第72話 ジジイ達と海を渡る!
「はい治りました」
「おお、さすが聖女さま!」
「あっ、お布施に生魚は困ります」「焼けばいいってもんでもねえぞ!」
エルディス様が睨みをきかせてくれたおかげで、
海の荒くれ男みたいな方も普通に路銀を入れてくれた、
こうして最後の患者を終え、ようやく船に乗る事ができる。
「ごめんねエアリー、はい林檎」
「んぐんぐ、ボクはいいけど婆さんエルフ待たせてるんじゃ」
「そうね、夜も遅くなっちゃったから、もう出ちゃってるかも」
確か島まで片道4日だったわね、
逃すと下手すれば次は8日後とか?
ビジランテ様がついてくれているらしいので大丈夫とは思うけど。
(ガイア様やスクウィーク様も、いつのまにか居なくなったし!)
コンベル様にも浄化林檎を。
「エルフの気配はまだ港に」
「感じるのですか」「一度お会いした相手でしたら尚更」
「エルディス様」「うむ、では行こうか」「はい、急いで」
稼いだ路銀から借りた教会へのお布施を置き、
いやこのあたり厳密には別なのよねってそんなの説明している場合じゃないわ、
教会から出て港へ、どの船かしら、と探すと……ビジランテ様がボロ船の前に立っていた!
「ビジランテ様!」
「ティナさん、エルディスさんにコンベルさんも」
「ボクも居るよ!」「エアリーさんも、食料やお酒は全て積み終えていますよ」
中に入ると意外と綺麗、
ボロボロなのは外見だけみたいね、
そしてすでに宴会を始めていたガイア様とスクウィーク様。
「おうエルディス、こっちだこっち」
「追加の酒は持ってきたのであろうな?」
「ああ、これだ、これで4日は持つだろう」「えっ、いつの間に?!」
治療のお布施でお金じゃなくお酒で払った人でも居たのかしら、
それはそうとコンベルさんがあたりを見回している、そしてひとこと。
「ルビシーさまは」
「えっ誰?!」「エアリー、エルフのお婆さんよ」
「それでしたら、あちらですね」「えっビジランテさん、そこは棚では」
覗いてみると……!!
「ZZZzzz……」
「あら、寝てるわね」
「お酒を呑まされて熟睡中です」
でもなんでこんな所へ?!
「狭いから俺が乗せた」「ガイア様……」
「それはそうと行こうではないか」「スクウィーク様、運転は」
「前方の鍛冶に魔石がはまっておる、エルフがそこへ魔力を流し込めば勝手に走って着くそうである」
コンベル様が手を伸ばすと、
確かに反応して光った、しかし……
「魔力が足りないようです」
「あらまあ、どうしましょう」
「ボクも手伝うよ!」「申し訳ありません」「では私も」
コンベルさんの手に私の手を重ね、
さらにエアリーが両手を乗せると……!!
「きゃあ?! ま、眩しいっ!」
「うおお、急発進したぞ?!」「エルディス様、どこかにお捕まり下さいっ! ガイア様もっ」
「なんと、もう港を出たぞ」「今度は魔力が強すぎたようであるな」「スクウィーク様、そんな悠長にっ!」
とんでもない速度の船、
にもかかわらず身体を半分乗り出すビジランテ様!
「これは海の上を、水切りのように跳んでいますね、予定よりかなり早く着くかと」
「あの、手を放しても良いですか?!」「危険である、この状況で急停止は自殺行為であろう」
「そんなスクウィーク様、こ、こうなったら、ルビシー様っ!」「……zzzZZZ」「なんでこの状況で熟睡できてるのおー?!」
私の声も空しく、
船は海を突っ走り続けるのでした。
「あーあーあー、ボク知ぃーらないっと」
「仕方ない、こうなったら呑むぞ!」「おう、呑もう呑もう」
「こういう時は呑むに限るのである、ビジランテ、注ぐが良い」「はいはい、ティナさん頑張って」「そんなぁ」
こうして本来は4日かかるエルフ島へ、
朝日が昇る頃には到着してしまったのでした。
「……止まっ……た? エルディス様!」「ZZZzzz……」
「ガイア様!」「ZZZzzz……」「スクウィークさ」「zzzZZZzzz……」
「んもう、ビジランテ様」「……zzz」「コンベル様?」「ゥゥ……眠い……」「エアリー、は手の上で寝てるわね」
後は……
「ルビシー様!」「……はっ、こ、ここは?!」
「到着したみたいです、見て来てはいただけませんか」
「ふぁあぁぁ……どっこいしょ……では外へ、あんれまあ、もう到着かえ」
良かった……私も寝よう。




