第56話 真夜中の貿易都市でジジイが泊まる場所は!
「なんだ、真夜中ではないか」
「中途半端な時間に到着しやがって」
「日付けが替わってそこそこの時間である」
貿易都市ナベックに到着、
したのは良いけど本当に真夜中の到着、
いやこんな時間にどうしましょって感じだわ。
(まあ老ジジイ3名の苦情もわかるわ)
ビジランテ様も、
さすがにちょっと、ばつが悪そうに言い訳を。
「急いで飛ばした結果なんですが」
「これだから若い者は」「未熟者め」「まだ全てを任せるには早かったか」
「いやビジランテ様って68歳ですよね?!」「それくらい、許してやれよー」
なぜかエアリーがフォローに回っている。
「さあ、どうしましょうか、みなさん」
「いやビジランテ様が考えがあってのことでは」
「こうなったら仕方がないの、ワシに良い考えがある、冒険者ギルドへ行くのじゃ」
エルディス様の言葉に、
改めて馬車を走らせるビジランテ様、
中で私はお酒が抜けたジジイの皆さんと話す。
「今から宿屋ですと、なんだかもったいないですものね」
「かといって野宿は負けた気がする」「では冒険者ギルドの中へ泊まると」
「いや、いかにワシが伝説の勇者とて駄目であろう」「では、あっ、空き家を斡旋して貰うとか?」
それだと通常なら商業ギルドだけれども、
時間が時間、こんな夜中に空いているのは冒険者ギルドくらい、
後はまあ、教会もどうしても急な回復魔法が必要な方用に開けている所もある。
(とはいえ、ダンジョンから遠いとかいう話だったわよね)
まあ、いくら距離があっても、
ダンジョンから一番近い街がここなら、
運び込まれてきてもおかしくはない、間に合わなさそうだけれども。
「……到着したようだぞ」
「えっガイア様、あっ本当ですね、止まりました」
「冒険者ギルドの前である」「スクウィーク様、正門は閉まっていますね」
ジジイ共々降りる私、
待ち構えていたビジランテ様。
「エルディスさん、それで」「ついてこい」
向かった先は、
すぐ近くの酒場だった!
「あのー、まさか」「そうだティナ、朝まで呑む、そして朝から宿に担ぎ込まれる」
「結局、呑みたいだけなのでは」「ある意味で宿泊だ、滞在は出来るし朝まで眠れる」
「酒場に迷惑じゃ」「たんまり酒を呑んでやれば文句は無いじゃろ」「俺も賛成」「我もである」
呆れた……
一応、確認しましょ。
「呑み代は私は出しませんから」
「ああ、陛下からこういう時の金がある」
「つまりは陛下の奢りか」「太っ腹であるな」
ビジランテ様を見ると、
やれやれといった感じだわ。
「ええっと、一応、酒場に確認を」
「それくらいはやらせてくれ」「ビジランテ様」
「うむ、それでティナはどうする」「はいエルディス様、教会で泊めていただけるか伺ってきます」「それまで呑んでろ!」
エアリーの捨て台詞? に、
ビジランテ様に遅れてジジイ3人軽い足で真夜中の酒場へ、
もう新規は駄目ですって言われてとぼとぼ戻ってくるのも見たいけど、すんなり奥へ行っちゃった。
(さて、教会はっと)
暗いから見えにくいけど、
星空の下、シルエットでなんとなくわかるわ、
行くとやはり正面玄関は閉まっている、横の扉から入るも真っ暗。
(勝手に泊まれる雰囲気じゃないわね)
というか中は寒い。
「……これは、馬車に戻りましょ」「仕方ねーなー」
私1人だけ宿に泊まるのも気が引けるし……
戻ると酒場にちゃんと馬小屋が併設してあるわ、
そこに丁度、ビジランテ様が収納した所だった。
「あの、私、ここで寝ます」
「大丈夫か?」「結界を張りますから、馬ごと」
「それは助かる、貿易都市だけあってさっさと盗んで逃げる奴が居てもおかしくないからな」
ということで馬車の中へ、
うっ、加齢臭が……あとお酒の匂い、
やっぱり少し離れて戻ると臭うわね、浄化魔法っと。
「ボクも精霊風魔法で換気するよ!」
「ありがとうエアリー、寝ましょう」
「じゃあティナさん、こっちはこっちで酒場に居るので何かあったら」「はい、おやすみなさい」
ということで結界を張って、っと……
朝になったらする事がいっぱいあるわね、
その前に少しの時間だけれども、しっかり眠らなきゃ。
(……睡眠前の、ホットミルクくらい頂けば良かったかしら?)
そう思いながらも、
眠気の方が勝ったのでした。
「エアリー、おやすみ」
「おやすみ、ティナ……zzz……」




