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死後も現世で働きます!?  作者: 儚井 陽


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6/7

汗をかいてこその農作業

人の気配が途絶えた山奥。


「ここが幽霊農場です!」


案内役の農場班・班長(享年55歳・元ベテラン農家)が胸を張る。


「…普通の山にしか見えませんけど」


「そこがポイントです^^」


班長が地面に手をかざすと、ふわりと空気が震え、畑が現れた。


整然と並ぶ畝。

揺れる苗。

ちゃんとした農地。


「え、普通に野菜育ってますけど?」


「ええ。感情エネルギーを注入すると現世と同じように実体の野菜が育ちます。」


「エネルギーって?」


「未練や恐怖の感情をろ過したやつです。」


「説明が急に怖い。」


――幽霊社会の循環型エコシステムらしい…

SDGs的な…?


「収穫してみます?」


「え、いいんですか?」


「総務は現場を知るべきです。

意外と楽しいですよ~」


畑に入ると立派な大根が土から顔を出していた。


「立派ですね。」


「引っこ抜いてみてください。」


ぐいっ。


するり。


抜けた瞬間、大根が半透明になった。


「うわっ!? ゴースト化した!」


「お上手ですねぇ。

それが幽霊用食材です。」


プシュー。


「え!?」


地面に残った実態の大根がみるみるうちに枯れ果ててしまった。


「…証拠隠滅が完璧すぎませんか?」


「自然分解です。」


「私の知ってる自然分解じゃないんですが…」


――つまり


①実体を育てる

②収穫時に半透明化

③本体は土へ還元


生者には絶対バレない仕組みらしい。


「よくできてるなぁ…」


「幽霊ですから。」


――わぁ便利な言葉…


「ギャー!」


隣の畑から悲鳴が上がった。


「班長!! 失敗しました!!」


振り向くと――


紫黒く脈打つ禍々しい白菜がいた。

葉の隙間から謎の煙。


「野菜…ですよね?」


「ええ。配分を間違えるとこうなります。」


「間違えたらダークサイド堕ちるんですか?」


「未練の濃度が高すぎましたね。」


白菜がドクンと脈打つ。


「これ、どうするんですか?」


「まぁ、マニアックな食通幽霊が欲しがるでしょう。」


「そんなのいるんですか!?」


「“刺激が欲しい”という変な方々が…」


「幽霊なのにまだ刺激求めるんですか!? もう十分刺激的な存在ですよ!?」


後ろから別の幽霊が口を挟む。


「零さーん、ビビりすぎですよ。

たかが野菜にビビるってどうなんですか?」


「これが野菜に見えるあなたは眼科に行きなさい!」


「心霊スポット部署でもビビってましたよね。

そんなんじゃこの先どうするんですか?」


「うるさい!」


幽霊に幽霊扱いされる理不尽。


「ちなみに肉も同じ原理で手に入れますが、

感情のエネルギーで育成する方法は禁忌とされています。」


――なんとなく予想ができる…


「過去に調整ミスで山が一つ消えかけたそうです。」


班長がさらっと言う。


「なので今は自然に亡くなった動物の肉を半透明化して解体しています。」


「待ってください。説明が軽いです。」


「ちゃんと倫理基準は守ってますよ?」


「基準とか関係なしに怖いんですよ。」


「生者に危害は加えません。

そこは警察が厳しいので。」


――なるほど。


・殺さない

・奪わない

・自然循環


上手いこと回ってるんだ。

見た目以外は…


「ところで零さん。」


「はい?」


「この失敗した白菜、どう処理しましょう?」


「え、私に振ります?」


「総務は在庫管理もしてますよね?」


「こんなの管理したくないです!」


白菜がぼこっと音を立てる。


「ひっ!ごめんなさい!」


「あ、野菜に謝ってる…」


諦めて管理業務を進める。


失敗作:高未練濃度野菜

用途:物好き向け限定販売

注意書き:食後に幻覚を見る可能性あり


「お、仕事が早いですね。」


帰り道。

山の夕焼けの中ふと思う。


「……幽霊って、もう死んでるのにちゃんと生活してるんですね。」


「ええ」


班長が穏やかに笑う。


「死んでもお腹は空きますからね。」


――なんかちょっとだけエモいな…


ボン!


後ろで禍々しい白菜が爆ぜた。


「やっぱエモくない!!」


「零さんはやっぱり怖いもの耐性ゼロですね。」


「そこは評価しなくていい!」


こうして私はまた一つ、

幽霊社会の裏側を知ってしまった。


そして確信した。

どの部署もだいたいおかしいことに…

ご愛読ありがとうございます。

失敗した野菜、どんな味がするか気になりますね^^

登場人物が結構増えてきて混乱しやすいと思いますのでどこかで人物リストの投稿しようと思います!

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