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久世家戦記・現  作者:
宇宙編
26/59

第十五部 ナポリネス ― 星々を繋ぐ子

 宇宙船は静かな航行音だけを響かせながら、次の星へと進んでいた。

広くなった船内のラウンジ、その中央ソファで――

エーテルの両腕には、しっかりとルミナが収まっている。


頭を胸に預け、腕を絡め、完全に離れる気ゼロ。

エーテルはというと、自然に髪を撫でながら穏やかな表情だ。


「……くっつきすぎじゃない?」

かやが腕を組んでじっと見つめる。


「普通、あれは普通じゃないと思うのですが」

風夏も静かに視線を送る。


「父上、甘やかしすぎだ」

朔姫は呆れ顔。


「完全に独占だな」

夜叉がぼそっと言うと、


「ずるい……」

凛が小さく呟く。


ルミナはエーテルの腕の中で満足そうに笑っていた。

「だってパパあったかいもん」


その一言で空気がピシッと固まる。


かや達の視線が一斉にエーテルへ。

エーテルは困ったように微笑むだけだった。

「……自然とこうなる」


「それが一番腹立つ!」

かやが即ツッコミ。


華陽は肩をすくめる。

「父上は無自覚タラシだからな」


「自覚してくれ……」

難波が遠くを見る。

その間もルミナは離れない。

むしろさらに密着。

エーテルの服をぎゅっと掴む。

「取らないでよ?」


「誰も取らんわ!」

全員総ツッコミ。


宇宙船には今日も平和な騒がしさが満ちていた。


 

 宇宙船はゆっくりと軌道を変える。

ジンが前方モニターを操作しながら言った。

「次の星だ。創生期の守護者――ナポリネスがいる星」

その名を聞いた瞬間、エーテルの指がわずかに震える。


「……ナポリネスか」


「セラやイリス、レオンと同じ時代を生きた存在。創生の“均衡”を司っていた」


ルミナが不思議そうに首を傾げる。

「パパのおともだち?」

「そうだ」


「やさしい?」

エーテルは少しだけ笑った。

「優しいが、厳しい。

宇宙を守るためなら情も切る人だ」


その言葉に空気が少し引き締まる。

ワープを抜けると現れたのは――

星全体が巨大な天秤のような構造をしている世界。

大陸同士が宙に浮かび、光の柱で均衡を保っている。

どこか一つでも崩れれば、すべてが落ちる構造。


「なにここ……怖いくらい綺麗」

風夏が息をのむ。


「バランスで成り立つ星か」

夜叉が低く言う。


エーテルは確信する。

「間違いない。ここがナポリネスの星だ」


着陸すると、すでに誰かが待っていた。

白と金の装束。

背後には無数の光の秤が浮かぶ。


その人物は静かに目を細める。

「……久世。いや――エーテル」

懐かしさと警戒が混ざった声。

「ずいぶん騒がしい仲間を連れてきたな」


エーテルは一歩前へ。

「久しぶりだ、ナポリネス」


「本当に戻ってくるとは思わなかった」


ナポリネスはルミナを見る。

「そして……それが君の“未来”か」


ルミナはエーテルの後ろに隠れつつも顔だけ出す。

「……パパのお友だち?」


ナポリネスは一瞬、目を見開いてから静かに微笑った。

「なるほど。

創生は終わっていなかったわけだ」


だが次の瞬間、星全体がわずかに傾く。

警報のような光が走る。

ナポリネスの表情が一変する。

「来ているな……ネメシスの影ではない」

「均衡を崩す“別の存在”だ」


エーテルの瞳が鋭くなる。

「創生期の敵か?」

「いや――もっと古い」


ナポリネスは空を見上げる。

「宇宙が生まれる前から、

“均衡そのものを嫌う存在”だ」


 

 星全体がゆっくりと傾く。

宙に浮かぶ大陸同士をつなぐ光の柱が軋み、悲鳴のような音を立てた。 


「来るぞ」


ナポリネスの声は冷静だった。

空間が割れるように歪み、黒い存在が複数現れる。

形は定まらず、重力すら拒絶する異形。


「均衡拒絶体……また増えたか」


夜叉が拳を握る。

「敵ってあんなのかよ……」


難波ですら息をのむ。


ナポリネスは一歩前へ出た。

「ここは私の星だ」


その瞬間――

足元に巨大な天秤紋様が展開する。

空・大地・敵・重力すべてが光の線で計測されていく。

「均衡判定開始」

静かな声と同時に、世界が“数式”のように組み替わった。


敵が突進する。

だが――

ナポリネスが指を軽く動かすだけで、

重力が反転。

敵は前に進むはずが、真上へ吹き飛ばされる。


「え……?」

朔姫が声を失う。


さらにナポリネスは反対の手を下ろす。

今度は圧縮。

空間ごと敵が押し潰され、黒い存在が紙のように畳まれて消える。

別方向から数十体が一斉に襲来。


ナポリネスは目を閉じる。

「質量再配分」

すると敵同士の重さが一瞬で交換され、

巨大な個体は羽のように軽くなり制御不能に浮き上がり、

小型の個体は山のように重くなって地面に沈み込む。


ドン……ドン……と音を立てて崩壊。


誰も言葉を発せない。

戦いというより宇宙法則の編集だった。


最後の一体が逃げようとした瞬間。


ナポリネスが静かに告げる。

「均衡違反。存在比率ゼロへ修正」


パチン、と指を鳴らす。

その存在は最初から存在しなかったかのように消失した。


沈黙。

風だけが星を渡る。


エーテルは呆然としながら、ぼそっと呟く。

「……ナポリネス」

「創生の頃はな」


少し懐かしそうに目を細める。

「子供の時は、花に水やって泣いてたような

いい子だったんだけどなぁ……」


かやが思わずツッコむ。

「その成長どうしてこうなったの!?」


ナポリネスは肩をすくめる。

「宇宙を守る仕事を真面目にやった結果だ」


「過酷すぎる成長環境だよ」


ルミナは目をキラキラさせる。

「すごーい!あの人つよい!」

「パパより?」


エーテルは即答。

「……分野が違う」


ナポリネスが小さく笑う。

「相変わらず正直だな、エーテル」


こうして分かる。

ナポリネスは

戦う存在ではなく、宇宙を調整する存在。

一人で銀河の崩壊すら止められるクラス。



 ナポリネスの力で星が静まり返ったあと。

空間にまだ均衡の光が残って揺れていた。

誰もが言葉を失っている中――

エーテルだけが、腕を組んで懐かしそうに空を見上げる。


「……しかし」

「ほんと立派になったよなぁ、ナポリネス」


ナポリネスが嫌な予感で振り向く。

「やめろ」


エーテルはニヤッと笑った。

「お前さ」

「創生期のころ、雷鳴ひとつで泣きながら俺の背中に隠れてたの覚えてる?」


一瞬で空気が凍る。


朔姫「……え?」

夜叉「今の存在から想像できん」

難波「均衡の神が雷怖がり?」


ナポリネスのこめかみに青筋。

「それは幼少期の自然反応だ」


「自然反応にしては――」

エーテルは指を立てる。

「“エーテル〜〜!!空が怒ってるぅぅ!!”って叫びながら

三日間俺から離れなかったよな?」


かや、吹き出す。

「ちょっと待って可愛いすぎるんだけど」


ルミナは大興奮。

「えー!あの人泣き虫だったの!?」


ナポリネスが叫ぶ。

「記憶改竄したはずだ!!」


「俺には効かない」

エーテルは即答。


さらに追撃。

「あとさ、均衡とか言い出す前」

「花に名前つけて、枯れるたびに墓作って泣いてた」

「“この子は風に弱かったから…”とか語ってたよな」


その場に崩れ落ちるナポリネス。

「やめろ……やめてくれ……」


夜叉「普通に優しい子供だったのか」

風夏「今とのギャップが凄すぎますわね……」


エーテルは楽しそうに続ける。

「あと決定打な」

「初めて均衡の力が暴走した時――」

「怖くなって俺にしがみつきながら言ったんだ」


エーテル(再現)

「エーテル……ぼく、こわい……

この力、なくならないかなぁ……」


沈黙。

ナポリネス、完全敗北。


朔姫がぽつり。

「……あの冷酷均衡神がそんな時代あったんだ」

難波「今じゃ宇宙編集者なのにな」


ナポリネスは顔を覆いながら小さく言う。

「……だから強くなったんだ」

「守れなかったものが多すぎた」


一瞬だけ、昔の優しい目に戻る。


エーテルは柔らかく笑う。

「知ってる」

「だから今のナポリネスも、嫌いじゃない」


ルミナが駆け寄る。

「ナポリネスさん、昔かわいかったんだね!」


「……忘れろ」


かやが肩を震わせて笑う。

「最強格の黒歴史回収完了だね」



 ナポリネスはゆっくり立ち上がった。

さっきまでの敗北者の顔ではない。

均衡神の目に、静かな怒りが灯る。

「……エーテル」

「貴様がそこまで語るなら」

「こちらも“真実”を語るしかあるまい」


エーテル「ん?」

嫌な予感。


ナポリネスは指を突きつける。

「創生期――」

「この宇宙で一番泣き虫だったのは」

「貴様だ」


一瞬、世界が止まる。


かや「……え?」

朔姫「え?」

夜叉「今なんと」

エーテル「いやそれは誤情報だ」

即否定。


だがナポリネスは止まらない。

「セラが少し怪我しただけで」

「宇宙ごと消そうとしたのは誰だ」

「“もうこんな世界いらない…”と岩陰で丸くなってたのは誰だ」


ルミナが目を輝かせる。

「パパ泣いてたの!?」


エーテル「それは保護者として正常な感情だ!」


ナポリネス、追撃。

「セラが他の創生者と話しているだけで」

「一日中機嫌が悪くなり」

「星を三つほど氷漬けにしたのは誰だ」


かや吹き出す。

「重すぎるヤキモチ!」

風夏「神の嫉妬は規模が違いますわね…」

エーテル「それは宇宙の安定調整だ」

「感情ではない」


ナポリネス「では次だ」

「セラが眠るまで毎晩」

「子守歌を宇宙規模で流していたのは誰だ」


夜叉「スケールでかすぎる子守唄だ」

難波「銀河全体が寝かしつけられてたのかよ」


ルミナが感動。

「パパ優しすぎる…!」


エーテル「ちがう!それは自然エネルギーの共鳴現象だ!」


ナポリネスは静かにとどめ。

「そして極めつけだ」

「セラが死んだあと――」

「何百年も墓標の前から離れられず」

「創生を止め、宇宙を止め」

「生きる意味を失っていたのは誰だ」


空気が静まる。


エーテルは、何も言えない。


ナポリネスは低く言う。

「貴様は強い守護者などではなかった」

「ただ――」

「誰よりも愛が重い存在だっただけだ」


沈黙。


かやがそっとエーテルの手を握る。

「……それがエーテルなんだよ」


朔姫も頷く。

「強さの理由、全部“大切な人”なんだね」


ルミナはぎゅっと抱きつく。

「パパ大好き!!」


エーテル、完全敗北。


「……黒歴史というより愛情史だなこれは」

難波「神のラブストーリー集じゃねぇか」


ナポリネスは小さく笑う。

「親に対してなんてこと言うんだ、と思うかもしれんが」

「貴様が俺たちを創った理由は」

「全部そこにあった」


 

 ナポリネスの言葉が静かに残ったまま、誰も動けずにいた。

その中心で――

エーテルの肩が、小さく震え出す。


かや「……エーテル?」

ルミナ「パパ……?」


次の瞬間だった。

エーテルは一歩踏み出し、

そのままナポリネスに――

ぎゅっとしがみついた。

創生の神とは思えないほど必死に。

「……ごめんなぁ……」

震える声。


「ほんとに……ごめんな……」

ナポリネスの服を掴む手に、力がこもる。

「こんな父親で……」

「重くて……すぐ世界止めようとして……」

「全部感情で……」


声が詰まる。

「ナポリも……苦労しただろ……」

「俺のせいで……」

「普通の創生者ならもっと楽だったのに……」


周囲が息を呑む。

あの宇宙を生んだ存在が、

ただの“後悔する父親”になっていた。


ナポリネスは最初、動かなかった。

だが――

ゆっくりと、エーテルの頭に手を置く。

「……今さら何を言っている」

低く、でも優しい声。 


「確かに貴様は面倒だった」

「宇宙壊そうとするし」

「情緒不安定だし」


エーテル「うぅ……」


「だがな」

ナポリネスは視線を逸らしながら続ける。

「俺たちは皆」

「貴様が“愛したから”生まれた存在だ」

「守りたいと思ったから創った」

「失いたくないと思ったから強くなった」

「それがなければ」

「今の宇宙も、俺も、存在していない」


しがみつくエーテルの力が少し緩む。


ナポリネス「父として完璧など最初から求めていない」

「だが――」

「愛だけは、誰よりも与えてきた」


エーテル、嗚咽。

「……ナポリ……」


「だから謝罪など不要だ」

「むしろ誇れ」

「創生の守護者であり」

「感情を持つ父であったことを」


ルミナが涙目で抱きつく。

「パパは最高のパパだよ!!」


かやもそっと背中を支える。

エーテル、完全に泣き崩れ。

「……俺、救われてばっかだな……」


ナポリネス、小さく笑う。

「親とはそういうものだ」

「子に救われて成長する存在だ」


 

 エーテルは涙を拭い、ゆっくり顔を上げた。

その瞳にはもう迷いはなかった。 


「ナポリネス」

静かだが、宇宙すら震わせる声。

「……一緒に旅に行こう」


一瞬、場が止まる。


ルミナがぱっと顔を輝かせる。

「ほんと!?ナポリお兄ちゃん来るの!?」 


かやも驚きつつ微笑む。

だが――

ナポリネスは腕を組んだまま首を傾げた。

「条件がある」


エーテル「条件?」


「親子同士の――」

ナポリネスの眼に闘志が灯る。

「ガチ勝負だ」


一同「えっ」

ナポリネス「情で連れて行かれる気はない」

「創生の守護者の隣に立つ資格があるか」

「力で証明しろ」


空間がきしむ。

銀河の気配が集まり始める。


エーテルは少し笑った。

「……いいだろ」

「父として」

「創生者として」

「全力で受けてやる」


夜叉「いや待て待て規模が宇宙消えるぞ」

難波「地形残るかこれ」

イリス「観測機器全滅コースね」

ナポリネス「場所はこの無人星域だ」

「壊れても誰も困らん」


 

 一歩踏み出した瞬間、

銀河エネルギーと創生エネルギーが激突。

空間が割れる音を立てる。


ナポリネスが先に動く。

拳が星を貫く速度。

エーテルは片手で受け止め、

衝撃波で惑星の雲が吹き飛ぶ。


「成長したな……ナポリ!」


「当然だ父上!!」


蹴り、衝突、エネルギー爆発。

一撃ごとに星屑が散る。


ルミナ「パパとナポリ兄ちゃん本気すぎ!!」

かや「止めた方がいいやつだと思う……!」


ナポリネスが叫ぶ。

「俺はずっと貴様の背中を追ってきた!!」

「超えるためにな!!」


エーテルも吼える。

「それでいい!!それが親の誇りだ!!」


最終局面。

二人が同時にエネルギーを最大解放。

創生光 × 覇王銀河光

宇宙が一瞬、白く染まる。


爆発の中心で――

二人の拳がぶつかり合い、止まった。


沈黙。


先に笑ったのはナポリネスだった。

「……くそ」

「まだ超えられんな」


エーテルも息をつきながら笑う。

「上出来だ」

「誇れ」

「俺の息子」


ナポリネスは拳を下ろす。

「……旅に同行する」

「だがいつか必ず超える」


エーテル「望むところだ」


ルミナ大歓喜で飛びつく。

「家族ふえたーーー!!」



 宇宙船がワープ航路へ入る。

光の帯が窓の外を流れていく中、

エーテルは操縦席の後ろで静かに星図を見ていた。

そのすぐ横――

腕組みして壁にもたれているナポリネス。


エーテル「……怪我はないか?」

ナポリネス「別に」

(即答)


エーテル「無理はするな。さっきの衝突は骨格構造に――」

ナポリネス「大丈夫だって言ってるだろ!」


一同ピクッ。

かや小声「始まった」

朔姫「ツンデレ発動」


エーテルは少し困ったように笑う。

「心配しているだけだ」


ナポリネス「……いらん世話だ」

(顔そらし)


沈黙。

だが数秒後――

ナポリネス、ちらっとエーテルを見る。

「……」

「さっきの戦い」

「手、痛めてないだろうな」


エーテル「ん?」

ナポリネス「べ、別に心配してるわけじゃない!」

「創生の守護者が弱ってたら旅に支障が出るだけだ!」


エーテル、完全に察する。

(かわいいなこの息子)

「大丈夫だ」

「お前のおかげでな」 


ナポリネス「っ……!」

耳まで赤くなる。

「そ、そうか!」

「ならいい!」

「それだけだ!」


ドカッと椅子に座り直すナポリネス。

だが数秒後またぼそっと。

「……飯、まだか」


エーテル「腹が減ったのか?」


「ち、違う!」

「長距離航行は栄養管理が重要なだけだ!」


レオン「完全に父親に甘えたいムーブですね」

ナポリネス「黙れ球体!!」


エーテルは小さく笑い、立ち上がる。

「かや、食事を用意しよう」


かや「はいはい、家族ごはんね」

ナポリネス(小声)

「……こういうの」

「嫌いじゃない」


聞こえないふりをしながら、

エーテルは少しだけ歩く速度をゆっくりにした。


 

 宇宙船の食堂。

長いテーブルいっぱいに料理が並び、

かやと風夏が腕を振るった宇宙ごはんが湯気を立てている。

エーテルは中央席に座っていた。


その瞬間――

ルミナが全力で走ってくる。

「パパーーー!!」

ぴょん、と膝に飛び乗ろうとしたその刹那。

横から影が差す。


ガシッ。


ナポリネスがルミナの襟を掴んで引き戻した。

「どこ座ろうとしてんだチビ」

ルミナ「なにするのお兄ちゃん!!そこは私の席!!」

ナポリネス「昔から親の隣は年長者の場所だ」

エーテル「いや決まっては――」


二人同時に振り向く。

「黙ってて(ください)!」


エーテル「……はい」


かや小声「完全に家庭内権力失ってるね」

夜叉「銀河最強とは思えんな」


ルミナがむきーっと怒る。

「私エーテルから生まれたんだよ!?正統後継者だよ!?」

ナポリネス「俺は一緒に創生を生き抜いた息子だ」

「重みが違う」


ルミナ「年寄りアピールしないで!」

ナポリネス「ガキはガキらしく向こう行け!」


二人、同時にエーテルの腕を引っ張る。

「パパこっち!」

「父上こっちだ!」


エーテルの身体がミシッと鳴る。

「待て待て待て待て!!」


かや「創生エネルギーで耐えてるのウケる」

朔姫「普通なら肩外れてる」


ルミナが涙目になる。

「私…エーテルと一緒がいいもん…」

ナポリネス「っ……」


一瞬動揺。

だがすぐ強がる。

「泣き落としは卑怯だぞ!」


エーテルが両手で二人の頭をぽんっと撫でる。

「二人とも座れ」

ルミナ「どこに?」

ナポリネス「まさか――」


エーテル、少し照れながら言う。

「二人とも膝だ」


一同「え」

ルミナ「やったーー!!」

ナポリネス「……は?」


ルミナは即座に左膝ゲット。

ナポリネスは固まる。

「い、いや俺はもう成長して――」

エーテル「嫌か?」


「……」

「……嫌じゃない」

(超小声)

右膝に座るナポリネス。


顔真っ赤。

レオン「銀河最強兄、幼児退行しました」

ナポリネス「黙れ手回し式生命体!!」


かやはその光景を見てにこにこ。

「エーテル、完全にパパだね」

エーテル「……そうかもしれんな」


ルミナが勝ち誇った顔で言う。

「ねーお兄ちゃん、場所半分こだね!」

ナポリネス「調子乗るなよ」


「……落ちるなよ」

(そっと支える)


兄妹、結局くっついてエーテルに収まる。

朔姫「尊い」

風夏「宇宙平和ここに完成ですね」

夜叉「戦争より恐ろしい戦いだったな」


エーテルは静かに笑った。

こうして今日も――

宇宙最強一家の平和な食卓は騒がしく続くのであった。



 夜。


宇宙船の静かな通路を歩く

イリスとレオン。

レオンは球体ボディをコロコロ転がしながら言う。

「久々にエーテルと創生期トークでもするか」


イリス「今なら静かでしょうね。あの騒がしさも収まってるはず」


エーテルの部屋の前。

コンコン。

返事がない。


レオンが勝手にドアを開ける。

「入るぞー」


その瞬間。

ベッドの上。

エーテルを中央に、

左にルミナ、

右にナポリネス。

二人とも完全にくつろぎモード。


ルミナは毛布をエーテルに巻きつけ、

ナポリネスは腕を組んで壁代わり。


イリス「……」

レオン「……」

沈黙5秒。


レオン「ここ、親離れ失敗部屋ですか?」

ナポリネス「何の用だ」

ルミナ「パパの部屋だよ?」


イリス、額を押さえる。

「静かに創生期の話をしようと思っただけなのに…」


エーテル「すまん、捕獲された」

ルミナ「離さないよ?」

ナポリネス「父上は今保護中だ」


レオン「宇宙創造神が監禁されてる図」

イリス「あなたたち少し空気読みなさい」


ルミナ「えー?でも夜は一緒って決まってるもん」

ナポリネス「今日からな」


エーテル「決まってない」

イリス、腕を組んでため息。

「……仕方ないわね」

そのままベッドに腰掛ける。

レオンも反対側にぴょこんと乗る。


エーテル「増えたな」

レオン「創生期同窓会 with 子供付き」

ルミナ「レオンもパパ好きなの?」 


レオン「好きだが抱きつきはしない」

ナポリネス「理性あるな」


イリスがふっと微笑う。

「昔もこうして集まって星を眺めてたわね」

一瞬、空気が静かになる。


エーテル「……ああ」


ルミナが不思議そうに聞く。

「昔のパパってどんなだったの?」


イリス「無鉄砲で、優しくて、すぐ全部背負い込む人」

レオン「今と全く同じだ」


ナポリネス、小さく笑う。

「変わらないんだよ」

エーテル「成長してないとも言う」

ルミナ「でも一番かっこいい!」

ナポリネス「……まあ否定はしない」


イリスは二人を見て優しく言う。

「あなたたち、いい子に育ったわね」

ルミナ「パパのおかげ!」

ナポリネス「……俺も」


エーテル、少し照れる。

レオン「創生神、家族ポイントカンスト」

こうして――

本来は重たい創生期の会談は、

ただの幸せ家族団らん会に変わったのであった。


 

 ベッドの上。

エーテルを中心に

ルミナとナポリネスがくっつき、

反対側にイリスとレオン。

完全に“家族密集状態”。


エーテルはふっと笑って、静かに言う。

「……お前たちさ」


全員が見る。


「イリスもレオンも、ナポリもルミナも

みんな俺の子供なんだぞ」


一瞬きょとん。


「甘えていいに決まってるだろ」


沈黙。

イリス「……は?」

レオン「……今なんと?」

ナポリネス「父上?」

ルミナ「えへへ!」


エーテルは自然な手つきで

イリスの頭をぽんぽん。

「お前は昔から一人で抱えすぎだ」


次にレオンの丸い頭(球体)を撫でる。

「お前もだ。ずっとふざけて支えてくれてたな」

レオン「ちょ、照れるからやめろ!」


ナポリネスにも手を伸ばす。

「強くなろうと無理しすぎ」

ナポリネス「……」


ぎゅっと拳を握ってから小さく言う。

「……父上」


最後にルミナをぎゅっと抱く。

「お前はそのままでいい」

ルミナ「パパぁ〜!」


イリス、唇を噛みしめる。

「……ずるいわね、あなた」


レオン「創生神の抱擁バフ強すぎだろ」


エーテルは全員を腕の中に寄せて言う。

「親なんだから当たり前だ」

「強くなる必要も、役目も関係ない」

「ここではただの子供でいい」


沈黙。


イリスの目から一粒涙が落ちる。

「……私、甘えてよかったのね」


エーテル「今までよく頑張った」


レオンも小さく声を震わせる。

「……ずっと父さんって呼びたかった」

エーテル「呼べ」

「父さん」

「父上」

「パパ!」


全部一斉に重なって、エーテルは笑う。

「やかましいな」

「でも……嬉しい」


創生の守護者じゃない。

宇宙の神でもない。

ただの――父親。



 ラウンジ。

全員集合。

エーテルが静かに、やけに神聖そうな声で言う。

「ナポリネスには通過儀礼がある」


空気が張りつめる。


ナポリネス「……父上、どのような試練を」

夜叉「血を見る覚悟はできているか」

難波「宇宙が割れるやつだな」

エーテル「いや」


指を一本立てる。

「レオンだ」

レオン「え?」


床が開き、スポットライトの中に

 球体レオン登場

股間から――

ギギギギ……と手回しハンドルがせり出てくる。


レオン「さぁナポリネス……

創生ファミリーの証を刻むんだ……回せ……」

ナポリネス「?????」


エーテル(超真顔)

「これが正式な通過儀礼だ」


かや「いや正式って何」

朔姫「銀河守護どこいった」

凛「尊厳は?」

イリス「私が改造した最高効率発電式よ」

レオン「優しくな……急に回すと俺がバグる……」


ナポリネス、震えながら。

「父上……これは戦いでは……」


エーテル「戦いだ」

「羞恥と覚悟の」


ルミナ「お兄ちゃんがんばれー!」

ミラ「くるくるするの?」

ルーク「楽しそう!」


ナポリネス、ついに決意。

ガシッ。

そして——

ギュルルルルルルルル!!

レオン「アーーーーッ電力満タン!!」


全宇宙船の照明フル点灯

温泉起動

充電開始

ワープ準備完了

ジン「エネルギー効率120%超え!?」


エーテル、満足げにうなずく。

「合格だ」

ナポリネス(顔真っ赤)

「こ、これが……創生の試練……」


レオン「ようこそ家族へ(股間から火花)」

かや「感動していいのか混乱していいのかわからない」


そしてルミナが抱きつく。

「お兄ちゃんすごーい!」


ナポリネス(尊厳消失)

「……妹の笑顔のためなら……」


エーテル(誇らしげ)

「立派な創生ファミリーだ」


 

 ナツキ――

ワープの光が収まった瞬間、ジンが震えた声で言う。

「……座標、間違っていない。だが……ここは……」


モニターに映ったのは、青く輝く海と白い雲。

大陸の輪郭。夜側には無数の街の光。


かやが息をのむ。

「ここ……地球……?」


沈黙。


あまりにも見慣れた星。

でも――懐かしさと同時に、途方もない時間を越えてきた感覚。


ミラ「ここが……エーテルたちのいた世界?」

ルーク「普通の星に見えるけど……」


エーテルはゆっくり立ち上がり、画面を見つめる。

「……変わってないな」

その声は穏やかで、少しだけ震えていた。


「文明の形も、空の色も……恒一が守った未来そのものだ」


ルミナが小さく聞く。

「パパの故郷?」


エーテルはうなずく。

「ああ。

ここが、人類の星だ」


だが――

イリスが異変に気づく。

「待って。地球の周囲……エネルギー層がある」

ジン「防衛網だ。宇宙空軍のものでもネメシスのものでもない……

これは“人類独自技術”だ」


難波が笑う。

「やるじゃねぇか人間」

夜叉「神もネメシスも頼らずここまで来たか」


そのとき通信が入る。

無機質な声。

『未確認宇宙船へ通告。

ここは地球統合防衛圏。所属と目的を述べよ』


かやが思わずエーテルを見る。

「……敵扱いされる?」


エーテルは静かに首を振る。

「いや」

「ここはもう、守られる星じゃない。

自分たちで立つ星になったんだ」


彼は通信に向かって言う。

「俺たちは旅人だ。

かつてこの星を守った者たちの――仲間だ」


数秒の沈黙。

そして返答。

『……確認完了』

『エーテル・スター反応、伝承記録と一致』

『――英雄たちの帰還を歓迎する』


全員息をのむ。

ミラ「伝承……?」

ジン「神話じゃなく……歴史になってる」


エーテルは小さく笑った。

「恒一……ちゃんと未来に残したな」


地球はもう、か弱い星じゃない。

人類が自分の力で宇宙に立つ文明へ進化していた。


そして――

エーテルファミリーが帰ってきたことで、

宇宙と地球の物語が再び交差する。


 

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