第58話 ジジイの前で自称エルフが!
「ちょ、ここ高級レストランよね?」
「エルディスさん達がお待ちになられております」
「お詫びに夕食を奢るって言うから来てみたら……」
辻治療もひと段落し、
迷惑かけたということで珍しくジジイ×3から、
食事に誘われて来たらとんでもなく豪華なレストランだった。
(まったくもう、陛下からの支度金が尽きちゃうわよ?)
そろそろ自分で稼いで欲しい、
などと思いながら席に着くと、
テーブルの中央に綺麗な果物の盛り合わせが。
「エアリー、興奮しないの!」
「新鮮! めっちゃ新鮮! はやくぅ」
「はいはい、どれから?」「どれでもー!!」
ジジイ達はというと、
いかにも高そうなワインを呑んでいる、
いきなりまったくもう、食前酒にしては豪華過ぎるでしょう。
「ビジランテ、それでエルフは」
「はいエルディスさん、では1人目を」
やってきたのは背の高い男性、
とはいえ普通の人間っぽいのですが。
「ジヌと言います、弓使いです」
「エルフか」「エルフと同等の能力があります」
「ではエルフでは無いのか」「エルフと言って良い冒険者です、是非、仲間に」
エルフじゃないじゃん!
「わかった下がれ、次」
続いて入れ替わりでやってきたのは……!
「奴隷商のマージと申します、エルフはこちらに」
首輪と鎖で繋がれた少年がやってきた、
でもこれまたエルフっぽさが皆無なのですが。
「本当にエルフか」
「256分の1、エルフの血が入っております」
「それはもう人間ではないのか」「エルフ成分はあるかと」「次だ」
続いては……あっ、女エルフっぽい!
「スタンナです、よろしくお願いします」
「エルフか?」「村祭りの『エルフコスプレコンテスト』で優勝しました」
「ではエルフではないのか」「限りなくエルフに近づけてきました」「次だ次!」
ちなみにガイア様スクウィーク様は、
普通に高級ワインを嗜みながら見ている、
あっこれってひょっとして『酒の肴』っていうやつ?!
「エルフ踊りの儀式を継承している者です」「次!」
「ハーフエルフと付き合ったことがあります」「あっ、昼に教会に来た!」「ティナ、有ったのか」「次に行きましょ」
「娼館で、エルフプレイをしている者よ」「……少し興味あるな」「俺も」「エルディス様、ガイア様……ビジランテ様、次を」
うん、まともなエルフが来やしない、
ハーフエルフやクオーターエルフさえも……
続いてやってきたのは商人さんね、鳥籠を持ってきている。
「これはかつてエルフから買ったとされる、妖精を閉じ込められる籠ですぞ」
「そのエルフは」「先々々々代の話ですので詳しくは」「妖精を護れるのか?」
「いえ、妖精が逃げられない魔法が」「では外部からの力には」「強度的には普通の鳥籠ですぞ」
うーん、
この先、妖精の集落へ行けたとして、
閉じ込めるのはいかがかしら、さすがにそれは。
「して値段は」「特別に金貨20枚で」
「ねえエアリー、要る?」「ボクのお仕置に使うのは勘弁」
「そんなことしないわよ、エルディス様」「うむ、今回は縁が無かったな!」
やっぱり人間の街に、
エルフはそうそう来ないのでしょう。
「ねえエアリー、どう思う?」
「ふう、お腹いっぱい、パンパンだぜ」
「そうじゃなくって」「来ないんなら会いに行った方が早くね?」
やっぱりそうなるわね。
「エルディス様、グランジュラ大森林へは」
「懐かしい、50年前ちらっと行ったのう、ちらっと」
「その奥にエルフの集落が」「ある気もするが、もう無いかものう」
行くしかないでしょ、それ。
「ガイア様」「一度、整理するか」
「スクウィーク様」「大陸地図を買って、総ざらいチェックするべきである」
「だそうですビジランテ様」「冒険者ギルドでそのあたりも情報収集してこよう」
といった感じで、
収穫があったのかなかったのか、
ただ豪華夕食でジジイが満足した事だけは間違いのない夜でした。
(あと、エアリーもね!)
明日はどうしましょ。
「ティナよ」「はいエルディス様」
「せっかくだ、明日は一緒にダンジョンへ」
「まあ、それは構いませんが情報収集がまだ」「では午後からで良い」
ビジランテ様を見るエルディス様。
「私も行く流れですか」
「当然じゃろう、パーティーじゃ」
「わかりました、ただ遠いのでガイド役も探してみます」
馬車で行くなら、
見張りも必要ですものね、
という訳で明日はダンジョン探索に、決定!
「あ、ビジランテ様もお夕食、しっかり食べて」
「ありがとう、ティナさんはやさしいなあ……ううっ」
そんな、泣かなくても。




