第14話 カシムの部屋を開く鍵のようです
「今日は楽しかったわ。借りた本は後日返すわね」
「うん」
エドとの図書館デートを終えた私は再び空飛ぶ絨毯でマクシオン商会までエドに送ってもらった。
何冊か本も貸してもらえたしとても有意義な時間をエドと過ごせた気がする。
「じゃあ、俺は帰るから。また来るよ」
「分かったわ。シャナールへの依頼の件で進展があったらエドに伝えるから」
「うん」
エドは今度は歩いてマクシオン商会から去って行った。
さてと今日はもう遅いから明日からカシムとキリルのことを調査しようっと。
そこへディオンがやって来たので私は声をかける。
「ディオン。明日から裏の仕事でちょっと出かけることが多くなるかもだから商売の方はお願いね」
「承知しました、ミア様。気を付けてお仕事してください」
ディオンに任せておけば商売の方は大丈夫。
その日はエドから借りた本を読んで私は就寝した。
次の日、私は王宮へと向かう。
王宮の入り口付近で「透明人間」になると王宮に潜入を開始した。
えっと、カシムは東宮殿でキリルが西宮殿にいるのよね。
まずはカシムの方に行ってみようかしら。
私は王宮の東側の宮殿を目指す。
するとメイドたちが仕事をしながらおしゃべりしている声が聞こえた。
「そういえばカシム様の部屋に入った掃除担当の新入りのメイドが不法侵入で牢獄に入れられたらしいわよ」
「うわあ、カシム様の部屋は掃除しちゃいけないのにその子知らなかったのね」
「そうみたい。でもカシム様も変わり者よね。自分の部屋を掃除もさせないなんて。何か部屋に見られちゃ困る物でもあるのかしら?」
「その可能性はあるわよね。もしそうなら何があるのか気になるけど詮索して牢獄に入れられたら嫌だから詮索しない方がいいんじゃない?」
「それもそうね」
メイドたちの話を聞いて私も疑問に思う。
カシムは自分の部屋を掃除させないようにしているのね。
メイドたちの言ってたように見られちゃ困る物があるってことかしら。
そうなると「王家の魔法書」が部屋に置いてある可能性もあるわよね。
私は東宮殿と思われる場所に来るとカシムの部屋を探す。
普通は王族の部屋らしき場所には見張りの兵士がいるはずだが兵士がいるような部屋が見つからない。
困ったな。ひとつひとつ部屋を確認すると時間がかかるしな。
そこへ廊下の先からひとりの男性が歩いて来る。
豪華な衣服に身を包んでいる男性は茶髪に緑の瞳だ。エドから聞いたカシムの特徴と同じ。
この人がカシムかな。
私がカシムらしき人物に近付くとその人物が独り言を呟いているのが聞こえた。
「まったく私の部屋に侵入するメイドがまだいたとは。おかげで部屋の鍵を厳重にせざるをえなくなった。しかしアレを見られたら困るから仕方ないか」
自分の部屋に侵入したメイドの話をしてるってことはやっぱりこの人がカシムね。
見られたら困るアレって「王家の魔法書」のことかも。
私はカシムについて行くことにした。
カシムは東宮殿の奥にある部屋の前まで来ると辺りを見回す。
どうしたのかしら? ここが自分の部屋ならさっさと入ればいいのに。
それともさっき部屋の鍵を厳重にしたとか言ってたから扉に魔法でもかけたのかな。
「誰もいないな。本当はいちいち自分の名前を鍵の代わりに使いたくないのだが」
自分の名前が鍵ってどういうことだろう?
カシムは扉に手を当てて呟く。
「カシムリタ・ドラレイル・ギファ・タファンの鍵よ、開け」
すると扉が開いた。
どうやらカシムの本名を名乗ることで開錠になる魔法だったようだ。
自分の名前が部屋の鍵になってるの!?
どうしよう! カシムの本名も知っちゃった!




