第8話 まさかのジジイ参戦、妖精ともご対面!
「よくぞ戻った伝説の聖女クレア最後の弟子ティナよ」「はい陛下」
「仲間は基あったようだな、引き続きかつての勇者パーティーその弟子や子孫と、魔王を倒してくるのだ」
「行って参ります、大陸各地に出現したという魔王、その全てを倒す長い旅、教会を代表し、必ず成し遂げたいと思います」
そして私の背後に目をやる国王陛下。
「わざわざ伝説の勇者、エルディスまで見送りに来てくれたか、
それでティナよ、今回選んだエルディスの弟子はどこだ、まだ支度中か?」
「いえその実は」「そうか、エルディスの息子、サムエルの弟子であったか、して」
きょろきょろ見回す陛下に、
私の後ろのエルディス様が声をあげる。
「行くのはワシだ、弟子では頼りにならん」「……うそ~ん」
ちょ、陛下に何て声を出させるのよ!!
「私から説明します、候補はいましたがまだ力不足ということと、
魔王討伐パーティーが私だけという訳にもいきませんので、複数パーティーで、
いずれの合流を視野に入れて、それまでの仮ということでエルディス様にご協力を」「そういうことだ」
私の隣へ来て胸を張るエルディス様、
陛下は少しため息をつきつつ、私たちに話を続ける。
「わ、わかった、勇者は選ぶのが大変だからな、
とりあえずは良い、では他のかつての勇者パーティーを尋ねるが良い」
「はい陛下」「案内はワシがする、陛下はふんぞり返って待っておれ」「……期待している」
うん、力関係はエルディス様のが陛下より少し上なのか、
もう何も言えないっていう感じかな、私としても致し方ない感じ、
まさか84歳のお爺ちゃんを連れて行く事になるなんて……とりあえず来賓室みたいな所で待機させられる。
(エルディス様と、ふたりきりにされちゃった)
紅茶を淹れてくれたメイドは外で待機、
呼べば来てくれるけれど、とりあえず目の前のジジイ(失礼)とお話しよう。
「おわかり!!」「はっ、はいっ」
アツアツの淹れたて紅茶をもう飲み干したエルディス様、
私は慌てて次のを淹れる、どこの頑固親父いえ頑固ジジイなのよ、
大陸史上最強の勇者とは聞いていた、84歳にしてそのオーラは健在だわ。
「それでだ、隣の街にガスタが居る」
「ええっと、伝説の戦士様ですよね? かつてのお仲間」
「今でもウチの勇者と定期戦をしておる、ヤツの所にも勇者に匹敵する戦士が居る」
そこで新たな仲間を、
場合によっては2人加えてエルディス様は指揮的立場で構えて貰うのも可能ね、
軍師的な、まだそこまでの組織的なパーティーには早いけれど、自分の身は自分で護れるでしょうし。
「わかりました、ご紹介していただけるのですよね?」
「陛下の命令だろうからな、ヤツも逆らうことは出来ない、
選定はワシも加わろう、他に何か質問はあるか? 何でも聞け」
今のうちに聞いておきたいこと……
奥様はもう亡くなったのよね、ってそんなことじゃなく、
とりあえず不安なのは、あの訓練ダンジョンでの出来事だわ。
「階段で転んでいらしたようですが」
「あれか、確かに転んだ、このでかい身体だからな、
しかし多少、身体を打ちつけてもビクともせん、ほぼ無傷だ」
だから弟子の勇者もそれほど慌てなかったのね、
あの様子だと階段から転げ落ちても平気なのでしょう、
どれだけ頑丈なのよっていうのは伝説の勇者様だからこそ、筋肉もおそらく魔力で覆ってらっしゃる。
「体力的には」「まだ孫弟子たちとは走り負けておらん」
「それで、どこまでご一緒していただけるのでしょうか?」
「とりあえずはワシの仲間、残り全員と会うまでだな、スムーズに会うために」
確かにエルディス様に取り次いで頂いた方が早いでしょうね、
いかに陛下の紹介があっても、それが本物かみたいな感じで待たされるよりは、
さっさと元仲間が訪ねた方が、そういう意味で大勇者様の同行は感謝しないと。
「わかりました、よろしくお願いします」
「戦闘も当分は任せておけ」」「では私は補助と回復を、本当にお付きは連れて行かなくても」
「むしろ邪魔になる、ではワシからも聞いて良いか」「はいどうぞ」「ティナの、心の声に出てきて貰おうか」
私は胸元を少し開ける、
覗かないのはさすが紳士的な勇者様ね、
そして出てきたのは私の妖精、くるりと回って腕を前に構えてご挨拶。
「やあ、ボクはエアリー、妖精さ!」
「ほうほう、五十年以上前に見て以来だな」
「同族を知っているのかい?!」「ああ、魔王討伐の最中に集落があった」「マジでー?!」
喜んでいるエアリー、
私と会った時は、もうすでに1人だったらしい。
「場所もうっすらと憶えておる、かなり遠いがな」
「連れて行って! ボク、会いたい!」「おう、まだ居ると良いが当時から妖精は滅びた事になっていたからな、保証はできん」
「でもマザーツリーがあるなら!」「奴らの村にあった『母なる大樹』か」「ボクもそれに護られていたんだ、出たと同時に枯れちゃたけど」
それでもう、
エアリーの居た妖精の村は森に還ったらしい。
「して能力は」「基本的にはティナを護るけど、組めばパーティーメンバーも!」
「そうか、階段から滑り落ちた時に助けてくれたのは」「ボクだよ、魔力も回復させるよ!」
「……魔力で体力を回復、ではなくか」「魔力で魔力を回復させるよ!」「それは凄いな、マージュが泣いて喜ぶ」
確か、伝説の大魔法使いがマージュ様ね、
かつての魔王討伐パーティー、エルディス様のお仲間。
「これからよろしく頼むよ!」
「ああエアリー、心強い仲間だ」
「ジジイも頑張れよ!」「こらっ」「良い良い、ジジイなのは事実だからな!」
コンコンッ
「失礼致します」
その声に慌てて私の胸元へ隠れるエアリー、
扉が開かれて入ってきたチョビ髭のおじさんにエルディス様が反応する。
「おお宰相!」
「当面の支度金をお持ちしました、紙幣ではなく金貨の方が良いでしょう」
「確かる」「あと、他の元パーティーの皆さんへの、陛下からの書簡です」
こうしていよいよ出発となるのだけれど、その前に……。




