84話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
鉢巻を取り合うゲームで野々香は雫とハラミと対峙していて、雫の結界の中には霧が立ち込めて周りが見えなくなっている。
初めは姿を現していた雫だが野々香と話した後霧の中に姿を隠したので野々香は霧を吹き飛ばすために風を起こすと少し見通しは良くなるがまたすぐに霧が濃くなってしまう。
何かしかけてこないか警戒するが不自然なほどになにもない。
野々香「うざったいな。」
何もない事に憤りを覚えた野々香は結界の中に風を起こし、竜巻を作った。
雫「ちょっ!」
雫とハラミは強い風で飛ばされないようにするのに精一杯でその場から動けなくなってしまった。
霧は竜巻に巻き込まれたが視界を塞ぐという役割はまだ保っていて、辺りを見ることはできない。
そんな時、風に耐えている雫の腕を何か掠める。
それは竜巻に巻き上げられた羽で、風に乗っている事によって柔らかい布なら割く事ができるだろう。
霧のせいで羽が隠れて視認できない事によりハラミも止める事が出来ない。
このままでは危ないと雫は結界を解いて竜巻から距離を取る。
竜巻は結界が解けると霧ごと霧散して消えたが、その際に巻き込まれていた羽や石が周りに飛ぶ。
樹霧之介「雫、ハラミさん、大丈夫ですか?」
雫「ごめん。足止めできなかった。」
ハラミ「こいつ意外と無茶苦茶やりやがる。」
樹霧之介達藍色チームはまずは野々香を足止めしてその間に全員で真琴の鉢巻を狙うという作戦だったようだが、野々香が雫の結界を破った時点でその作戦は成り立たなくなってしまった。
結界が無くなると野々香は錫杖を打ち鳴らし、それを聞いた茶色チームの式神が結界を張る。
野々香「今度はこっちの番で良いのかな。」
時間を掛ければ不利になると思ったハラミは念力で野々香の鉢巻を狙うが気づかれ、鉢巻を取られないよう押さえられてしまう。
野々香「先にあんたからね。」
野々香はハラミに標的を絞り風を起こすとハラミはそれに巻き上げられるが、すぐに風は止み空中から落とされて地面に着地しする。
ハラミ「何だったんだ?」
何をしたかったのか分からないハラミに6号が飛ばした志乃の声が聞こえる。
志乃「ハラミは鉢巻取られたから脱落だ。こっちに来い。」
それを聞いて慌てて首に巻いていた鉢巻を確認するが無く、野々香の方を見れば嘲笑った顔をして藍色を鉢巻を見せてくる。
ハラミ「あいつ、、」
野々香「雑ー魚。」
その言葉に怒ったハラミは野々香の方に駆け出そうとして出て来た志乃に抱き上げられる。
志乃「ハラミ、決まり事は守れ。野々香は煽るような真似をするな。」
野々香「弱いのがいけないんじゃん。」
ハラミ「あん?」
喧嘩する2人を見て志乃は溜息をつく。
志乃「2人で喧嘩したいのであれば野々香も失格にするぞ。そしてここから出て行け。」
野々香「う、、ごめんなさい。最初の勝負負けたの悔しくて調子に乗りました。」
志乃「それは誰に謝っているんだ?」
野々香「ハラミもごめん。」
ハラミ「いいさ。俺が戦闘向きでないのは分かっている。」
志乃「それと野々香、あまり攻撃力の高い術は控えてくれ。」
野々香「だけどこうしないとあの結界解けなかったもん。」
志乃「それでもこれは模擬戦なんだ。」
そう言う志乃に抱かれたハラミの肩の部分には竜巻で飛ばされた石か羽が当たったのか血が滲んでいた。
野々香「あ、、ごめん、、」
ハラミ「俺は平気だ。樹霧之介、雫、頑張ってくれよ。」
樹霧之介「ええ、負けません。」
雫「ハラミの敵は討つから。」
樹霧之介と雫はそう言ってハラミを見送るが樹霧之介はともかく、雫はあまり戦闘向きではないので真正面からの戦いは避けたいところ。
だがリーダーの鉢巻さえ取れれば勝ちとなる。
雫「樹霧之介が真琴の鉢巻取るまで保つかしら。」
そうぼそっと呟く雫に野々香は容赦なく風で雫の鉢巻を狙う。
雫はそれを上手く躱し、水で防御すると水は風を受けて飛沫となり野々香にかかる。
野々香「このくらいじゃ目眩しにもならないよ。」
そう言いながら雫と距離を詰めるが、急に野々香の動きが鈍くなる。
雫「やっと効いてきた。」
野々香「何したの?」
雫「私が得意なのは目眩しじゃないの。相手に状態異常をかける事よ。」
野々香「うわ、陰湿。」
雫「口悪いわね。だけどこれが効いてきたなら私にも勝ち目はあるはず。」
野々香「手の内明かすくらい余裕なんだろうけど、少し甘く見過ぎかな。」
野々香は錫杖を扇子に持ち替えると風の刃を放つ。
雫「ちょ。危な!」
野々香「動けなくても妖術が使えるなら余裕、余裕。」
雫「さっき浜名瀬さんに注意されたばかりでしょ!」
野々香「これに当たっても布が破けるだけで怪我はしないから平気。転んだ時は知らないけどね。」
雫「でもそんな事するってことは体、動かないのよね。勝利条件は鉢巻を取る事なんだから動けないなら避けれないでしょ。」
野々香「近づけなければ取れないでしょ。」
雫は野々香の風を避けながら近づこうとし、野々香は雫を近づけまいと術を放つ。
そんな攻防の横では樹霧之介と真琴も睨み合っていた。
樹霧之介は周りに木が無いため木の棒を操って真琴の動きを封じようとするが真琴は紙で棒に直接触れずに捌き、真琴が紙で樹霧之介の動きを封じようとすれば樹霧之介は真琴の癖を知っているので難なく躱わす。
両者とも相手の癖や動きを知っているため、鉢巻を取られることはないが決定打にも欠けていた。
中々決着がつかない試合を遠くの方から鼠色のチームの風見と茂蔵が様子を伺っていたが、野々香の術を見てから漁夫の利を取れたとしても勝てるのか不安になっていた。
そこで風見と茂蔵は小さく小回りが利くので外よりも室内の方が戦えると思い、良い場所がないか屋敷内を探す事にし静かに廊下を歩き色々な扉を開けていると、薄暗い部屋の棚に壺や瓶が並んだ場所を見つける。
物が多く奇襲も仕掛けやすそうな部屋で隠れられそうな場所を探して茂蔵は壺に化けて身を隠した。
風見「さっきあいつら観察していた場所に移動して気づかれたらここに来ることはできるか?」
式神は風見の問いに頷く。
風見「なら追いかけて来たらある程度距離あけてここに移動して連れて来てくれよ。」
式神は頷いて外の方へと移動して行った。
風見はそれを見送ると自分も隠れるために棚の上に行こうとして1つの壺を倒してしまい、風見がそれを起こそうとして蓋が開き、中身が溢れてしまった。
茂蔵「何してるんだよ。」
少し離れた場所から見ていた茂蔵もやって来て一緒に壺と中身を戻そうとしてると近くにいた管狐達が数匹やって来た。
一方で志乃達は藍色チームと茶色チームの戦いを見ていて風見と茂蔵の事は見ておらず、少し離れた場所から聞こえたゴトンという音を聞く。
志乃「何か音したか?」
6号「したと思います。位置的にはあちらでしょうか?」
陽葵「え?そう?」
4号「あっち、薬室だわ。」
4号は基本薬室にいるがハラミの怪我の手当てのために志乃達と同じ部屋に来ていた。
志乃「2号、管狐達が何匹かいるみたいだ。映せるか?」
2号「ちょっと待つの。」
4号「待って、この匂い酔霧茸よ。ご主人この部屋に結界張って皆を集めて。」
それを聞いた志乃は慌てて結界符を付けた棒手裏剣を部屋の角、8箇所に打ち込むと部屋全体に結界を張った。
陽葵「何?どうしたの?」
志乃「全員ここから出るな。人に効くものではないが陽葵も出るなよ。」
陽葵「何で?手伝うよ。」
志乃「いいから出るな。」
そう言って志乃は出て行った。
樹霧之介達は式神の結界内にいるため心配はない。
問題は茂蔵と風見、それと薬室を見に行った管狐達だ。
志乃が向かう途中、くしゃみの音と共に風が吹いて粉末が飛び散る。
見に行った管狐の中に10号がいて酔霧茸の粉末を吸い込んでくしゃみをした時に妖力が暴走して風が吹き、より酔霧茸の粉末をばら撒いてしまったのだ。
少し離れた場所に移動していたが、近い場所にいた鼠色のチームの式神を向かわせていたのでその式神と合流すると茂蔵と風見、数匹の管狐を抱えていてどれもぐったりとしていた。
これ以上酔霧茸の粉末を吸わないように式神ごと結界で包み、結界を張った部屋へと式神に運んでもらうと志乃は樹霧之介達の方へこの事を伝えに行く。
部屋に運ばれた茂蔵と風見と酔霧茸の粉末を吸い込んでしまった管狐達を4号が診て、他のもの達は心配そうに見ていた。
10号「クシュン。」
茂蔵「気持ち悪い、、」
風見「頭、ガンガンする、、」
陽葵「どうしたの?」
4号「酔霧茸の粉末を吸って妖力酔いになってるだけよ。」
焔「なあ、それは何なんだ?」
4号「酔霧茸は妖力を増やしてくれる薬に使っている物。このままじゃ強すぎて吸ったらこうなっちゃうけどね。」
焔「治るのか?」
4号「抜けるまで安静にするしかないわ。」
陽葵「だけどそれあなたは扱っているんだよね?」
4号「殆ど私がするのは処方だけ。調合はご主人がしてるわ。」
陽葵「へー。」
焔「なあ、ここから出る事はできないのか?」
4号「空中に舞ったら危険度が増すわ。だから部屋から出ないで。」
ハラミ「あいつに任せればいいだろ。」
焔「だけどじっとしているだけだとつまらない。」
その時ドスンッと大きな音が連続して聞こえてくる。
陽葵「何の音?」
7号「大百足の奴だろうな。あいつ酔うと暴れるから。」
5号「きっと、ここで楽しそうな事しているって覗いてたから吸ったんだ。」
陽葵「大丈夫なの?」
1号「ここはご主人の結界もあるから平気ですよ。」
陽葵「そっちじゃなくて浜名瀬さん、外にいるんでしょ。」
6号「ご主人なら平気、平気。大百足の扱いは慣れてるから。」
12号「だけど大百足、ご主人と遊んでもらってズルい。僕も行きたいな。」
4号「止めなさい。大百足は体大きいから動けているけどあなたが外出れば動けなくなるよ。」
その頃、樹霧之介達は酔霧茸の事は知らずに試合をしていた。
中々勝負が着かず、結界内なので雫は目眩しの霧を出して野々香に近づこうとしたので野々香は空いている結界の上に向かって風を起こして霧を晴らそうとしたが上にも結界が張られててそれができなくなっていた。
野々香「何で?」
そう疑問に思っているとドスンという音と共に大百足とそれに追われた志乃が目に入る。
真琴「え?何で大百足が浜名瀬さん襲ってるの?」
野々香は結界を解こうと錫杖を拾ってカンカンと音を出して式神に伝えるが結界は解かれない。
その間に大百足は志乃に追いつきその巨体で志乃にのしかかり大きな音が響いた。
樹霧之介「志乃さん!」
それを見ていた樹霧之介達は助けに行こうとするが結界から出る事はできない。
雫「早く結界解除してよ。」
野々香「さっきからやってるけど式神が反応してくれないの。」
真琴「なら壊せるか試してみる。」
野々香「できるの?」
真琴「大百足の足も切断できたんだから試す価値はあるわ。」
樹霧之介「それなら隅に寄りましょう。」
志乃「今結界の外には酔霧茸の粉末がばら撒かれてるんだ。この中にいろ。」
志乃はいつの間にか結界内に入って樹霧之介達の背後に立っていた。
樹霧之介「志乃さん。無事だったんですね。」
志乃「自分の式神にやられる事はない。」
真琴「っていうか酔霧茸の粉末?何でそんな物が撒かれてるの?」
志乃「風見と茂蔵が酔霧茸の粉末が入った壺を倒してそれを見に来た10号が風でばら撒いてしまったんだ。」
野々香「何そのピタゴラスイッチ。」
志乃「とにかく、そういう事だから換気が済むまでここに居てくれ。」
真琴「大百足は大丈夫なの?」
志乃「遊んでやったら寝たからあいつの周りにも結界を張った。」
雫「あれ遊んでたの?」
真琴「それで換気ってどこに流すつもり?」
志乃「常闇の封印を少し解放して吸い込ませるつもりだ。」
樹霧之介「大丈夫なんですか?」
志乃「霊力も戻っているから平気だ。だからお前らはここから出るなよ。」
樹霧之介「僕達にできる事はありますか?」
志乃「ここから出ればお前らも酔うぞ。すぐ終わるから。」
そう言って志乃は出て行き、しばらくすると樹霧之介達を囲っていた結界は無くなり管狐が部屋に案内する。
野々香「結局、試合の結果ってどうなるの?」
陽葵「引き分けじゃない?」
志乃「お前らは突っ込んで負けてたけどな。」
陽葵「う。」
焔「今度はそんな事ない。」
野々香「続きしようよ。こんなんじゃ納得できない。」
樹霧之介「ですが茂蔵と風見はまだ鉢巻取られてないんですよね?」
野々香「棄権で良いんじゃないの?」
酔霧茸の粉末を吸ったもの達はまだ動けそうにない。
真琴「だけどもう時間遅いわよ。あのままじゃ勝負つかなそうだしどうするの?」
陽葵「ならさ、志乃さんの鉢巻取った人が勝ちにしない?」
野々香「それ良いね。」
志乃「勝手に決めるな。」
雫「このままじゃモヤモヤするし、鉢巻取られてないもの達で決着つけましょう。」
陽葵「おー。」
志乃「お前は失格になっただろ。」
陽葵「私の鉢巻は取られてないよ。」
焔「ズルいぞ。」
志乃「まあ、私の管理不足でもあるからな。鉢巻の有無に関わらず参加して良いか。」
焔「なら俺も参加して良いのか?」
志乃「ああ。鉢巻は着けてこいよ。」
焔「おう!」
樹霧之介「志乃さんの鉢巻、チームで取るんですか?」
陽葵「もう個人戦で良いんじゃない?」
志乃「それだと不利なやつがでないか?」
陽葵「なら取れたら私達の勝ちで良いでしょ。」
志乃「分かった。」
真琴「余裕そうで怖いわね。」
陽葵「しっかり作戦立てれば大丈夫だよ。」
志乃「なら私は中庭に立っている。準備ができたら来い。」
陽葵「あ、浜名瀬さん。」
志乃「何だ?」
陽葵「結界使って誰も近づけなくするのはなしね。」
志乃「そんな事はする気無い。」
陽葵「あと式神で人数増やしたりとか、管狐もできれば使わないで。」
志乃「なら私は体術だけで防御する。それで良いだろ。」
陽葵「うーん。分かった。皆もそれで良い?」
全員が了承したので志乃は中庭に移動し、作戦会議が始まる。
それから志乃が中庭で待っていると焔と野々香が現れた。
志乃「2人だけ、ではなさそうだが?」
志乃が横を見ると不自然な地面が移動していた。
真琴「やっぱり隠れるのは意味無いんじゃない?」
樹霧之介「いえ、それでも見られなければ何しているかは分からないはずです。」
雫「これが隠れているかと言われたら微妙なところだしね。」
真琴「隠れんぼの時も見つかったからね。」
雫「当たり前だと思うけどね。」
真琴「浜名瀬さん、鋭いもんね。」
雫「、、そうね。」
野々香「志乃、よそ見しないでよ。」
志乃「何するかは知らないが先にお前らの相手をするか。」
野々香「あの時とは違うんだから。」
焔「志乃なら平気だろうが避けてくれよ。」
野々香が竜巻を起こすと焔がそこに炎を纏わせる。
志乃「焔はまだ炎の操作に不安なところがあった。野々香の風で火力を高めつつ操作するか。」
野々香「そう、体術しか使わないならこれ、避けるしかないでしょ。」
だが志乃はその近づいて来る竜巻に蹴りを入れると竜巻は無くなる。
野々香「霊力使うのは約束違う!」
焔「そうだ。ずるいぞ。」
志乃「身体を霊力で強化してそれで様々な効果を生み出すのも体術の内だぞ。」
野々香「そんなの聞いてない。」
志乃「身体強化に霊力使っているのは知っているだろ?」
野々香「そうだっけ。」
焔「なら数で勝負だ。多ければ一度に消せないんだろ。」
今度は焔は紅羽を辺りに飛ばす。
志乃「勉強しているのは良いが隙間が多ければ意味ないぞ。」
志乃は蝶の隙間を縫って焔に近づくと鉢巻を奪う。
野々香「数なら私も。」
志乃「その前に鉢巻の無いやつは退場しろ。」
志乃は持っている2本の鉢巻を見せると野々香は自分の鉢巻を確かめるがいつの間にか無くなっていた。
野々香「いつの間に。」
志乃「私が近づいても隙だらけなのが悪い。私の隙を作ろうとしてお前らが油断してたら意味無いだろ。」
志乃は後ろから近づく樹霧之介が振り上げた木の棒を腕で防御すると、樹霧之介は木の棒を操り志乃の腕に絡めて動きを止めようとする。
動かすのは妖力だが木の棒自体は普通の棒なので絡んだ木の棒は志乃の動きを少しだけ止めた。
そして志乃の横から水弾が飛んできて志乃は動く方の腕で防御するが濡れてしまい、逆方向から布を巻いた薙刀が足を狙って来るが志乃は跳んで避け、腕に巻き付いた木の棒を折る。
樹霧之介「分かってはいましたが志乃さんの動き、止める事できませんね。」
雫「私の状態異常も効いてなさそうだし。」
樹霧之介達は志乃を囲むように志乃から距離を取る。
そしてその距離は自分達の鉢巻が取られず、志乃が誰かと距離を詰めようとすれば他の2人で志乃の動きを妨害できる距離だ。
それでも構わず志乃は雫と距離を詰めて鉢巻を狙う。
だがその時に隠れるために使った真琴の紙を踏むとその下から木の枝が伸びて志乃に巻き付いた。
樹霧之介「草が生えてないからって油断しましたね。」
樹霧之介達が最初隠れていたのは木の玉をばら撒くためだった。
その木の玉を樹霧之介が操って志乃の動きを封じたのだ。
志乃「真琴の紙をわざわざ残したのはこの為か。」
樹霧之介「はい。本当に隠したかったのは僕達じゃないんですよ。」
志乃「わざとバレやすく移動してたのもこの為か。」
真琴「え?妖気が分からなければ見つからなかったよね?」
志乃「え、あ、、」
真琴「分からなかったよね?」
志乃「…。」
雫「後で自分で見てみなさい。」
真琴「え、、」
真琴は雫の言葉に志乃と樹霧之介が頷いたのを見て落ち込んでいる。
可哀想ではあるが志乃は木の枝を解くと油断している真琴の鉢巻を取った。
それから志乃は木の玉が隠れていそうな真琴の紙がある場所を避けて雫の鉢巻も取り、今度は樹霧之介に狙いを付ける。
志乃に狙われた樹霧之介はまだ持っていた木の玉を棒に変えて防御し、再度志乃の腕を絡めて動きを止めようするが志乃が触ってからそれができないようになっていた。
樹霧之介が志乃から距離を取り、それを志乃が追いかけようとすると志乃は結界に弾かれる。
その結界は志乃を囲んでいて、志乃は結界に閉じ込められていた。
志乃「紙に隠していたのは木の玉だけじゃなかったみたいだな。」
陽葵「そうだよ。まこ姉と雫さんの鉢巻取られた時はハラハラしたけどこれで浜名瀬さん、動けないでしょ。」
陽葵は真琴の紙の中から出てきた。
この結界は陽葵が張ったものみたいだ。
志乃「だがそっちも手出しできないだろ。」
その時上からハラミが落ちてきて志乃の頭に乗って鉢巻に手をかけるが志乃は鉢巻が取られる前にハラミの首根っこを掴んで持ち上げ、ハラミの首に巻いてある鉢巻を取る。
ハラミ「頑張ったのに、、」
志乃「最初の野々香の風で上空に行き、そのまま念力で止まっていたんだな。」
ハラミ「そうだよ。自分では浮かせる事はできないからバレないために野々香に竜巻起こしてもらったんだ。それから頑張って浮いていたのに、、」
志乃「上と下の両方での待ち伏せは悪くはなかったぞ。」
陽葵「だけどハラミが失敗した今、どうやって浜名瀬さんの鉢巻取ればいいの?」
陽葵が悩んでいると樹霧之介は結界内に落ちている木の玉が目に入り、それを操り志乃の鉢巻を狙う。
志乃「さっきばら撒かれた酔霧茸だがこんな使い方もできる。」
そう言って志乃は服から巾着袋を出すとその中の粉末を手に取り、樹霧之介が動かす木の玉にその手で触れると木の玉は暴走し、そこから伸びた木の枝は結界内を埋めつくした。
そしてそれは結界にヒビを入れて結界を砕き、伸びた木の枝の中から志乃が出て来る。
陽葵「それはありなの?」
志乃「あり、とは?」
陽葵「体術だけって言ったじゃん。」
志乃「体術でも武器や道具を使う事はあるぞ。」
陽葵「それはもう体じゃないんだから体術じゃなくない?」
志乃「武器も道具も体の延長だ。」
陽葵「そんなの屁理屈じゃん。」
志乃「分かった。もうこれは使わないでおこう。」
陽葵「なら結界の中から始めて。」
志乃「良いがあくまでもこれは鉢巻を取ることが勝利条件だぞ。」
陽葵「分かってる。」
志乃は陽葵の張る結界に入る。
志乃「試合再開で良いか?」
陽葵「うん、良いよ。樹霧之介も良い?」
樹霧之介「はい。いつでも来てください。」
志乃「なら。」
志乃が結界に蹴りを入れると結界は砕けた。
陽葵「え。」
志乃「これなら武器も道具も使ってないから良いだろ。」
陽葵「良いけど、初めから出れたって事?」
志乃「だがこの強度なら他の術を教えても良さそうだな。」
陽葵「本当!」
志乃「ああ。」
志乃は喜んでいる陽葵の鉢巻を取る。
陽葵「酷い。」
志乃「油断している方が悪い。」
陽葵「なら、さっき言っていた事は油断させる為の嘘?」
志乃「それは本当だ。樹霧之介、明日からの修行、たまに陽葵も参加しても良いか?」
樹霧之介「勿論です。」
志乃「そういうことだ。勉学を疎かにしないのであれば休みの日はここに来て良い。」
陽葵「本当!」
志乃「ああ。妖ノ郷にはハラミでも入れるようにしてもらう。他の妖怪に迷惑かけるなよ。」
陽葵「え?あの入り口は?」
志乃「直接来られると面倒だからあれは使えないようにする。」
陽葵「えー。」
志乃が陽葵と話している間に樹霧之介は木の玉から木の枝を生やして鉢巻を狙うが気づかれ、樹霧之介の鉢巻も取られてしまった。
志乃「これで試合終了だな。」
3人が部屋に戻ると先に失格になったもの達が待っていた。
野々香「あ、志乃!私もここで修行したい。」
志乃「お前には篁音がいるだろ。それに喧嘩する奴は呼びたくない。」
野々香「それは謝ったじゃん。」
志乃「まあ、最後には協力し合っていたものな。」
野々香「そうでしょ。」
志乃「なら今度篁音に私に対して借りを作っても良いのか聞くか。」
野々香「あ、それは、、」
志乃「お前の修行には私より相応しい奴がいるんだ。」
野々香「でも、、」
志乃「遊びに来る分には良い。だがお前も学校行っているなら勉学に励め。女優になるんだろう?」
野々香「、、分かった。」
不服そうな野々香だったが来ても良いと言う言葉に少し嬉しそうだった。
志乃「ほら、今日はもう帰れ。」
樹霧之介達は動けない茂蔵と風見を置いてそれぞれ帰って行った。
次の日になると酔霧茸の粉末を吸い込んで寝込んでいたもの達は元気になり、志乃は樹霧之介達の修行を付け、その中には陽葵もいた。
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