11、夢の中 《視点…リリィ》
「___________________ねぇ、」
「_____________ねぇ、」
「______ねぇ、」
「ねぇ!」
私は、はっとした。そこは教室だった。
「ねぇ、ゆづりん、聞いてる?」
目の前に美空が立っている。私は黄色い制服を着ている。周りを見渡す。皆がいる。同じクラスメイトの皆がいる。
「ごめん、もっかい言って?」
「だ~か~ら~、小森君、どこ行ったんだろうねって話!」
「小森? あ~、あいつの事だからどうせ風邪でもひいて、家でルービックキューブでもやってんじゃないの?」
「いやぁ、そんなことないと思うけど。」
「なんで?」
「あいつ鈍感だから風邪ひいても気づかないでしょ(笑)」
「そんなことないよ、あいつは鈍感こそあるけど、馬鹿ではないからね。馬鹿は風邪ひかないって言うでしょ?その逆。天才は風邪ひく。」
「あいつ、数学はやばいからね~、天才かどうかは分からんけど、とりあえず頭いいってことしか分からん。」
「そうそう。」
美空が去っていく。私は空いた視界から小森の席を見る。あいつに相談されたことを少し思い返す。私が何かまずい事でも言ったかもしれないと思ったが、何も思い当たる節は無かった。
「悠月、」
私は声がした方を向いた。そこには私の彼氏であるゆいが立っていた。
「なぁに、ゆい」
「____________________いや、」
「………………?」
「やっぱ何でもない、」
「え、?」
ゆいはそう言うと小走りに走っていった。
なにか私、やらかした?
またそんな言葉が頭の中を駆け巡る。
でもそんなことは思いつかない。いつもの事だ。
いつもいつも、こんな風に何かまずい事でもしてしまったんじゃないかって、誰かに迷惑かけてしまったんじゃないかって考える。
そうしてどんどん、どんどん、気づかぬうちに心を蝕んでいく。
心が汚水で一杯になってしまって、ため息で外に出そうとする。
でも無理なんだよ。
誰かに抜いてもらわなきゃ、無くなることは無い。
そうだよ、私は死ぬ前、こんな風に生きていたんだよ。
私はクラスの人に言われていた、高嶺の花なんかじゃない。
私は……………人間界不適合者だよ。
視界が突然真っ暗になった。
混乱して頭を殴ろうとする。
そこには自分の頭は無く、殴ることも、もがく事も何もできない。
私はここから抜け出す事を諦めた。
突然目に絵が映ったかと思うと、そこは自分が過ごしているいつもの学校だった。




