!!!水!!水!!」
琥珀が帳簿つけながら一言
「売上と悲鳴が比例してます……」
家族でやる回
ルミナ → 甘団子
「今日は絶対いい日だよ!」
ネメシス → 辛団子
(無言で涙目)
エーテル、即抱きしめて
「はいはい災難引き受けてくれてありがとうな」
かや
「それ慰め方おかしいでしょ」
さらにエーテルの悪ノリ進化
・激辛率アップイベントデー
・全甘デー(平和)
・超地獄デー(阿鼻叫喚)
口コミ爆発
「楽しいのに美味しい」
「運試しで盛り上がる旅館初めて」
「辛いの引いたけどまたやりたい」
天国?地獄!ドキドキチャレンジ
盆の上には――
見た目も香りも同じ団子が5本。
そのうち
1本だけが“天国の甘団子”
4本が“地獄の激辛団子”
ルール
甘団子を引けたら
渋茶10回無料券ゲット!
外したら
静かに悶絶(旅館の品格)
スタッフの本気コスプレ
エーテル:白い羽の天使(やたら神々しい)
琥珀:小悪魔メイド(帳簿持ってるのがシュール)
ネメシス:黒羽悪魔(圧倒的人気)
ルミナ:ちび天使(反則級の可愛さ)
エーテル(にこにこ)
「さぁ運命を選びなさい
人生はだいたいこんな感じだ」
ネメシス(悪魔スマイル)
「地獄引いたら僕と一緒に苦しもう?」
(客、震える)
ルミナ(天使ボイス)
「甘いの当ててね〜!応援してるよ〜!」
(ほぼ勝ち確空気)
チャレンジ風景
客A
「よし…これだ!」
「あっま!!!人生最高!!」
客B
「じゃあ俺も!」
「ぐあああああああ!!」
渋茶を一気飲みする流れが名物に。
琥珀(冷静に)
「本日すでに渋茶30杯出てます」
家族も挑戦
ルミナ → 天国当てる
「ほらね〜!」
ネメシス → 地獄
(顔真っ赤)
エーテル即抱きしめる
「はいはいよく耐えたな英雄」
かや
「それ甘やかしすぎ」
結果
客の笑い声止まらない
リピーター爆増
SNSで拡散
「団子でここまで盛り上がる旅館初めて」
夕方の久世庵。
団子スペースでは今日も天国?地獄!チャレンジで悲鳴と笑い声。
その時――
砂利道を歩く、聞き慣れた足音。
エーテルがふと顔を上げる。
「……あの歩き方」
門の前に立っていたのは
日焼けして少し痩せた、でも相変わらず無骨な男。
難波だった。
肩には旅の荷物。
目には長い旅をしてきた人間の色。
難波
「……よう。帰ってきたぞ」
一瞬、空気が止まって――
ルミナが最初に叫ぶ。
「なんばーーー!!!!!」
ミラとルークも走る!
ネメシスは一瞬照れてから近づく。
エーテルは静かに歩み寄って、
難波の肩をポンと叩く。
「……生きてたな」
難波
「殺すなよ」
かやが笑いながらタオル持ってくる。
「まずは座りなさい。団子食べな」
難波、団子チャレンジ参加
ネメシス(悪魔モード)
「旅帰りには地獄が似合うよ」
難波
「上等だ」
ひと口――
「ぐおおおおお!!!!」
即エーテルに渋茶ぶち込まれる。
エーテル(ニヤリ)
「帰還祝いだ」
難波
「殺意高すぎだろこの旅館!!」
その後、縁側で夕焼けを見ながら語る難波。
・色んな国を回ったこと
・人の強さも弱さも見たこと
・でも結局帰りたくなった場所がここだったこと
難波
「不思議だな……
世界回ったのに、ここが一番落ち着く」
エーテル
「帰る場所がある旅は、いい旅だ」
ネメシスがそっと隣に座る。
「……もう行かない?」
難波
「当分な」
久世庵に、また一人家族が戻った瞬間。
久世庵の縁側。
団子と渋茶を囲むのは――
いつの間にか老人たちの指定席の中心=難波。
「兄ちゃん、若い頃な……」
「うちの孫がな……」
難波は腕組みして静かに聞く。
「……焦るな。人生は逃げねぇ」
「やり直しは効く。諦めた時だけ終わる」
エーテル(小声) 「いつの間に人生二周目みたいな貫禄出した」
かや 「旅で覚醒したタイプね」
そして若者組も集まる
高校生
「進路どうしたらいいっすか…」
難波
「迷ってるなら動け。失敗は経験になる」
大学生
「夢追っていいんですかね…」
難波
「追え。現実は逃げねぇが夢は逃げる」
ネメシス(小声)
「完全に人生相談窓口」
ルミナ
「しかも無料」
気づけば
・老人の健康相談
・恋愛相談
・就職相談
・人生のやり直し相談
全部難波のとこへ。
エーテルがぼそっと。
「……この旅館で一番人救ってるの、団子でも俺でもなく難波だな」
難波
「うるせぇ」
そしてある日貼り紙。
“人生相談:難波さん 夕方〜縁側”
夏休みの久世庵・フリースペース
縁側の外は蝉の声。
中では団子と渋茶を片手に――学生だらけ。
机には参考書、ノート、単語帳。
「すみません、活力団子追加で!」
「渋茶おかわりいいですか?」
完全に和風スタディカフェ化。
難波先生、降臨
「はい、そこ。be動詞と一般動詞混ぜんな」
英語の質問を受けたかと思えば――
フランス語も、ドイツ語も、スペイン語も、中国語もスラスラ。
留学生が驚く。
「Wait… you speak Japanese, English, and French too?」
難波、即座にフランス語で返す。
「当然だ。旅は教科書より優秀だ」
学生一同ざわつく。
ルミナ(小声)
「かっこよすぎない?」
ネメシス
「無双モード入ってる」
そこへ静かに現れる――ナポリネス
参考書を覗き込む。
「……その解法、非効率だね」
ペンを取って一瞬で別解を提示。
二次関数、ベクトル、微積、確率――
高校範囲が一瞬で崩壊。
学生
「え……先生ですか?」
ナポリネス
「違う。」
エーテル(遠くから団子焼きながら)
「家庭教師で大学建てた男だぞ」
役割分担が自然にできる
難波:語学・人生相談
ナポリネス:数学無双
エーテル:団子と空間演出
ネメシス:BGM生配信(勉強用Lo-fi)
ルミナ:小学生の宿題係
完璧すぎる布陣。
夜になると
提灯の灯り。
難波が英語でディスカッション講座。
ナポリネスが数学オリンピック問題を出題。
学生たちが本気になる。
「ここ来てから成績上がった…」
「なんか集中できるんだよな」
エーテルは気づく。
自然エネルギーは使ってない。
でも――
“空気”が整っている。
人の意志が集まる場所は強い。
そして問題発生
噂が広がる。
「久世庵、神がいるレベルの勉強会らしい」
予約殺到。
かや
「……団子より勉強会が本業になりそうね?」
エーテル
「団子が本業です」
久世庵はあくまで「旅館」
外観はそのまま。
古風な木造
縁側と庭園
提灯と暖簾
静けさと和の空気
観光客から見たら、
ただの格式ある癒し旅館。
誰も塾が裏で稼働してるなんて思わない。
イリスの改装内容が神すぎる
旅館の裏庭の竹林の奥――
景観を一切壊さずに地下通路。
障子をスッと開けると、
「関係者専用通路」
その先に現れるのが…
難波学生塾(久世庵別棟)
和モダン建築。
外から見ると茶屋っぽいのに
中は最新設備。
静音空調
個別ブース
ホログラム黒板(もちろん自然風)
カフェスペース付き
しかも旅館と直結。
雨の日でも濡れずに移動。
役割が完全に分離
久世庵
・宿泊
・団子
・癒し
・人生相談
学生塾
・勉強ガチ勢ゾーン
・騒ぐの禁止
・集中空間
かや大満足。
「やっと旅館が旅館らしくなったわね……」
エーテル
「追い出されたわけじゃないよね?」
「半分追い出したの」
難波、正式塾長になる
看板:
難波学習庵
キャッチコピー:
「世界を知る者が教える」
口コミ爆伸び。
成績上がる
メンタルも回復する
人生相談までできる
ほぼ修行場。
ナポリネスは非常勤講師
気が向いたときだけ来る。
来た日は地獄(良い意味で)
「今日はナポリ先生来てるぞ!」
学生:絶望と歓喜が同時に来る
エーテルは平和に団子職人へ
塾の気配を感じつつ、
「今日は静かだなぁ」
(みんな地下で地獄見てる)
結果――
久世庵は
癒しの聖域
勉強は別棟
景観一切崩壊なし
イリス天才すぎる。
難波学習庵・別室
塾棟の奥。
難波の落ち着いた講義室とは別に、
一室だけ雰囲気が違う。
扉には小さく書いてある。
「理科実験室」
その中にいるのが――レオン。
レオンの科学教室
部屋の雰囲気は理科室なんだけど、
どこか昭和感ある。
・木の実験机
・黒板(チョーク派)
・謎のガラス器具
・壁に貼られた周期表(手書き)
そして中央には、
球体ロボのレオン。
「今日は“爆発しない爆発”をやる」
生徒「嫌な予感しかしない」
実験内容
テーマ:
“エネルギーとは何か”
レオンは自然エネルギーは使わない。
あくまで人間の科学。
・静電気発電
・簡易タービン
・身近なもので発電
・ペットボトルロケット(安全設計)
説明は分かりやすい。
でも急に言う。
「科学はロマンだ。だが制御できないと地獄だ」
生徒、静まる。
教え方が異様に上手い
レオンは元創生科学者。
だけど今は完全に“人間用”。
・難しい式を使わない
・原理から説明
・なぜ危険かをちゃんと教える
爆発は起きない。
でもワクワクは起きる。
難波との対比
難波:
「世界を見る視点を広げろ」
レオン:
「世界を作る仕組みを理解しろ」
この塾、バランスおかしい。
そして授業後
生徒が帰ると、
レオンは少し静かになる。
「…昔はもっと大きいものを作ってた」
イリスがたまに覗く。
「今の方が楽しそうじゃない?」
「…まぁな」
久世庵側
団子を売るエーテル。
「今日レオンどうだった?」
琥珀
「爆発しませんでした」
「それは良かった」
基準が低い。
久世庵・第2回バイト募集
張り紙が出る。
「久世庵スタッフ募集(住み込み可・まかない神レベル)」
なお裏には小さく
※団子食べ放題
※人生相談付き
※職場が時々異世界じみてます
第1期メンバーは正式昇格
もう“バイト”じゃない。
美緒さん
→ フロント責任者
異変察知係(ほぼ第六感)
杉原くん
→ 庭管理主任
エーテル直伝の腰に優しい仕事術習得済み
ひなた
→ 音楽&配信担当+広報
久世庵の認知度ほぼこの子のおかげ
橘 蒼
→ 厨房副責任者
プロレベルに進化中
かやが言う。
「もうこの子たち、社員だよね」
エーテル
「給料上げよ…」
即決。
新人応募、地獄絵図
面接会場(縁側)
団子食べながら待たされる応募者たち。
奥にはなぜか
・無言で花を生けるエーテル
・将棋打つ琥珀
・悪魔コスのネメシス
・天使コスのルミナ
緊張感おかしい。
面接内容
かや
「接客経験は?」
応募者
「あります!」
エーテル
「人の悩み聞ける?」
応募者
「え?」
ネメシス
「団子の甘さ見抜ける?」
応募者
「???」
ここで地獄チャレンジ団子出てくる。
脱落理由
・辛団子でむせて即退場
・エーテルの圧(無意識)で泣く
・久世庵の雰囲気に耐えられない
・ネメシスの顔が良すぎて集中不能
採用基準(実はシンプル)
優しい
驚いても逃げない
人を見下さない
団子を楽しめる
能力より人柄重視。
昇格組の成長が光る
新人に教える美緒さんがもうベテラン感。
杉原くんが庭の説明してる姿プロ。
蒼が厨房で指示出してる。
ひなたが「久世庵へようこそ!」って動画撮ってる。
エーテル、縁側でしみじみ。
「……立派になったなぁ」
かや
「親か」
第2期新人
① 白石 千尋20歳
ポジション:接客補助/静かな観察者タイプ
大学生(心理学専攻)
物腰柔らかい
空気読む力が異常に高い
美緒さんの後継候補
特徴
最初に「この旅館、普通じゃない」って察するタイプ。
でも逃げない。
エーテルの無意識の“間”に気づく。
エーテル
「……君、勘がいいね」
千尋
「いえ、たぶん…優しい匂いがするだけです」
かやがちょっと警戒する。
② 神谷 陽斗19歳
ポジション:裏方/力仕事/イベント運営
元サッカー部
明るい陽キャ
体力担当
団子チャレンジ全勝(味覚バグ)
特徴
ネメシスに懐く。
「ネメシスさん顔小さすぎじゃないですか!?」
エーテルに普通にタメ口いく。
「エーテルさん、団子食べすぎですよ」
怖いもの知らず枠。
③ 立花 紗夜22歳
ポジション:厨房補助/和菓子研究枠
調理専門学生
蒼のライバル枠
無言だけど負けず嫌い
団子改良アイデア出すタイプ
特徴
エーテルの「桜愁団子」に衝撃受ける。
「……これ、思い出の味ですね」
エーテル、ちょっと動揺。
④ 天城 颯真18歳
ポジション:塾棟サポート/歴史マニア枠
歴史好き(特に戦国後期)
無口だけど観察力が鋭い
ノートの取り方が異様に細かい
難波とナポリネスの講義に食いつく
特徴
戦国資料を読んでる時だけ目が変わる
鬼神の逸話にやたら詳しい
戦国久世モードの“足音の消え方”に違和感を覚える
ある日ぽつりと――
颯真
「……鬼神って、左腕と右脚を失ってたって話ありますよね」
エーテル
(団子を置く手が一瞬止まる)
颯真
「でも、あの逸話…どこにも公式記録がないんです」
第2期新人最初の夜
夕方、営業が終わって久世庵に静けさが戻る。
風鈴の音。
庭の木が揺れる音。
遠くで団子焼き場の火がパチパチ鳴ってる。
新人たちは母屋の一室に集められる。
空気感
新人たち内心こう思ってる。
「高級旅館なのに距離近すぎない?」
「スタッフ家族みたいじゃない?」
「さっき団子売ってた人がオーナー?」
「歌ってた中性的な人いたよね??」
そこに現れるエーテル。
いつもの穏やかな笑顔。
「今日はお疲れさま。緊張したよね」
一瞬で空気が和む。
久世庵ルール説明
エーテルがさらっと言う。
・失敗しても怒られない
・困ったら誰にでも頼っていい
・無理したら即休め
・ここは“職場”だけど“居場所”でもある
新人たちポカーン。
普通ブラック寄り覚悟してたのに真逆。
夜のお疲れ団子タイム
琥珀が団子配る。
ルミナとネメシスが売り子テンションで騒ぐ。
ネメシス
「新人さんは甘党?辛党?運勢団子いく?」
新人
「え、初日から罰ゲームあるんですか!?」
エーテル
(ニコニコ)
一気に安心する新人たち
笑い声が増えていく。
「ここ…働く場所というか家みたいですね」
エーテルは少し目を細めて言う。
「うん。そうなったら嬉しいな」
ラストの静かな余韻
新人たちが部屋に戻ったあと、縁側でお茶飲むエーテル。
かやが隣に座ってぽつり。
「また家族増えたね」
エーテル
「うん……守るものも増えた」
庭ではルミナとネメシスが新人に手振ってる。
夜の久世庵。
新人たちがそれぞれ部屋に戻って、館内はしんと落ち着く。
虫の声。
遠くの川の音。
障子越しに漏れる柔らかい灯り。
森野ひなたはいつものようにノートパソコンを開いていた。
公式SNS、予約サイト更新、写真の補正。
久世庵の団子、庭、縁側、夕焼け。
指が止まらない。
「……今日の新人さんの笑顔、使えるな」
自然と微笑むひなた。
そこへ——
コンコン。
小さなノック。
「……森野さん、起きてる?」
神谷陽斗の声。
ひなたは少し驚きながら振り返る。
「神谷くん?どうしたの?」
「いや、その……電気ついてたから」
完全に口実。
部屋に入ると、画面いっぱいに久世庵の写真。
「え、全部森野さんが?」
「うん。広報担当だからね」
「プロじゃん……」
素直に尊敬する陽斗。
少し沈黙。
陽斗は視線を泳がせながら言う。
「……その、今日ずっと忙しそうだったから」
「話しかけたら邪魔かなって」
ひなたはくすっと笑う。
「気にしすぎだよ。むしろ来てくれて嬉しい」
その一言で陽斗の顔が一気に赤くなる。
「久世庵、好きなんだ」
ひなたが画面を見つめたままぽつり。
「ここに来る人、みんな疲れてるけど…帰る時は笑ってる」
「それを見るのが好き」
陽斗はしばらく黙ってから言う。
「森野さんがいるからだと思う」
「広報もだけど…空気が優しくなる」
ひなたの指が止まる。
「……そんなこと言われたの初めて」
少し照れた笑顔。
また静かな時間が流れる。
二人並んで画面を見る。
夜風がカーテンを揺らす。
「ねえ神谷くん」
「なに?」
「明日、団子の写真一緒に撮ろうよ」
「モデル足りなくて」
一瞬固まってから
「やります!!」
即答。
その廊下の角から——
ネメシスがニヤニヤ見てる。
「ふーん……青春だねぇ」
(後で絶対エーテルに言う)




