第57話 ジジイと別行動で早速情報収集!
『治療費のお布施は自由 妖精・エルフ情報でも可』
と書かれた横断幕の下、
昨夜訪れた教会で改めて辻治療をする私、
さすがに暖房魔石で温かくなっている、うん、快適。
(結局、酔いつぶれたジジイを宿に放り込みました!)
朝早くからのチェックインなので、
やっぱり少し多めに宿泊料を取られる、
と思ったら4連泊前払いで事なきを得たという。
(さすがビジランテ様の交渉術!)
これがまだ日が昇る前だったら難しかったらしい、
そして当のビジランテ様はアサシンらしくどこかで情報収集中、
私は私でこういった方法で気長に釣れるのを待っているのですが……
「15年前、森でエルフの足跡を見た」
「夏祭りの小屋で、妖精のミイラが展示されていた」
「腰蓑一丁の裸オヤジが『妖精踊り』をダンシングしていた」
いや面白いこと言ってお代にしないでっていう、
商業都市で儲けたからまあそこまで痛くは無いけれど、
そこまでケチらないで! もちろんお布施+情報ってお方も。
「ハーフエルフなら王都に居たらしい」「え、いつ」「さあ」
「妖精はそこらじゅうに居るけど人間では気付けないそうよ」「認識阻害ですね」
「屋根の上で全裸で寝ているおじいさんがいたけどあれは妖精では」「違うと思います」「単なる不審者だろ」
あと、そこらじゅうに居るならエアリーがとっくに声かけてるわ。
「俺は冒険者だが妖精を捕まえたらお布施であげるよ」「それはどうも」
「エルフは長寿だがその分、体力が無いらしい、ただ弓の腕は凄いそうだ」「一般知識ですね」
「いっそ冒険者ギルドに依頼してみては、エルフの情報とか」「その手はありますね」「はい銀貨」
流れ作業で治癒しながら雑談みたいに情報が、
ただやはり直接的な話はなかなか、エルフくらいならありそうなのに、
エアリーのツッコミにちゃんと反応してくれればエルフ&妖精候補なのだけれども。
「すみません、冒険者のミーヤと申します」「あっはい、魔法使いさんですね」
なかなか美人な女性。
「イビルマーメイドの呪いで」
「まあ皮膚が鱗に、治癒しますね」
「これは疲れるな」「ごめんねエアリー」
と治癒しながらミーヤさんがお話を続ける。
「ここから遠くにあるグランジュラ大森林はご存じですか?」
「ええ、噂では……恐ろしい魔物やダンジョンが多数あるという」
「その中心部、人間がなかなか踏み入れられない場所にエルフや妖精の集落があるそうです」
ありがたい情報、
と思わせてこれもよくある噂では、
でも治療はしてあげる、お布施は……うんまあ、出さないよりもはマシね。
(こういう理不尽に耐えるのも、聖女の修行なのです!)
ふとクレア師匠の顔と声が浮かぶが、
相変わらず思い出すたびに違う女性が出てくる、
教会に居た人なのは間違いないのだけれども……。
「あ、ありがとうございました、本当に呪いが完全に」
「はい次の方どうぞー」「このご恩は一生忘れませんからー!」
はいはいっと、
エアリーがぐったりしているので休憩タイムね。
「すみません、ちょっとだけ席を外します」
教会の僧侶さんたちに断って、
控室として使わせて貰う懺悔室へ、
切ってあるパインに浄化魔法をっと。
「んめえ、すげえ新鮮だ」
「物流都市ですものね、教会の方のご厚意よ」
もちろん治療は施したけど。
「ティナさん」「ひゃあ?! びっくりした、ビジランテ様」
「朝の冒険者ギルドで情報を収集してきた」「あっはい、それで」
「自称エルフが何人か居るようだ、早ければ夕方にでも」「さすが仕事がお早い」
ただの見た目不審者じゃないわねやっぱり、
いやアサシン装束はそういう装備だから仕方ないけど、
やっぱり音もなくいつのまにか居ると、ドキッとしてしまう。
「そちらの情報は」
「あえて言うならそうですね、グランジュラ大森林が怪しいそうです」
「まああそこは50年前、クレアさんが『奥へ行こうと思えば行けないこともないけれど行かない方が良い』と」
ということは、
やはり何かあるのでしょうね。
「行ってみますか?」
「かなり遠い、とはいえ避けては通れない」
「それはやはり」「魔王が居るなら有力候補なので」
魔物も相当強そう、
私、行って大丈夫かしら?
「よし回復、もういいぜ」「エアリー、無理しないでね」
「では私も引き続き情報を」「エルディス様たちはまだ宿で?」
「起きたら美味しいものをお腹いっぱい食べると言っていますね」
まったくマイペースな、
とはいえ今は情報待ちなのでしょう、
本当にここぞという所で活躍さえしてくれれば……!!
(まったくもう、ジジイとジジイとジジイは!!!)
でもいいの、これもまた、
クリス様からの修行と思いましょ。




