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久世家戦記・現  作者:
現代編
36/59

第三部 ネメシスの独占欲

 午後の喫茶店。

いつものように木漏れ日が床に落ちて、カップの音が静かに響いていた。

エーテルは席につくなり、メニューをじっと見る。


かや

「……なにその顔」


「今日は冒険する」


「嫌な予感しかしないんだけど」


エーテル、真顔で言う。

「抹茶を頼む」

店内が一瞬だけ静まった。

セラがカウンターで手を止める。

アークが振り返る。

グアラが目を丸くする。


アーク

「……ついに壊れたか」


「珈琲文明からの進化だ」


「進化じゃなくて浮気よ」

かやは腕を組む。

「エーテル、あんた抹茶の苦さ耐えられる?」


「宇宙の終焉より苦いものなどない」


「例えが毎回重いのよ」


セラが丁寧に抹茶を点て始める。

しゃか、しゃか、と優しい音。

グアラ

「なんか今日は神社みたいだね」

「創生神が抹茶飲む時代だからな」

湯気の立つ抹茶が置かれる。


深い緑色。

エーテルはじっと見つめてから一口。

「…………」


沈黙。

かやが身を乗り出す。

「どう?」


「……草」


「感想が原始人なのよ」


もう一口。

「苦い」


「でしょうね」


「だが…悪くない」


一同

「え?」

エーテルは珍しく穏やかな顔をする。

「戦も宇宙もなく、ただ苦さを味わう時間…これは修行だな」


アーク

「修行に使われる抹茶初めて聞いた」

セラ笑いながら

「お父さん、歳感じてきた?」


「創生前から歳だ」


かやはくすっと笑う。

「大人の味覚になったのね」


「文明は進化する」


「神様が味覚成長してどうするの」


そこへ常連のおばあちゃん。

「今日は抹茶かい?渋いねぇ」

エーテル

「渋さは人生」


「深いこと言うねぇ」

(誰も創世神だと思ってない)


エーテルは抹茶を飲み干す。

「……次はほうじ茶も試すか」

かや

「喫茶店が神の飲み物実験場になってきてるんだけど」

アーク小声で

「そのうち味噌汁頼みそう」

「和の宇宙」


エーテルは満足そうに息をつく。

「珈琲もいいが、抹茶も悪くない」

かや

「じゃあ次は和菓子セットね」



 喫茶店の午後。

抹茶事件から数日後。

エーテルはいつもの席で腕を組み、珍しく深刻そうな顔をしていた。


アークは珈琲を飲みながらちらっと見る。

「……なんだその顔。宇宙滅ぶのか?」


「もっと深刻だ」


「やめろ怖い」


エーテル、声を落として言う。

「最近、かやが冷たい」

その瞬間――

すぐ後ろで注文表を書いていたかやのペンが止まる。

だが振り返らない。


アーク

「は?」


「目が合っても素っ気ない」


「それ気のせいじゃなくて?」


「昨日など『お帰り』が『うん』だった」


「重罪じゃねぇか」


エーテルは本気で落ち込んでいる。

「創生期でもあんな反応されたことはない」


「比較対象が宇宙創世なのやめろ」

アークはため息。

「で、心当たりは?」


「ない」


「絶対あるだろ」


「地下格闘技?」

「重機無双?」

「ネメシス女装放置?」


「全部無関係だ」


かや、背中越しに聞きながらピキッとくる。

(全部原因よ)


エーテル続ける。

「最近は話しかけても『あとで』が多い」


「それ忙しいだけだろ」


「だが声に温度がない」


「温度て」

アークはニヤつく。

「で、どうしたいんだよ創世神」


「元に戻したい」


「素直に謝れ」


「何をだ」


「それを考えろ」


エーテル真剣。

「俺は宇宙は救えても妻の機嫌は救えん」


「名言っぽく言うな」


ここでかやがついに振り返る。

満面の営業スマイル。

「ご注文お決まりですか〜?」

明らかに冷たい。


エーテル

「……ほうじ茶」


「はい」


「……和菓子も」


「はい」

無感情。


アーク小声で

「完全に怒ってるな」


「なぜだ……」


「自覚ゼロが一番ヤバい」


かやが去ったあと、アークは肩を叩く。

「エーテル」


「なんだ」


「今から地雷原だ」


「戦場か?」


「家庭だ」


エーテルは静かに覚悟を決める。

「創生より難易度が高いな……」



 夕方。

エーテルは珍しく早めに帰宅していた。

リビングでそわそわしている。

創世神なのに落ち着きがない。

ドアが開く音。

「ただいまー」

ルミナ、ミラ、ルークが元気に入ってくる。

その後ろから――かや。


にこにこ。

完璧な笑顔。

だが。

バッグを持つ手の拳が、静かに、白くなるほど握られている。


エーテル、固まる。

(あれは……戦神アークより怖い顔だ)

「おかえり、かや」


「ただいま、エーテル」

声は優しい。

優しすぎる。

かやは靴を脱ぎ、きれいに揃え、エプロンをかける。

「今日は早いのね?」


「う、うむ」


「お仕事は?」


「……順調だ」

(重機会社の会議サボってたとは言えない)


かやは振り返る。

満面の笑み。

「ねぇ、エーテル」


「な、なんだ」


「最近、楽しい?」


「え?」


「地下格闘技とか、工事現場とか、創世神アピールとか」

拳、ギュッ。

木製テーブルがミシッと鳴る。


ルミナ、小声で

「……やばい」

ネメシス、小声で

「父上、死ぬかも」

アークは無言で立ち上がり、静かに別室へ避難。


エーテル、冷や汗。

「いや、その、楽しいが」


「楽しいんだ?」

にこにこ。

圧が増す。

かや、一歩近づく。

「私はね」


「……うむ」


「あなたが楽しそうなのは、嬉しいの」

「でもね?」

拳が震えている。

「あなた、私に一言でも相談した?」


沈黙。


「地下格闘技も」

「重機会社も」

「配達員も」

「全部、事後報告よね?」


エーテル、理解する。

「……怒っているのか」


「怒ってないよ?」

笑顔。 

完全に怒ってる。


「私はね」

「あなたが壊すことが怖いんじゃないの」

「あなたが、私を置いて勝手に突っ走るのが嫌なの」


静かに言う。

拳はまだ握られている。


エーテル、初めて真顔になる。

「……」


「私はあなたの妻なの」

「隣に立つ人なの」

「神でも創世神でもなくて、エーテルの」

空気が変わる。


ルミナもミラも黙る。

ネメシスも珍しく無言。


エーテル、ゆっくり歩み寄る。

「……すまない」

「私は」

「強さや結果ばかり見ていた」

「だが」

「お前を置いていくつもりは一度もない」


かやの拳、ゆっくりほどける。

「じゃあ次からは?」


「必ず相談する」


「約束?」


「創世の名に誓う」


「重いわ」

少し笑う。

かや、ぽつり。

「……心配、するんだから」


その一言で、エーテルの顔が柔らかくなる。

「……ありがとう」


ルミナ

「解決?」

ネメシス

「殴られなくてよかった」

アーク(遠くから)

「よく生き残ったな」

かやはふいっと背を向ける。

「夕飯作るから、手伝って」

エーテル

「任せろ」


「包丁は使わないで」


「なぜだ」


「宇宙規模になるから」



 夜。

家の灯りが一つ、また一つ消えていく。

ルミナはエーテルの腕を離さず寝落ち。

ミラとルークも布団で静かな寝息を立てている。

ネメシスはいつの間にか枕を抱えて丸くなっていた。


世界がようやく静まる時間。

エーテルはそっと扉を閉める。

「……みんな寝たな」


かやは小さくうなずく。

「今日は疲れたでしょ」


「心よりも、頭がな」


「ふふ」

布団に並んで入る二人。

自然に距離が縮まる。

エーテルの腕が、かやの背に回る。

かやはその胸に顔を埋める。

ぴったり。

まるで昔からそうしていたみたいに。


「……あったかい」


「創生エネルギーだ」


「神アピールしなくていい」

小さく笑う。

しばらく無言。

静かに呼吸だけが重なる。

かやがぽつり。

「ね」


「なんだ」


「あなたがどんな存在になっても」

「創世神でも、英雄でも」

「私はエーテルが好き」

胸にぎゅっとしがみつく。


エーテルの腕に力が入る。

「……私は」

「お前がいるから、人でいられる」

「神のままだったら、きっと壊れていた」


かや、少し顔を上げる。

「じゃあ一生壊さないで」


「約束しよう」


「うむ」


額をそっと合わせる。

「今日ね」

「怒ったけど」

「本当は怖かった」

「あなたがどこか遠くへ行きそうで」


エーテルは髪を撫でる。

ゆっくり、丁寧に。

「私は帰る場所を失うほど愚かではない」

「ここが、私の宇宙だ」


かやの目が少し潤む。

「……大げさ」


「本気だ」


そのまま、かやは胸に顔を戻す。

エーテルは包むように抱きしめる。

力は強いのに、優しい。

「エーテル」


「うむ」


「……好き」


「知っている」


「でも言う」


「……好きだ」

二人の呼吸がそろっていく。

静かな夜。

争いも神も存在しない時間。

ただ夫婦だけの世界。


やがて、かやの寝息が小さくなる。

エーテルはそのまま動かず、囁く。

「……守るよ、全部」


 

 まだ空が薄青い早朝。

最初に動き出したのは――

ナポリネス。

もう着替えも済んでいて腕を組みながら窓の外を見ている。

「人間の朝は遅すぎる」


その横でイリスが工具をカチャカチャ鳴らしてる。

「その分、夜が面白いんじゃない?」


レオンはキッチンで何かを温めながら、

「朝はエネルギー補給が大事だ」


完全に研究所の朝。

少しして、

ミラとルークが眠そうに出てくる。

「おはよ〜……」

「まだ夢の続き見てた……」


そこにグアラ、セラ、アーク、メクルも合流。

グアラはすでに元気。

「今日はいい一日になる気がする!」


セラは静かに微笑み、

アークは伸びをしながら欠伸。

メクルは半分目を閉じたまま漂っている。


さらに時間が経って――

ルミナとネメシス登場。

ルミナは髪がふわふわ。

「おはよー……まだ眠い……」


ネメシスはその後ろでくっつく。

「おはよう……」

完全にくっつき虫モード。


そして――最後。

廊下の奥から足音。

すり……すり……

現れたのはエーテルとかや。


二人とも

・髪ボッサボサ

・目ほぼ開いてない

・無意識に手をつないでる

完全に夫婦の朝。


エーテルぼそっと。

「……朝か」

かやもぼそぼそ。

「……たぶん」

そのまま手を離さず居間へ。


全員、一斉に見る。


沈黙。

ナポリネス

「……だらしない」

イリス

「でも幸せそう」

レオン

「体温共有状態だな」

ミラ

「新婚さんみたい!」

ルーク

「いやもう夫婦だけど!」

グアラ

「かわいい!」


セラは微笑み、

アークは吹き出し、

メクルは写真撮りそうな顔。


ルミナが目をこすりながら言う。

「パパとママ……くっついてる……」

ネメシスもぼそっと。

「ずっとくっついてる……」


ここでエーテル、やっと周囲に気づく。

「……なぜ全員いる」

かやもハッとする。

「え!?いつから!?」

手を離そうとして――

逆にぎゅっと握り直すエーテル。

「離す必要はない」


「ちょ、みんな見てる!」


「家族だ」


全員

「「「開き直った!!!」」」


朝から平和すぎる光景。

神も創生も関係ない、

ただの大家族の朝。



 テーブルいっぱいに並ぶ朝食。

パン、卵、スープ、果物、山盛りサラダ。

かやの喫茶店仕込みで普通に豪華。

全員着席――しようとした瞬間。


「パパの膝!」

最初に動いたのはルミナ。

椅子を蹴ってダッシュ。


だが――

その横からネメシスがスライディング。

「俺の場所……」


さらにミラとルークも参戦。

「え、いいなそれ!」

「膝あったかそう!」


一瞬で修羅場。

エーテルの前が戦場になる。


ルミナが腕を掴む。

「今日は私!」

ネメシスが反対側を掴む。

「昨日はルミナだった!」


ミラが前からよじ登る。

「私も一回くらい!」

ルークも負けじと腕にぶら下がる。


エーテル、微動だにせず。

「……重さは問題ない」


問題はないが――

膝が足りない。


そこへかやが呆れ顔。

「毎朝これやるのやめなさい」


しかし止まらない。

ナポリネス腕組み。

「くだらん争いだ」


イリス笑いながら。

「勝者総取りルールにする?」


レオン真顔。

「物理的に全員乗せることは可能だ」


アーク吹き出す。

「やめろ潰れるぞテーブル」

セラは優しく。

「順番にしましょう?」

メクルはスマホ構え。

「動画にしたらバズる」

グアラは応援。

「がんばれー!」


最終的に――

エーテルが静かに創生エネルギーで浮遊補助。

膝の上に

・中央にルミナ

・左にネメシス

・右にミラ

・腕にルーク

完全に人間タワー。


エーテル淡々と。

「全員乗せた」

かや

「だからそういう解決じゃないの!」


子供たち大満足。

「わーい!」

「あったかい!」

「パパすごい!」


エーテルは普通に朝食を食べ始める。

重さゼロ感覚。

その光景を見て、

ナポリネスぽつり。

「……甘やかしすぎだ父上」


エーテル即答。

「成長に必要だ」


かやはため息つきつつも笑う。

「ほんとバカ家族」


でも目は優しい。

毎朝恒例、

エーテル膝争奪戦、無事終結。


 

 珍しく静かな朝。

ナポリネスも授業なし

イリスも研究休み

喫茶店も臨時休業

重機も自動運転

――全員オフ。


そこへリビングの照明が急に落ちる。

ホログラム展開。

宇宙規模のスケジュール表ドーン。


メクルが立つ。

「ついにこの時が来た」

全員

「嫌な予感しかしない」


メクル指を鳴らす。

「三か月前から計画してた家族旅行」

「交通、宿、観光、食事、全て完璧」


かや目キラキラ。

「旅行!?」

ルミナ飛び跳ねる。

「やったー!」

ミラとルークも拍手。

アーク小声。

「完璧って言葉が一番信用ならん」


メクルが地図を映す。

海と山と温泉と街が全部あるリゾートエリア

(しかも貸切コテージ付き)

メクル誇らしげ。


「人混みゼロ」

「危険ゼロ」

「スケジュール管理秒単位」


エーテル感心。

「さすがメクル」

かやも嬉しそう。

「ありがとう!」

だがナポリネスが冷静に一言。

「つまり自由時間は?」


メクル即答。

「ない」


全員

「え?」


メクル淡々と。

「08:00 朝食」

「08:32 移動」

「08:51 絶景スポット」

「09:07 記念撮影」

「09:09 次へ」


レオン

「軍事作戦だな」

イリス

「旅行じゃなくて任務」

ルミナ不安そう。

「遊ぶ時間は……?」

メクル

「最終日に7分用意してある」

かや吹き出す。

「短すぎ!」


エーテル優しく。

「メクル、もう少し余裕を」

メクル真剣。

「無駄な時間は排除すべき」


その瞬間、全員で同時に言う。

「それが旅行の楽しさだ!」


メクル固まる。

「……え?」

初めて聞く概念。


ミラが説明。

「迷ったり」

「寄り道したり」

「予定狂うのが楽しいの」

ルークも頷く。

「アイス食べたりね」


メクル演算開始。

(予定崩壊=楽しさ???)


数秒フリーズ後、

メクル小さく。

「……想定外要素を組み込む」


エーテル笑う。

「それでいい」

こうして始まる

メクル完璧旅行

でも絶対グダる未来確定旅行


ルミナ大声。

「冒険だー!」

ネメシスも。

「絶対面白い!」


メクル小声でつぶやく。

「計算外だらけになる予感がする……」



 屋敷の門の前。

地面が微妙に揺れている。

ルミナが最初に気づく。


「……地震?」

ズズズズズ……

角から現れた“影”。


でかい。

長い。

高い。

現れたのは――

ほぼバスサイズの大型キャンピングカー。


しかもピカピカ新品。

ソーラーパネル付き。

展開式テラス付き。

風呂ユニット付き。

ベッドルーム複数。

もはや移動式豪邸。


全員ぽかん。

ミラ

「……家?」

ルーク

「動く家だ」


メクル即座にホログラム照合。

「私の計画には存在しないサイズ……」


その横でエーテルが普通の顔。

「これで移動すれば楽だろ」


かや、腕組み。

「ちょっと」

「それどこから持ってきたの?」


一瞬の沈黙。


かやの目が細くなる。

「……盗んだ?」

エーテル即否定。

「違う」


全員注目。

エーテル淡々と。

「この前スカウトしてきた重機メーカーの人がな」

「“宣伝になるから使ってください”って」

「試作型を譲ってくれた」


レオン

「試作でこのサイズは狂ってる」

イリス

「もはや要塞」

メクル小声。

「私のスケジュールに車内温泉は存在しない……」


ルミナ大はしゃぎ。

「動くお家だー!!」

ネメシスも走り回る。

「広っ!」

かやはため息混じり。

「ほんとエーテルは……」

「規模が毎回おかしい」


エーテル少し照れ。

「家族多いからな」


一瞬空気がやわらぐ。

だがメクルが静かに言う。

「……計画、全面再構築が必要」

ナポリネス笑う。

「もう崩壊したな」


 

 キャンピングカーがゆっくり動き出す。

振動はほとんどない。

もはや高級列車レベル。


運転席。

ナポリネスが腕組みしながらハンドル握ってる。

「直進安定性良好」

「重心制御完璧だな」


その横でイリスがモニター操作。

「エンジン出力は抑えめにしてる」

「この巨体で全開にしたら道路消えるから」


ナポリネス冷静にうなずく。

「合理的だ」


後部車内。

広いリビングスペースでみんなくつろぎ始めてる。

メクルはホログラム地図広げて必死。

「予定より三十分早い」

「このままだと昼食地点がズレる…」


その横に静かに来るエーテル。

何も言わず、ぽんっとメクルの頭に手を置く。


くしゃくしゃ。

優しく撫でる。

メクル一瞬固まる。

「……な、何を」


エーテルそのまま持ち上げる。

ひょい。

完全に抱っこ。


メクルの足が宙に浮く。

「ちょ、ちょっと!?

私は荷物じゃない!」

エーテル落ち着いた声。

「眉間にしわ寄ってた」

「休め」


メクルじたばた。

「計画が!スケジュールが!」


エーテルの腕が少し強くなる。

「今日は旅だ」

「仕事じゃない」


一瞬沈黙。

メクルの抵抗が弱くなる。

「……ほんの五分だけだからな」

そのままエーテルの胸にもたれる。


かやがそれを見てニヤッ。

「はいはい甘やかしすぎ」

アーク笑う。

「昔からだな」

レオンぼそっと。

「創生神専用抱っこ機能」


ルミナ羨ましそう。

「私もー!」

ネメシスもすぐ来る。

「俺も!」


結果。

エーテルの左右と腕の中に子供三人+メクル。


完全に動く保育所。

エーテル微動だにしない。

「重くない」

かやため息。

「それが一番おかしいのよ…」


運転席からイリスの声。

「後ろ騒がしすぎ」

ナポリネス少し笑う。

「だが悪くない」



 サービスエリアに到着。

巨大キャンピングカーが滑るように駐車スペースへ入ると、

周囲の一般車が一斉に静かになる。


「……でか」

「バスじゃね?」

「映画の撮影か?」


ドアが開く。

ぞろぞろ降りてくる異様に美形な集団。

一瞬で視線をかっさらう。


まずナポリネスとイリスがストレッチ。

レオンは伸びながら金属音。

ミラとルークは目キラキラ。


そして――

最後に降りたエーテルの横。

セラが、そっと手を伸ばしてきた。


指先が触れて、少し迷ってから――

ぎゅ。


エーテル一瞬止まる。

視線を落とす。

「セラ?」


セラ、顔は平常心。

でも耳が赤い。

「……メクルばっかりずるい」

「抱っこはいい」

「手でいいから」


完全に甘えムーブ。

エーテル、何も言わず握り返す。

強くも弱くもない、守る手。


かやがその光景を見てピタッと止まる。

「……は?」


アーク吹き出す。

「出たな長女レア甘え」

ルミナ即参戦。

「私も手つなぐー!」

ネメシスも反対側へ。

「俺も!」 


結果。

エーテルの両手が埋まる。

左右にセラとルミナ。

さらに袖を引っ張るネメシス。


かや、無言で近づく。

ぐいっとエーテルの腕を引き寄せる。

「それ私の場所だから」


セラ冷静に返す。

「今日は私の」


静かな火花。

一般客たちヒソヒソ。

「なにあの家族…」

「モデル一家?」

「ドラマ?」


エーテル困惑しつつも全員離さない。

「……全員ゆっくり歩け」

ミラが笑う。

「パパ大人気だね」

エーテル小さくため息。

「休憩に来ただけなんだが」



 サービスエリアを出発してから――

約20分後。

キャンピングカーは高速を快調に走っていた。

車内はいつも通り騒がしい。

ミラとルークは窓に張り付き、

ルミナとネメシスは座席でじゃれ合い、

セラはエーテルの隣で満足そうに座っている。

レオンは……いない。


ナポリネスが後部座席でゴソゴソしていた。

「あれ?」

「レオンどこだ?」


イリスが工具を片付けながら言う。

「さっきサービスエリアで転がってなかった?」


ナポリネス即答。

「安心しろ」

「車内に回収した」


そう言って持ち上げたのは――

スーパーボール。

キラキラ跳ねるやつ。


一瞬の沈黙。

ミラ「……それレオン?」

ルーク「形似てるけど違くない?」

エーテル、嫌な予感で立ち上がる。

「ナポリ……レオンをどこで拾った」


「売店前」

「転がってたからな」

※大きさが違います


全員フリーズ。

かやがゆっくり言う。

「……レオンは自分で歩いてたよね?」

イリス青ざめる。

「しかも今日、丸くなってなかった」

セラぽつり。

「……置いてきた」

ネメシス叫ぶ。

「置いてきたぁぁぁ!?」


エーテル即ハンドル奪取。

「戻る」

「今すぐ戻る」


ナポリネス慌てる。

「待て待て待て!

形が似てたんだ!」

※大きさが違います


「似てるで済むか!!!」


その頃のサービスエリア

自販機の横。

ちょこん。

球体レオン。

「……」

「……」

「誰もいねぇ」 


通行人が通る。

「なんだこのボール?」 


蹴ろうとする。

レオン小さく変形して避ける。

「やめろぉぉ!俺生き物ォォ!!」


警備員が怪訝そうに見る。

「……おもちゃ?」


レオン必死。

「違う!

俺は科学神だ!」

警備員無線。

「怪しい球体が喋ってます」


レオン絶望。

「ナポリネスーーーーー!!!!」


数分後

爆速Uターンして戻ってくるキャンピングカー。

エーテル飛び降りる。

「レオン!!」

自販機裏から小さく手(細い)が出る。

「……父ちゃん」


無事回収。

エーテル抱き上げる。

「もう二度と置いていかん」

レオン泣き声。

「スーパーボールと間違える世界やめろ……」


ナポリネス深く頭下げる。

「すまん」

「反省している」

かや冷静。

「次はレオンに鈴つけようか」

レオン震える。

「ペット扱いすな!!!」


車内爆笑。

そしてナポリネスは一生言われることになる。

“レオンをボールと間違えた男”



 大型キャンピングカーが、山道を抜けてゆっくりとホテルの駐車場へ入る。

夕暮れ。

空は橙色に染まり、ガラス張りの巨大ホテルがその光を反射していた。

看板には大きく書かれている。


「天空リゾート・蒼星苑」

山の中腹に建つ、温泉付き高級ホテル。


エーテルが降りる。

「……悪くないな」


かやは周囲を見渡す。

「悪くないどころか、かなり良いわよ」


ミラとルークは大はしゃぎ。

「でかい!」 「城みたい!」


ルミナは静かに言う。

「ここ、なんか空気澄んでる」

ネメシスは既にエーテルの袖を握っている。

「父上、温泉ある?」


レオンは周囲を警戒。

「今回は置いていかれてないよな?」

ナポリネス無言。


ホテルの自動ドアが開く。

中は吹き抜けロビー。

巨大なシャンデリア。

静かなピアノの生演奏。

一瞬、全員が立ち止まる。


受付スタッフが近づく。

「いらっしゃいませ。ご予約のお名前は?」

エーテル、迷いなく。

「エーテル」


一瞬空気が止まる。


かやが横から小声で言う。

「普通の名字で言って」


慌てて言い直す。

「久世です」

チェックイン完了。


部屋は最上階の大部屋。

和洋折衷の特別室。

エレベーター内。

全員鏡越しに自分を見る。

イリスが呟く。

「このメンバー、普通に芸能事務所できるよね」

レオン小声。

「俺はどの枠?」


部屋到着。

ドアが開く。

広い。

畳スペース、ベッドルーム、露天風呂付きテラス。

窓の外には夜景と星空。


ルミナが走る。

「ここ私の!」

ナポリネス即座に言う。

「それは共有スペースだ」

ネメシスは既にエーテルの隣。

「父上、布団どこ?」

かやが全体を見て微笑む。

「たまには、こういうのもいいわね」


エーテル、静かに頷く。

「地球も悪くない」


その瞬間。

レオンがテラスの露天風呂を見て叫ぶ。

「俺、入れるようになったんだよな!?

ついに温泉デビューだ!!」

イリスが腕を組む。

「防水仕様にしたから大丈夫」


ナポリネスぼそっと。

「今回は置いていかれるなよ」

レオン即座に叫ぶ。

「それ一生言うな!!」



 部屋の中はしっとりした大人の空気。

テーブルには料理とワイン、日本酒、カクテル。

いるのは――


エーテル、かや、セラ、アーク、レオン、イリス、ナポリネス、グアラ、メクル、ルミナ、ミラ、ルーク、ネメシス。


創生ファミリー中心の静かな宴。


ナポリネスはグラスを傾けながらため息。

「平和って…こういう夜なんだな」

グアラが微笑む。

「争いがない時間は尊いですね」


その空気をぶち壊す存在が立ち上がる。

レオン。

「よし、俺のターンだな」


エーテル即座に察知。

「やめておけ」

レオン無視。

「進化した俺の芸を披露する」


ゴゴゴ……

股間からニュッと例の手回し発電ハンドル出現。


かや即ツッコミ。

「なんで毎回そこから出すの!?」

ミラ「収納場所そこしかないの?」

ルーク「発想が狂ってる」


レオンはセラに向き直る。

「セラ姉さん、回して」

セラにっこり。

「……今食事中よ?」

レオン真剣。

「発電中でも食べれる」


エーテル低音。

「やるな」


だがセラ、なぜか立つ。

「いいわ、少しだけね?」

一同「えっ」


くるっ……くるっ……

レオンの目が光る。

「きてるきてるきてるぅ!!」

部屋の照明が明るくなる。


イリス爆笑。

「家庭用発電機どころじゃない!」

ナポリネス額押さえる。

「科学の冒涜だ…」


セラ、調子に乗って高速回転。

ゴゴゴゴゴ!!!


テレビ全部ON

空調フル稼働

給湯器まで起動


レオン絶叫。

「ちょっフルパワーは設計外ぃぃ!!」

グアラ感心。

「すごいエネルギーですね」

メクルぼそっ。

「無限電源じゃん…」


エーテル頭抱える。

「俺の子供たちはなぜこうなる…」

セラ止めて満足げ。

「役に立った?」

レオン白目。

「俺の存在…インフラになってる……」

ネメシス尊敬の眼差し。

「兄上……発電神ですね」


かや笑い転げる。

「もうレオン家電扱いじゃん!」

部屋は大爆笑に包まれて、

ホテルの夜は平和そのものだった。



 ミラとルークはソファでうとうと。

ルミナはエーテルの服の裾を掴んだまま眠りに落ちていた。


かやがそっと抱き上げて布団へ。

「おやすみ、ルミナ」

小さく寝息がそろって、部屋は一気に静かになる。


テーブル側には

かや、イリス、グアラ、セラ、メクル

ワインとお茶を並べて座る。


セラがふっと笑う。

「昔なら、こんな夜は存在しなかったわね」

グアラが頷く。

「争いの合間に眠るだけでした」

メクルぽつり。

「今は…幸せすぎて不安になる」


かやはグラスを見つめて言う。

「エーテルが守ってきた時間だよ、これ」

「だから失いたくない」


イリスが優しく微笑む。

「彼、表では創生神だけど」

「中身はずっと家族のために走ってきただけだよね」


セラが少し寂しそうに。

「昔は私たちが守られる側だった」

「今は…私たちが支えたい」

メクル小声。

「でも甘やかしすぎると調子乗る」

全員くすっと笑う。


一方、大浴場。

扉が開いた瞬間。

湯気も広さも完全に規格外。 


エーテル「でっか……」

アーク「戦艦入れそうだな」

ナポリネス「無駄に豪華だ」

レオンすでに飛び込み。

「溶けるぅぅぅ!!」

ネメシス正座で入水。

「兄上たちと風呂……尊い……」


アーク肩まで浸かってため息。

「こういうの久々だな」

ナポリネスちらっとエーテル見る。

「父上、最近幸せそうだ」


エーテル静かに言う。

「守るものが増えたからな」

レオンぷかぷか浮きながら。

「俺は電源として守られてる」

全員「それは違う」


ネメシスそっと近づく。

「父上……今日は楽しいです」

エーテル頭を軽く撫でる。

「そうだな」


湯気の向こうで、

戦いも宇宙も忘れた“ただの家族の夜”が流れていく。


 

 湯気の立ちこめる大浴場の奥。

「サウナ →」の看板を見つけた瞬間、レオンが反応する。

「なにそれ拷問部屋?」


ナポリネス「身体を整える文化だ」

アーク「戦場前の兵士みたいだな」

ネメシス「父上と同じ空間で汗を流す……尊い……」

エーテル「静かにしろ」

重たい扉を開けると――


灼熱。

一瞬で肌が焼けそうな温度。


レオン「無理無理無理無理!!!」

入った瞬間球体形態に変形して床を転がる。

「俺ロボだぞ!?オーバーヒートする!!」

ナポリネス腕組みで座る。

「精神修行だ」


アークもどっかり。

「この程度、創生戦争に比べれば楽だ」


ネメシスだけはエーテルの隣にきっちり座る。

背筋ピン。

「父上の呼吸を感じています……」

エーテル「感じなくていい」


数秒後。

レオン「溶ける!!!俺溶ける!!!」

股間から緊急冷却用の謎スプレー噴射。

全員「持ち込むな」


ナポリネス汗一つかかず。

「心を空にしろレオン」

「お前は今、球体ではない。宇宙だ」

レオン「哲学で冷えねぇ!!」


アークがふっとエーテルを見る。

「父上、最近よく笑うようになったな」

エーテル少しだけ目を細める。

「……地球に戻ってからな」

「戦いのために存在してた頃より、今の方が忙しい」


ネメシス小さく言う。

「忙しいの、幸せですね」

一瞬だけ静かになるサウナ。

レオン「俺は幸せより限界」


 

 灼熱のサウナ室。

アークとナポリネスは余裕で座り、

エーテルも静かに呼吸を整えている。

一番張り切っていたネメシスだけが――

「父上……あつ……」

ぷるぷる震え出す。


レオン「一番先に来たから一番先に死にかけてる」

ナポリネス「精神が弱い」

アーク「いや体が弱い」


ネメシス、限界。

「ち、父上ぇ……視界がぐるぐる……」

そのままふらっ——


次の瞬間。

エーテルが一瞬で立ち上がり、

ネメシスを横から抱き上げる。

完全なお姫様抱っこ。


「無理をするな」

低く優しい声。

「倒れるまで耐える必要はない」


ネメシス顔真っ赤。

「父上の腕……あったか……」

すぐに水風呂へ。


エーテルがそっと足から浸けてやる。

ネメシス「生き返るぅ……」

エーテル「ほら、ゆっくり呼吸しろ」

その光景を――

じーーーーっと見る三人。


アーク(いいな……)

ナポリネス(なぜ俺は抱かれない)

レオン(俺も倒れたフリすればよかった)


レオン小声。

「なぁ俺も今から気絶していい?」

アーク「却下」

ナポリネス「自分で歩け」


エーテルは気づかず、ネメシスの額を軽く撫でる。

「すぐ楽になる」

ネメシス満足そうに目を細める。

「父上最高……」


背後で三人の嫉妬オーラがもくもく立ちのぼる。

レオン「この家、倒れたもん勝ち制度あるな」

アーク「次は俺が先に脱落する」

ナポリネス「いや俺だ」

完全に張り合い始める創生兄弟たち。



 ネメシスを抱きかかえたまま水風呂の縁に座るエーテル。

「無理するなと言っただろ」


額を撫でられてご満悦のネメシス。

「父上がいるなら何分でも倒れる……」


その様子を見ていた三人。

アーク・レオン・ナポリネス。

完全にスイッチが入る。


まずアーク。

「……あ」

胸を押さえる。

「急に視界が……暗く……」

棒読み。


次にレオン。

「俺もだ……股間じゃなくて心臓が止まりそうだ……」

わざとらしくよろける。


ナポリネスも負けじと。

「くっ……この熱は想定外だ……意識が……」

目だけチラチラエーテルを見る。


三人同時に倒れ込む。

ドサッ、ドサッ、ドサッ。

完璧なタイミング。


エーテル、ゆっくり振り返る。

無言。

しばらく沈黙。


エーテル「……」

アーク(今だ、抱っこ来る)

レオン(俺もお姫様抱っこ)

ナポリネス(父上の腕だ)


だが。

エーテルは冷静に言う。

「全員、演技下手だ」

三人ピクリ。

エーテル「呼吸普通、脈正常、顔色も悪くない」

「ネメシスだけ本当に限界だった」


アーク「……」

レオン「……」

ナポリネス「……ちっ」


エーテル、腕を組む。

「かまってほしかっただけだろう」


三人同時に起き上がる。

アーク「ずるいだろ!」

レオン「ネメシスだけ特別扱い!」

ナポリネス「父上は偏愛がすぎる!」


ネメシス、エーテルの腕にしがみつきながら勝ち誇る。

「父上は僕のもの」

エーテル苦笑。

「競うものじゃない」


でもネメシスの頭はまた撫でる。

それを見て三人絶望。


レオン「やっぱり贔屓じゃねえか!!」

アーク「俺も倒れればよかった!」

ナポリネス「演技指導が必要だったか……」


エーテルはため息混じりに言う。

「倒れなくても構ってやる」

「だが嘘をつくな」


一瞬静かになる三人。

アーク「……じゃあ普通に甘えていいのか」

レオン「最初からそう言えよ父上」

ナポリネス「難易度高すぎだろ」

結局エーテルは全員の頭を順番に撫でていく。

ネメシス → アーク → ナポリネス → レオン。

四人とも一気に機嫌よくなる。


レオン「この家、撫でられたら勝ちだな」

アーク「平和だな」

ナポリネス「父上チート存在」

ネメシスだけドヤ顔。

「僕が最初だったけどね」

完全に子供の張り合い。



 湯気が立ちこめる大浴場。

エーテルがネメシスを抱っこしたまま頭を撫で、

その横でアーク・レオン・ナポリネスが順番待ち状態。

まるで父親争奪戦。


そこへ――

ちゃぷん。

水音と一緒に女性陣が入ってくる。

かや、セラ、イリス、グアラ、メクル。

(混浴なので普通にいる)


そして全員が目撃する。

・エーテルにしがみつくネメシス

・撫でられてトロけてる顔

・後ろで並んで順番待ちする成人(見た目)たち

一瞬の沈黙。

湯気の音だけが響く。


かや「……なにしてるの?」

超低音。


エーテル「サウナで倒れたから介抱を――」

セラ「介抱で頭撫で撫でする?」

イリス「順番制なの?」

メクル「保育園かな?」

グアラ「かわいいけど絵面がおかしい」


ネメシスだけ得意顔。

「父上が看病してくれてる」

かや、こめかみピクッ。

「へぇ……」


アーク慌てる。

「ち、違う!ネメシスだけじゃなくて俺たちも!」

レオン「撫でてもらっただけだ!」

ナポリネス「不公平是正だ!」


女性陣の視線が冷たい。

セラ「いい年した創生メンバーが」

イリス「甘え合戦」

メクル「地獄絵図」


エーテル、珍しくタジタジ。

「……家族だから問題ないだろう」


かや、ゆっくり近づく。

そしてエーテルの頬をむにっと掴む。

「じゃあ私も家族だけど?」

エーテル「……あ」

かや「最近、子供ばっか構ってない?」


一瞬で空気が凍る。

ネメシス小声「父上、死亡フラグ」

アーク「終わったな」

レオン「これは回復不能」

ナポリネス「ご愁傷様」


エーテル必死。

「い、いや、かやが一番だ」

かやニコッ(怖い)。

「証明して?」

そのままエーテルの腕を引っ張って自分の隣へ。


ネメシス強制リリース。

ネメシス「父上ぇぇぇ」


かや、勝利の位置取り。

「はい、今度は私の番」


セラ爆笑。

「子供か!」

イリス「いや全員子供だこれ」

メクル「創生一家幼稚園」


エーテルは結局

かやにくっつかれ、

子供たちに見つめられ、

逃げ場なし。


アーク「父上は人気者だな」

レオン「取り合い資源」

ナポリネス「希少存在」


エーテル小さくため息。

「静かに風呂に入らせてくれ……」

誰一人聞かない。

完全に大家族カオス温泉。



 風呂上がり。

 部屋に戻る一同。

卓上にはずらっと並ぶ瓶。

セラとグアラは普通に飲み、

イリスが適当にグラスを配る。


イリス「はい、かやさん」

(※アルコール度数えげつないやつ)

かや「ありがと〜」

ごくごく。

数秒。

 

かやの顔が一気に真っ赤。

かや「……あれ?」

ふらっ。


エーテル「かや?」

かや、エーテルの胸にドン。

「えーてるぅ……世界が回ってる……」


全員察する。

セラ「やったわねイリス」

イリス「間違えた」

メクル「これは強いやつ」

グアラ「南無」


そして始まる

酔っぱらいかやモード


かや、エーテルの腕にしがみつく。

「ねぇ……エーテル……」

エーテル「どうした?」

かや、上目遣い。

「最近……私のこと……好き?」


一斉に吹き出す創生一家。

アーク「直球きた」

レオン「これは長引く」

ナポリネス「覚悟しろ父上」


エーテル「当たり前だろ」

かや「ほんとぉ〜?」

ほっぺつんつん。

「じゃあ証拠見せてぇ……」


エーテル固まる。

かや、突然ぎゅーっと抱きつく。

「私のエーテルなんだからぁ……」


ネメシス「奪われた……」

ルミナ(寝てるので不在)


セラ笑い転げる。

「独占欲爆発!」

かや、今度はエーテルの膝に座る。

「今日ね……みんなに取られて寂しかったの……」

エーテル罪悪感MAX。

「すまなかった……」


かや、にへへ。

「じゃあ今夜は……私だけのえーてる……」


アーク「おい待てそれはR指定」

レオン「子供いる家だぞ」

ナポリネス「父上逃げろ」


かや突然泣き出す。

「私の方が先に好きだったのにぃ……」

エーテル慌てて頭撫でる。

「一番だ、一番」

かや即回復。

「ほんと!?やったぁ〜!」

情緒ジェットコースター。


イリス小声。

「ごめんなさい」

グアラ「これは事故じゃない事件」


かや、最後はエーテルの胸でウトウト。

「えーてる……動いたら怒るからね……」


エーテル完全拘束。

アーク「父上、今夜終了」

レオン「人柱」

ナポリネス「合掌」

そして静かに言うセラ。

「酔ったかや、最強兵器ね」


 

 朝。


鳥の声。

やけに静か。

エーテル、目を開ける。

胸の上にかや。

がっちりホールド状態。


腕絡まり。

足も絡まり。

完全捕獲。

エーテル(……動けん)


その瞬間。

襖がスッと開く。

ナポリネス。

後ろにアーク、レオン。

ナポリネス「朝だぞ父上――」


固まる。

目の前。

エーテルがかやに抱き潰されている。

しかも距離ゼロ。


アーク「……」

レオン「……ほう」


かや、むにゃむにゃ。

「えーてる……私の……」

さらに抱き締める。


ナポリネス小声。

「昨夜の続きだな」

エーテル「違う」


そこへセラ、グアラ、イリス、メクルも登場。

完全に観客席完成。

イリス「まだ続いてたの?」

グアラ「長時間拘束型」


そのとき。

かや、ぱちっと目を開ける。

数秒間、状況認識。

エーテルの胸。

自分の腕。

絡まり具合。

周囲の視線。

かや、無表情。

ゆっくり離れる。 


かや「……何これ」


全員一斉にエーテルを見る。


エーテル「俺は動いていない」

アーク「昨日の夜、覚えてないのか?」

かや「昨日?」

首をかしげる。


セラにやにや。

「好きかって確認してたわよ」

かや停止。

レオン追撃。

「“証拠見せてぇ”って」

ナポリネス。

「“私だけのエーテル”」

グアラ。

「一番か確認してた」

メクル。

「泣いた」


かや、顔が赤くなっていく。 


エーテルは正直に言う。

「俺は悪くない」


かやゆっくり振り向く。

「……全部言った?」

全員うなずく。


かや、布団かぶる。

「やだあああああああああああ!!!!」


セラ爆笑。

イリス床叩く。

ナポリネス天井見る。

レオン拍手。


かや布団の中から。

「覚えてない……覚えてない……」

エーテル、真顔。

「俺は嬉しかった」


一瞬静止。

布団の中から拳が飛ぶ。

ぽすっ。

「言うな!!」


エーテルちょっと笑う。

「一番だと言っただろ」

かやさらに真っ赤。

「忘れて!全部忘れて!」


アーク。

「無理だ」

ナポリネス。

「永久保存」

レオン。

「録音はしてない」

(してない)


かや、ゆっくり顔出す。

「……私、変なことしてないよね?」


全員目を逸らす。


エーテル即答。

「可愛かった」

かや再爆発。

「やめてえええええ!!!」


そして朝食。

かや、エーテルと目が合わせられない。

エーテル、普通に味噌汁飲みながら。

「昨夜のかやは素直で良かった」


箸が折れる音。

ナポリネス小声。

「地獄はまだ続く」



 朝食後。

大人たちのニヤニヤ空気がまだ残っている。

それを感じ取ったのが――

ルミナ、ミラ、ルーク、ネメシス。


ルミナ

「ねぇ、さっき何の話してたの?」

ミラ

「“一番”って聞こえたけど?」

ルーク

「昨夜、何かイベントあった?」


かや、箸を止める。

エーテル、無言で味噌汁。


セラ、爆弾投下。

「かやが“私が一番?”って泣きながら――」

かや


「やめて!!」


その瞬間。

ネメシスの手が止まる。

ネメシス

「……一番?」


静か。

異様に静か。


エーテル

「子供の話ではない」


ネメシス、ゆっくり立ち上がる。

目が笑ってない。

ネメシス

「父上に一番を確認したの?」

かや

「ち、違うのよ!あれは酔ってて!」


ネメシスの瞳がわずかに光る。

創生エネルギー、微漏れ。

空気が重くなる。


ルミナ

「ネメシス、ちょっと怖い」

ネメシス、笑う。

「父上の一番は家族平等だよね?」

エーテル

「当然だ」

ネメシス、さらに一歩近づく。

「でも確認したんだよね?」


床がピシッとひび割れる。

リミッター解除寸前。


アーク

「おい」

ナポリネス

「来るぞ」


ネメシスの背後に黒い創生波動。

瞳が深紅へ。

声が低くなる。

「父上を独占するなら、俺が壊すよ?」


かや固まる。

ルミナ涙目。

ミラとルーク一歩後退。

エーテル、立ち上がる。

ゆっくりネメシスに近づく。


ネメシス

「俺、ずっと後回しだったよね?」

声が震える。

怒りじゃない。

不安。


エーテル、何も言わず抱き寄せる。

完全ホールド。


ネメシス

「……」

エーテル

「お前は最初から俺の子だ」


創生波動が止まる。

ひび割れも止まる。


エーテル続ける。

「一番を決める家族じゃない」

「全員が唯一だ」

ネメシス、顔を埋める。

「……ほんと?」


エーテル

「疑うなら今から抱っこするか?」

ネメシス即答。

「する」


空気が緩む。

ルミナも走ってくる。

「私も!」

結果。

エーテル、両腕+背中+足に子供集合。

完全包囲。


かや、腕組み。

「結局みんな一番ってことね」

セラ小声。

「昨日は違ったけどね」

かや

「セラ?」


ナポリネス

「第二ラウンド始まるぞ」


ネメシス、抱っこされたまま小さく呟く。

「父上、俺は一番じゃなくていい」

「でも…俺のこと、忘れないで」


エーテル、即答。

「忘れたことなどない」

ネメシス、完全リミッター戻る。

ヤンデレモード解除。


 

 朝食会場を出たあと。

大浴場事件の余韻がまだ空気に残っているホテルの中庭。

噴水が静かに流れ、観光客がのんびり歩く中――

ネメシスだけが、明らかに様子がおかしかった。

かやの後ろを、一定距離でピタッと追尾。


ルミナ

「……ネメシス、尾行してるよね?」

ミラ

「完全にしてる」

ルーク

「怖いって」

かやが振り返る。

「ネメシス?どうしたの?」

ネメシス

「別に」

即答。 

でも一歩近づく。


エーテル

「距離が近い」

ネメシス

「家族だから問題ないでしょ?」

視線が完全にかやロックオン。


かや

「な、なにその目……」

ネメシス、静かに言う。

「昨日、父上に一番か聞いたよね」

かや

「それは酔ってて!」


「でも聞いた」

「確認した」

「独占しようとした」

淡々と詰めてくる。


セラ小声

「完全に対抗心モード入ったわね」

ネメシス、かやの前に立つ。

背はまだ子供なのに、圧が異常。

「父上は俺たちの父だ」

「かやだけのじゃない」


かや

「それはもちろんそうよ?」


「じゃあ距離近すぎ」

スッとエーテルの腕を掴む。

自分側に引き寄せる。


エーテル

「ネメシス?」

ネメシス

「昨日は俺いなかった」

「今日は俺の番」

ルミナ

「ずるい!!」

ネメシス

「ルミナは昨日抱っこされてた」

「今日は俺」


かや、ピキッ。

「ちょっと待ちなさい」

ネメシス、かやをまっすぐ見る。

「父上に触る権利は平等」

「でも昨日は不公平だった」


かや

「記憶ないんだけど!?」


「それが一番ズルい」

真顔。

エーテルがため息。

「争う話ではない」

ネメシス即答。

「争う」

その瞬間、ホテルの噴水がバシャッと跳ね上がる。

創生エネルギー微漏れ。

観光客ざわつく。


ミラ

「旅行先で世界壊さないで!」

ネメシス、かやに宣言。

「父上は俺が守る」

「俺の方が長く一緒にいる」

「俺の方が父上を知ってる」


かやも引かない。

「でも今一緒に生きてるのは私よ」


一瞬、無音。

バチバチ火花レベルの視線。


エーテル

「……旅行中だぞ」

ネメシス

「だからこそ」

「思い出は俺が作る」


そう言ってエーテルの手を引く。

「観光行こ、父上」


かや

「ちょっと待ちなさいこの子!!」


ネメシス振り返りニコッ。

「安心して」

「殺さないから」


全員

「言い方!!」




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