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ファンタジジイアドベンチャー!  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 貿易都市でジジイは美食家となる! 編

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70/90

第64話 ジジイ料理の真骨頂!

「では早速、フルコースをご堪能下さい」


 酒場の一角、調理場の一部を借りてコンベル様が料理を作ってくれた、

 そこで待つなぜかお肌が艶々の勇者ジジイと戦士ジジイあとおまけにリアライさん、

 スクウィーク様は難しそうな本を読んでいる、ビジランテ様はコンベル様と一緒に料理を運んできた。


「まずは前菜とスープで御座います、トーキングマンタとブラッディコーンのスープ、

 前菜は色とりどりの9色サラダにドレッシングは酸味を利かせたブラックベリーで御座います」

「ティナさんもどうぞ」「あっはい、ビジランテ様は召し上がらないのですか」「先に試食で頂きました」


 もう食べた後なんだ。


「ワシには、まあまあじゃな」

「俺としては圧倒的に量が足りんっ!」

「このスープ、深みがあるな、言ってはおらぬ隠し材料があると見た」


 なにこの美食家面びしょくかづらしたジジイ3人!

 リアライさんは普通に美味しそうに食べているんですが、

 では私も……うん、美味しい、でもスープはちょっと刺激が強すぎるかな。


「スープは毒イモリの毒を抜いたものを干して粉にして混ぜております」

「なるほど、だから『まあまあ』まで仕上がっておるのじゃな」「おかわりを頼む」

「魔力回復効果も少しだけあるのである」「あの、サラダが地味に美味しいです、ありがとうございます」


 そして私の方にだけある、

 小さな皿に盛られた珍しい果物たちから、

 適当につまんで浄化しエアリーにあげる。


「うめえうめえ、なんだこれ」

「アボガドでございます、甘さ控えめで」

「んごっ、こういうのもあるんだな、こういうのもいいんだよ」


 エアリーまで美食家気取りになってるわね。


「続いて魚料理で、キラーファットフィッシュの……」


 とまあ料理や美食家となったジジイ達の実況は置いといて、

 謎の巨大魚料理を頂きながらコンベルさんについてお話を聞かなきゃ、

 ジジイ3人が味の感想を述べた後の、静かなタイミングを見計らって……


「それでコンベルさん、そもそもなぜ辺境伯家に」

「はい、辺境伯領にあるエルフの森、そこを護るために生贄として」

「自らを差し出したのですか」「そして人間の年齢で70歳になり解放、と言いたいのですが……」


 エアリーに追加の果物、これは?


「ドラゴンフルーツですよ」「ビジランテ様、ありがとう」

「それで冒険者か」「エルディス様、実は森を出たエルフは戻れないのです」

「なんだ追い出されたのか」「ガイア様、あくまでもおきてです、人間界は不浄というしきたりが御座いまして」


 だから人間との交流があまりなかったり、

 エルフが人間界へ来ても正体を隠しているのかしら。


「ふむ、我としてはエルフの森に案内して貰いたいのであるが」

「スクウィーク様、普通は無理ですが『妖精の命令』という形であるならば」

「ボクが命令すれば良いの?」「さようでございます」「じゃあ早速」「エアリー、まだ食事中よ」


 たった今から出発されても困る、

 お魚美味しいし……これは多分、味付けが美味しいのだわ。


「コンベル様、料理は全ておひとりで?」

「いえビジランテさまにもお手伝いをして頂きました」

「レシピはコンベルさんですよ」「私も手伝ったのに」「疲れていらしたので」


 確かに終盤の治療ラッシュは大変だったわね、

 コンベル様だって魔力を取られていたはずだけど……

 エルフだと魔力消費の疲労も、人間と違うのかしら?


「それではメインのラミアステーキです」

「おお、ワシ達が運ばされた!」「大きいのを二体もな」

「色が紫であるな、これは美味しい匂いである」「始めは塩コショウだけでどうぞ、ラミア酒も一緒に」


 いかにも濃い紫のワイン、

 これ毒が入っていそうな色ね、

 ちなみに私には普通のジュースです、が一応、隣のワインを見ながら質問。


「コンベル様、これも毒抜きを?」

「はい、肉は毒の無い部分で、ワインは毒を中和する素材を混ぜて」

「呑んで大丈夫なんですか?」「もちろんですが呑み過ぎると精がつき過ぎます」「よしワシはいっぱい呑むぞ」「俺も俺も」


 メインディッシュを頂きながら、

 最も大切なお話の確認をしなくちゃ。


「それでコンベル様、今後は」

「はい、是非ともエルフの森を案内させて頂きたい」

「それはすなわち」「そしてこのパーティーに加えていただければ」


 エルディス様達を見回す。


「うむ、こんな上手い酒を仕込めるならワシは歓迎じゃ」

「俺もこれだけの料理人であれば及第点だ、連れて行こう」

「我としてもエルフの知識は求めている所である、貴重なのでのう」


 3ジジイが合格なら文句無さそう。


「ビジランテ様は」

「馬車を引ける方が増えるのは、ありがたい所です」

「そうよね」「ティナさんは」「エアリーが喜んでるから」「妖精の情報も欲しいからな!」


 エルフの森へ行けば、

 きっと妖精についても何か……!!


「では少し早いですがデザートを、果実酒もご一緒に」

「コンベルよ、今後の食事番は任せた!」「酒の調達も頼む」

「エルフの森の案内もである」「オレも手伝いますから」「ビジランテ様が手伝うのでしたら私も」


 と、果物を浄化してエアリーに、

 がっつくエアリーを横目にコンベルさんにも。


「コンベルさんもどうぞ」

「し、しかしまだ」「もう大丈夫ですよ」

「そうですか、では少しだけ」「こちらに座られて」


 そして浄化果物を食べると……


「美味であります、これは美味でありますっ!」

「あっ、エルフが出ちゃった」「止まりません申し訳ありません」

「なあに、他の客からは見えん、それよりビジランテ、酒のおかわり」「はいエルディスさん」


 こうして紳士ジジイ(エルフ)が仲間に加わったのでした、

 戦力的にも機動力的にも補強できたうえにエアリーのお仲間探しまで!

 もちろんお料理が得意なのは、街の無い場所へ行った時に役立つでしょうね。


(ここで野外料理道具も買ってあげなくちゃ)


 こうして美食家ジジイ誕生の夕食を楽しんだのでした。

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