第80話 ジジイも見惚れる見事な花火でお別れ!
「ガハハ、ワシは愉快じゃ」
「ホレそこのハーフエルフ、俺にもっとお酌をせい」
「我は満足である、これから見られる物も更に満足させるであろう、括目せよ」
早めに洞窟温泉に入って出来上がったジジイ×3、
出てきてホテル最上階でこれまた早めに宴会を始め、
綺麗所をはべらせている、ハーフエルフの美人さんも2人。
(お座敷芸とかいうのもこの後、してくれるらしいわ)
その前に私はこの港町ブランザに、
最後のとっておきのお土産を打ち上げる事にした、
ビジランテ様にホテルに許可を貰い、一応、各ギルドにも事前報告を。
「さあティナさん、いつでも出来るぜ」
「はいビジランテ様、今回は魔力が尽きるまで」
窓際で大弓を支えてくれている老アサシン様、
私はコンベル様と一緒に魔法の矢を出現させて、
それぞれの腕には各妖精がしがみついている、眩しい光の矢……!!
「では海の上へ、派手に行きましょう」
「はい、光魔法も精霊魔法も精霊魔法も混ぜて」
「遠い島まで届くといいな」「私の魔力なら、色も変えられるはずよ」「ティニア、お願いするわ」
大弓を引いて、
一気に海へ放つと、
大きな大きな魔法花火が綺麗に……!!
パシューーンッ!!!
「うん、綺麗な白い花火だわ」
「ここまで綺麗なものは、わたくしどもしか無理ですね」
「さあ、どんどん行きましょう」「ボク、魔力まだいっぱい!」「次は黄色で行くわ」
こうしてティニアに色んな色を付けてもらい、
海の上で何発も何発も魔法花火が打ちあがる、
港の方々も喜んでくれていそう、そして遠くのエルフ島にも気配が伝われば……!!!
「どうだ、これがワシのパーティーの力じゃ」
「俺もここまで綺麗なのは初めて見た、酒が進むぜ」
「我が四人の妻も見ておるだろう、見事、お見事である」
最後の方は魔法の矢を三本同時で連射、
たまに魔力補給をしつつ、ありったけを込めて……
さすがに30分以上もしていると疲れ切って、そろそろお終いの空気に。
「では最後は7発一気で」
「ラストですね、派手に行きましょう」
「終わったらボク、気絶しちゃうかも」「じゃあ7色で行くわよ」
そして7本同時の矢が……!!
パシュパシュ、
パッシューーーーンッッ!!!
それを観たジジイ×3も超ご満悦。
「うむ、これもまたワシらの伝説になるだろう」
「これを観ながら飲み干すエルフ種は、最高だぜ」
「我はこの日のために戦ってきた、と言っても過言では無いのである」
……ふう、終わったわ、
静寂に包まれるとホテルの下からは、
大きな拍手が聞こえてくる、歓声までも……
(疲れ切ったわ)
窓際から離れて大の字になる私、
その上をへろへろになった妖精2人が飛んでくる。
「腹減った~」
「お腹が空いたわ~」
「はいはい、コンベル様」「ど、どうぞ」
沢山の葡萄に、
僅かに残していた魔力で浄化をかける、
それを喰らい尽くす勢いのエアリーとティニア。
「わたくしも少々」
「コンベル様もお疲れ様でした」
「この後の洞窟風呂が、心地良くなりそうです」
ビジランテ様も弓を部屋の中へ仕舞う。
「オレも良い物を見せて貰った」
「あ、地味に疲れましたよね、ありがとう」
「いえいえ、洞窟風呂へ行く前にティナさんも夕食を」
そんな思い出深い、
ブランザでの今回最後の夜を過ごしたのち、
翌朝にはホテルをチェックアウト、花火のお礼を深々とロラン様にされる。
「そういえば沖に、『最強の五人』の像があったのはご存じですか?」
「えっ、気付きませんでした」「最も長年の波で、95%は流されてしまいましたが」
「駄目じゃないですかそれ」「今は絶好の釣り場ですね、次回起こしの際は是非とも」
などという余計な情報を聞いたのち、
馬車でいよいよ出発、次なる行先はコンベル様が執事をしていた、
辺境伯領だけれどルートは任せば連れて行ってくれるそうです、胸に妖精を入れて。
「では運転はお任せ下さい」
「暇になったらエアリーの所へ行くわ」
「はい、しばらくはお願いします、たまにビジランテ様と交代を」
馬車に乗り込むと、
見送りに教会の皆さんの他、
人間に擬態したエルフのルビシーお婆さんも。
「きっと、きっと伝わったはずですじゃ」
「はい、あの花火は皆様に感謝を込めて」
「また来てくだされ、皆も待っておりますゆえ」
こうして馬車に乗り込む私達だったけれども……!!
「大変だティナ」「どうしましたエルディス様」
「エルフ酒が、もう、あと2本しかないぞー?!」
「呑み過ぎですよ、まったく、1本くらい残して大きな街で売りたいのですが」
無理ねこれじゃ。
「よし、割れないように俺が抱きしめておこう」
「それ絶対、いつのまにか飲み干してるでしょガイア様」
「こういうのは呑んでこそである」「スクウィーク様まで、まったくもう」
私の耳元で囁くビジランテ様。
「安心して下さい、1本だけ馬車の床下に隠してあります」
「さすが元『最強の五人』の良心、助かります」「馬車が走るようですよ」
「ティナ、またボクの同族に会えるかな」「エアリー、会えると良いわね、ううん、きっと会えるわ」
こうして港を出発した馬車は、
辺境伯領で新たなエルフ、そして妖精を求めて走り始めた、
新たな魔王を討伐する旅は、いよいよ本格化して行く……。
「ところでティナよ」「はいエルディス様」
「そろそろ、ワシらの新しいパーティー名を決めるか」
「えっ、今更?!」「俺はティナに決めて貰いたい」「我もである」「だそうですよティナ様」
そんな話が出つつも、第七章へ続く。




