デートの選択肢について
すみません、予定より期間があいてしまいました……。
【うーん、この服で大丈夫かな……デートとか久しぶりだから……】
【公子ちゃん!】
【あ、女ケ沢さん! お待たせしてしまいましたか!?】
【大丈夫よ、アタシが早く来ちゃったの。うふふ、デートなんて久しぶりだわぁ。公子ちゃん、その服似合ってるわよ】
【女ケ沢さんこそ……】
【A かっこいいです】
【B 素敵な眼鏡ですね】
「何でよこの選択肢」
たまらず美夜はツッコミを入れた。
親友から渡されたシナリオを校閲している最中なのだが、ツッコミどころが満載の内容である。
その親友は隣で優雅に紅茶を飲んでいる。
「褒められたらとりあえず褒め返す。社会人で大事でしょ」
「そこじゃないよ……ピンポイントで眼鏡褒める普通?」
「初デートではないね普通。いつもと同じ眼鏡だし。なので好感度はAのほうがよく上がります。メガネゲーだからと安易に褒めていい訳ではないのだよ」
「そんな罠を」
「なお、二回目のデートでは眼鏡を変えて来てるので褒めるのが正解」
「うわぁ……」
フリーゲームだからと気を抜いてはいけないのよ……と笑う親友。彼女はプレイヤーをどうしたいのだろうか。
「タイトルとあらすじからしてネタゲーのはずなのに……」
「世の中ギャップ萌えが流行ってるんでしょ?」
「多分このギャップは求めてないと思う。……そういえばさ、やっぱり主人公のデフォルトネームは必要ないと思うな」
「そう? 主人公って一発で分かるデフォ名にしたけど」
「【主殿公子】はちょっと考えすぎというか……」
考えすぎてよく分からないことになっている気がする。
「まあそうね、フリーゲームだしね。名前くらいちゃんと入力してもらおうか」
あっさり美夜の意見を採用し、親友は修正を始めた。
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――などという会話も昔したな、と思いながら美夜は待ち合わせ場所に急いでいた。
今日は創との水族館デートである。もう冬なので屋内水族館にした。イルカショーも屋内らしい。都内ですごいなと思う。
駅の改札を出ると、そこにはすでに創がいた。
「すみません、遅れてしまって」
「電車遅延は仕方ないよ。無事に来れて良かった。――美夜さん、今日の服華やかでいいね」
「創さんも……かっこいいですね」
ふと先ほどのゲームの選択肢を思い出してしまい、無難な言葉が口から飛び出してしまった。
創は微笑む。
「ああ、水族館だからね。ちゃんと眼鏡は選んできたよ」
何故眼鏡の話になった?
「塩害に強いフレーム、っていうのがあったからそれにしたよ」
「水没を見越した選び方」
製造元も水族館での水没は想定していないと思うのだが、それはなんとか言わずに留めた。
「じゃあ行こうか。……ショーやってるかな」
「水没目当てじゃないですよね? わざと水没狙ってませんよね? ちょっと創さん、こっち見てくれます!?」
なお、水没は免れたが、席を探している時に他人とぶつかった弾みで指紋をつけた。そうきたか。




