第77話 ジジイとエルフと妖精と人魚のBBQの夕べ!
港に帰ってきたおじさんエルフの治療は、驚くくらいの効果だった。
「すごいすごーい、いつもの魔力の10倍だわ」
「ティニアさま、やはり聖女ティアさまとエアリーさまとの魔力連結で」
「そういうコンベル様も、ティニアさんと相性が良いのかも知れないわね」「だと嬉しいのですが」
色々と組み合わせを試せばわかるでしょうけれども、
さすがに2人+2妖精でそれをするのは面倒くさいわ、
そんなことより最速で完璧にささっと治した方が色々と早い。
「ううう、俺の足が、これでまた踏ん張りが利く、ありがとう」
「貴方で最後ですね、お代は自由ですが」「捕って来たばかりの魚だ!」
「申し訳ありませんが生物は」「コンベルさん、今夜は良いわ、だってほら」
エルフの皆さんが、
海岸で野外BBQの準備をしてくれている良い匂いが、
何気にパインとか果物なのに焼いてるわね、浄化すれば妖精でもイケるかしら?
「よろしいのですか」
「貝殻よりもはよっぽど」
「さっき酒と換金したぞ」「エルディス様いつのまに!」
まあ現地のお金ですものね。
ということで皆さんが準備をしてくれている中、
今後の予定についてエルディス様たちと話し合う。
「それにしてもなんじゃ、そのけしからん格好の妖精は」
「仕方ないでしょ、こういう形なんだから、どうしろっていうのよ」
「もっとこう隠すとか、もしくは人間の大きさになるとか」「無理ね」
エアリーがティニアさんの前に出る。
「無理じゃないよ、マザーツリー7本の会うと何でも願いが叶うって!」
「ほ、本当に?!」「なんでもそれで人間になった妖精が居るらしいよ!」
「それは、ちょっと」「ならティニアの夢は?」「やっぱり、その、お婿さん」
はにかみながら、エアリーを見て頬を染めている。
「なんだ、この妖精、生えているのか?!」
「私がお婿さんになるんじゃなくお婿さんが欲しいの、そこの人間戦士!」
「ガイアという名前があるぞ」「とにかくこれから仲間になるんだから、ね?」
力関係を後でちゃんと伝えないと、
妖精が逆らえない(はずの)私には更にその上、
リーダーで勇者のエルディス様が居て、ガイア様はその盟友ですって。
(まあ、最終手段としてエアリーをダシに使う手もあるけどね)
それよりも今後の話よ。
「とりあえず大陸に戻って、次の行先はどうしましょ」
「妖精は手に入れたしなあ、魔王を探すか」「エルディス様、魔王の居場所は」
「知らん、ガイアは」「俺も知らん、スクウィークは」「我も知らぬゆえ、ビジランテ……ビジランテ?」
あっ、しれっとBBQ設営の手伝いをしている、
ほんっと下っ端ってああいうのが身に沁みついている、
むしろ焼き付いているっていうレベルね、呼んじゃいましょう。
「ビジランテさーん」
「はいはいティナさん、BBQの準備が整いました」
「復活する、復活した? 魔王ってどこに」「最有力はグランジュラ大森林ですね」
やっぱりあそこかあ。
「この後、いきなり行っても大丈夫?」
「陸路はきついかと」「えっどうすれば」
「空路ですね、ドラゴンをティム出来れば」「そんな無茶な」
ここで挙手するコンベル様。
「いかがなさいました?」
「わたくしが仕えていた辺境伯領に隣接する山脈に、
竜人族が住んでいまして、そちらにお願いすれば空路を確保できるかと」
そんなことが!
「どっちみち、エアリーのためにその辺境伯領は行く予定があったわね」
「行く! ボク、3本目のマザーツリーに会いたい!」「私も他の妖精が居るなら会いたいわ」
「エルディス様は」「大森林を目指すには順番としてそちらじゃな」「ガイア様」「異論ねえな」
一応は他の皆様にも。
「スクウィーク様は」「竜人魔法というのがあれば我は見てみたいぞな」
「ビジランテ様」「オレは立場的にみんなに従うよ」「ということですコンベル様」
「案内はお任せ下さい、ひょっとしたら馬車の馬が必要なくなるかも知れませんよ?」
みんなの焼き網の前に、
魚や貝が配られる、お肉も少しあるわね、
島でちらっと飛べない走る鳥を見たけど、あの肉かしら。
「おお、沖をご覧くだされ」
エルフ族長さんの言葉に見ると、
海から上半身だけ出した女性たちが歌いはじめた、
中央は確かシュガルさん、ということはみんな人魚さんね。
♪~~♪~~~♪~~~~~
夜空の下、
素敵な歌声を聞きながらのBBQ、
新たな妖精も仲間に出来たし、良い思い出になりそうだわ。
「よし、今夜は朝まで呑むぞ!」
「だな、俺も今日ははめを外させて貰おう」
「我も潮風をツマミに大いに呑むのであーる」
まったくもう、
この酔っぱらいジジイ共はー!!
……ま、今夜くらいは良いわよね、私は普通に寝るけど!




