第10話 エドと私の関係は特別です
「ちょ、ちょっと、魔族にとって大事な名前を私なんかに教えちゃっていいの!?」
「私なんかじゃない。ミアだから教えたんだよ。だってミアは俺の特別だから」
「…っ!」
まっすぐに向けられる好意を持ったエドの視線を受けて私は胸がドクンッと高鳴ったのを感じた。
この胸の高鳴りはギオンやライに感じたモノと同じだ。
え? うそ、もしかして私もエドに好意を持ってるの?
こんなとんでもない性格の魔王に……?
自分の想いがまだ私は受け止めきれない。
なので今はその自分の心から意識を切り離し仕事の内容に集中することにした。
「と、とりあえず、話の続きだけど、王家の魔法書の特徴ってどんなものなの?」
見つけ出す魔法書の特徴が分からなければ見つけた時にそれが王家の魔法書だとは分からないのでそう尋ねる。
するとエドは掌を私に見せた。
次の瞬間、エドの掌が光りそこに紋章が浮き出てくる。
二匹の蛇が剣に巻き付いている紋章だ。
「王家の魔法書の表紙にはこれと同じ紋章が描かれているはずだ。だからそれを探してもらえればいい」
なるほど。この紋章が手がかりか。
あとは二人の異母兄たちの情報が必要ね。
「魔法書の特徴は分かったわ。それであやしいと言ってた魔王様の異母兄の人たちはどこに住んでいるの?」
「カシムは王宮の東にある東宮殿でキリルは西にある西宮殿だよ。東宮殿も西宮殿も王宮と繋がっているけど侵入するのは大変だと思う」
「それは大丈夫よ。うちのシャナールはどこにでも侵入できるから」
透明人間になれる私に侵入できない王宮はない。
するとエドが不満そうな顔になる。
「ミアはずいぶんとシャナールを信頼してるんだね。ミアの特別って気がしてそのシャナール、気に入らない」
また訳の分からないことで不機嫌になったわね。
仕方ないじゃない。シャナールは私なんだから私が自分を信頼しないでどうするのよ。
そうは思ってもそのことをエドに説明できない私は別の言葉でエドに説明することにした。
「だからシャナールとは特別な関係じゃないってさっきも言ったでしょ。ただの仕事だけの関係よ。特別な関係だって言うならエドの正式名を知ってる私とエドの関係の方が特別じゃない」
「そうか。ミアと俺は特別な関係か。それならいいや」
しまった! つい、自分の本音が出ちゃった!
エドへの好意を感じていた私は無意識のうちにエドと自分は特別な関係だと口走ってしまった。
こんなの私がエドのこと好きって言ってるようなもんじゃない!
恥ずかし過ぎる!
私は羞恥心で顔が赤くなってしまう。
対するエドはニコニコと満面の笑みだ。
「ミアの特別になれたら俺は他に何もいらないかも。もう王家の魔法書がなくて真の魔王になれなくても俺はミアがいてくれるならそれでいいや」
いやいやいや、何を言い出すのよ、エド!
いきなり魔王がいなくなったら国が混乱するでしょうが!っていうか自分で自分が魔王ってバラしちゃってるわよ!
「ダメよ! エドが魔王なのは驚いたけど、エドが真の魔王になるのに協力するから真の魔王にならなきゃいけないわ!」
「あ、魔王だって言っちゃったね。でもミアがそう言うなら真の魔王になるよ。ミアの望みを叶えるって決めたし」
う~ん、エドが真の魔王になることがいつの間にか私の望みになってるってどういうことよ。
でも、この国のことを思えば魔王不在にするわけいかないし。
強い魔力を持つエドが魔王にならないでふらついていた方が危険だもんね。
よし! この国のためにもエドを立派な真の魔王にしなくちゃ!




