第16話 幽霊屋敷への侵入です
私はキリルがいるという西宮殿に向かう。
この辺が西宮殿だと思うけどキリルはどこにいるんだろう。
エドから聞いたキリルの特徴は銀髪に青い瞳だ。
私はその特徴を持つ人物を探すがなかなか見つからない。
う~ん、早くしないと透明人間になっていられる時間が切れちゃうのよね。
出直した方がいいかな。
そこへ兵士と思われる二人組が廊下を歩いて来た。
「なあ、キリル殿下はまたあのお屋敷に行ってるのか?」
「ああ、そうらしい。あそこの屋敷にはキリル殿下の恋人がいるとの噂だしな」
ん? キリルは今、恋人の屋敷に行ってるの?
じゃあ、今日はキリルは西宮殿にはいないのか。
「キリル殿下の恋人って見たことあるか?」
「いや、恋人のいる王都の外れにある時計台のある屋敷は幽霊屋敷とも呼ばれる所だから誰も近付かないよ。でもよくキリル殿下の恋人は幽霊屋敷なんかに住んでいられるよなあ」
「そうだな。そこに通うキリル殿下も変わり者だよな。その恋人に毎日会いに行っていて王宮にいる方が少ないし」
え? 恋人がいる屋敷が幽霊屋敷なの?
確かによくそんなところにキリルの恋人は住んでるわね。
キリルはその恋人の屋敷に行っていて西宮殿にいることは少ないのか。
でも待って。その恋人の屋敷って怪しくない?
王家の魔法書をキリルが持っていてそれを隠しておきたいと思ったら自分の部屋に置いておくより恋人の屋敷に隠す可能性が強い気がする。
恋人の屋敷は幽霊屋敷と呼ばれていて人が近付かないような場所なら尚更だ。
よし! キリルの恋人の屋敷に侵入してみよう。
私はとりあえず魔王城から出てマクシオン商会に戻る。
今日は時間がないから明日キリルの恋人の屋敷に侵入しようっと。
それにしても幽霊屋敷かあ。私、幽霊苦手なのよねえ。
仕事のためとはいえ幽霊屋敷に侵入しないといけないと思うと気が重くなる。
だがそこで私はエドに言われたことを思い出した。
『ハッピーエンドになりたければ努力すればいい』
そうよね。ハッピーエンドにするためには最大限の努力をしなくちゃ。
幽霊屋敷を攻略して王家の魔法書を見つけたらきっとハッピーエンドになるに違いないんだから。
私は自分に気合いを入れてその日は就寝した。
次の日。兵士たちが王都の外れにある時計台のある屋敷がキリルの恋人のいる屋敷だと言っていたのでそこまでは馬に乗ってやって来た。
うわあ、なんか雰囲気満点の幽霊屋敷っぽいわ。
その屋敷は屋根も家の壁も真っ黒でおどろおどろしい。
王都の外れとはいえこんな屋敷が王都内にあることに驚いてしまう。
近くに馬を繋いでおき私は透明人間になった。
幸い屋敷の門には鍵がかかっていなかったので私は門から中に入る。
屋敷の玄関の扉も真っ黒だ。
たとえここが幽霊が出ない屋敷だったとしても住人の趣味の悪さを疑いたくなる。
玄関の扉を開けようとしたが開かない。
どうやら玄関には鍵がかかってるようだ。
う~ん、どうしよう。どこか入れる場所を探そうかな。
その時、私の背後の屋敷の門が開く音がした。
私はハッとして振り返る。
するとそこには銀髪に青い瞳の男性がいた。
「今日こそあの魔法書の鍵を解いて中身を見てやるぞ。俺こそが魔王に相応しいのだから」
魔王に相応しいって言うことはこの人がキリルね。銀髪に青い瞳だもん。
魔法書の鍵を解くとも言ったし王家の魔法書はキリルが持っているに違いないわ!
キリルが玄関に近付いて来たので私は慌てて横に避ける。
するとキリルが玄関の前で呟く。
「キリルディース・オルグ・ザナック・タファンの鍵よ、開け」
すると玄関の扉が自動で開いた。
え? 今のってキリルの正式名みたいだったけど。だってタファンって王族の名前だし。
うそ! もしかして私、キリルの正式名も知っちゃった!?




