第71話 港の教会でジジイは気付いた!
「はい次の方どうぞ~」
翌朝、海の見える教会、
豪華なビュッフェ朝食を終えていつもの辻治療へ、
ただやってきた人々は口々に『もう少し時間が早ければ』と……
「ウチの子をお願いします」
「はい病気ですね、少しお時間を」
「あと、旦那が港へ戻ったら昔の怪我が」
そう、成人男性は早朝から漁に出ていて、
肝心の『本当に治して欲しい人々』が居ない、
こればっかりは察しが悪くて申し訳ないと少し反省。
「……はい次の方~」
「おう、俺はこの腕が神経やられちまってもう漁に」
「これは少し多めに出していただかないと」「いくらだ」「自由です」
コンベルさんにも手伝って貰って、
目一杯の治癒魔法をかける、これは魔力を一気に奪われる、
胸元のエアリーもちょっと唸るくらいに……私も頑張って……ふうっ
「おお、動く、神経が戻った!」
「お布施は自由ですが魔力が相当かかりましたので多めに」
「ありがとう、ありがとう、ありがとう」「はい、少し休憩を頂きます」
3回お礼を言ったということは、
エアリーに気付いている? 無意識かも、
気のせいかしら、まあいいわ、控室はなぜか懺悔室をあてがわれた。
「はいエアリー、カットパインよ」「うんめ、うんめ」
「コンベル様も」「ありがたいです、先ほどの2連続は、さすがに」
「それでここまでエルフは」「1人だけ1部、8分の1ほどエルフの血が入った方が、ただ我々に気付いている様子は無かったかと」
そう、エルフや魔力の強いハーフエルフならば、
人間に化けているコンベルさんや私の胸元の妖精に気付くらしい、
ただこれまで、いかにもエルフって感じの人はまだ来ていない、もちろん治療は始まったばかりだけれども。
(ちなみに4ジジイは冒険者ギルドです)
回復役がこっちだから、
勝手にダンジョン潜るとかはしていないはず、
そのあたりはビジランテ様がしっかりしているでしょうから……
「ティナ、もういいぜ!」
「ではコンベル様」「はい、参りましょう」
戻って治療を再開していると……
「これは、ティナ様」
「えっ、そうなの?」
「はい、間違いありません」
上品そうなお婆様、
人間にしか見えないが、
コンベル様が気付いたということは……!!
「最近、神経痛でねえ」
「はい、では早速……いかがですか?」
「こ、これは、痛みが取れて……ありがたやありがたや」
拝まれている、
しかも私の胸が!
ということは、そこに居るエアリーに?!
「お布施は自由ですので、それで」
「実はもうお一方、治して頂きたい方がおりましてねえ」
「それは、あっ、漁に出られているとか」「いえな、私の住む島に」「あっ」
エルフの隠し島ね。
そこへコンベルさんが。
「失礼、それはお急ぎでしょうか」
「出来れば今夜にでも、人間の方が並んでらっしゃいますから」
「わかりました、わたくしコンベルと申します、それで定期便は」
人間の方、て言ったということは、やはり。
「では今夜、商業ギルドでお待ちしておりますわ、それで」
「はい、失礼ですがお名前は」「ルビシーと申します、それでは」
「いやお布施払えよ」「はっ、はいっ!」「あっ、エアリー!」「命令になってしまったようです」
コンベルさんの言う通り、
エアリーすなわち妖精の言葉には抗えないみたい、
少しで良いのに有り金全部出しちゃったみたいなので半分返す。
(丁寧にお辞儀して出て行っちゃった)
何はともあれ、
エルフはなんとか捕まえられたみたい、
今夜かぁ、エルディス様たちに、ちゃんと伝えなきゃ。
「では次の方~」
「精神的ショックでここ十年、起たねえ」
「はいはい、これも立派な病気ですからね、って何があったんですか何が」
ちなみに奥様が漁師で、
この方が家を護ってらっしゃるそうな、
という感じで辻治療で路銀を昼食前まで稼いだ所で。
「うおーい、情報収集してきたぞ」
「あっエルディス様、皆様」「結論から言う、エルフは居る!」
「でしょうねえ」「ただ冒険者ギルドはいかに勇者相手でも言えないそうだ」
あっ、もう見つけたの教えないと。
「ええっと、貸切でどこかの個室で昼食を」
「おっ酒か?!」「お酒代はご自分でどうぞって陛下からの支度金ですよね?」
「そろそろ危ないかもな」「知りませんよ、尽きたらお酒は当分無しですからっ!」
いやそんな、ジジイ揃って、
素で寂しそうな顔しないでよ……。




