第54話 若きジジイと、真面目な打ち合わせ
「魔王の居るような場所は近くに町は無い、村も無い、だから保存食を用意しておくべきだ」
「はいビジランテ様、その食材を集めて、出来れば樽に仕込んで移動ですわね」「贅沢言えば馬もだな……」
「いやあ商業都市の酒を残しておいて良かったわい」「やはり酒はこれぐらい濃くないとな」「我も同感である」「ジジイうるせえ」
温泉露天風呂上がり、
広い寝室をあてがわれて、
ってこれ使ってない病室よね大部屋の。
(6人部屋なのは、ありがたいけど!)
酒盛りでご機嫌なジジイ3人を放置し、
若きジジイとこビジランテ様と真面目な打ち合わせ、
良かった、ようやくきちんとした仲間が入ってくれて……ジジイはジジイだけれども。
(ちなみに寝間着装束だそうです)
それはそうと話の続きを。
「情報としては最新の魔王情報ですわね」
「そのあたりは品物を運ぶ商人に聞いた方が良い」
「商業都市で情報は」「すでに陛下が知っているくらいの情報しかなかった」
やはり情報は生き物、
貿易都市で本格的に聞き込みをした方がいいわね。
「ボクの仲間についても聞けるかなあ」
「ビジランテ様、妖精の情報を仕入れる事は」
「うーん、冒険者ギルドだな、あとこれは裏技だが」「ふう、干し柿うまいな」「それボクの非常食ー!」
エアリー可哀想、
明日朝、果物をいただかなくちゃ。
「しかしビジランテ様、情報収集のコネは」
「路銀がなあ、出せるか」「今は豊富にありますが、今後を考えると」
「……そうだ、情報と引き換えに治癒魔法をかけるというのはどうだ」「構いませんが、それだと……」
教会での辻治癒は控えた方が良いのかしら。
「ではまず、街の有力者や怪我持ち高レベル冒険者に声をかける、
そしてティナが自ら出向いて治癒してくれ、それまでは教会は」
「わかりました、しかし最終的には」「ああそうだな、そこは仕方が無い」
後で『値段自由だってー?!』てなっても、
並ばなくて良いしこっちから出向いてあげるのを先にすれば、
まあそれほど怒られないでしょ、騙されたとか言われても困ります。
「俺がいくら呑んで身体を壊しても、嬢ちゃんが治してくれるから助かるな!」
「ガイア様、だからってほどほどにして下さい、さすがに治癒にも限度があります!!」
「ティナさん、御大の皆さんは注意して利くようなタイプでは無い」「あきらめるしか、ですか」
とはいえ小言は続けよう。
「とりあえず俺は情報収集だ、ティナさんもできれば」
「大きい教会でまずはお話を、幸いにもここで紹介状をいただきました」
「我らはどうすれば良い」「スクウィークさん、ダンジョンでも」「あったかの」「かなり離れてますが」
私はついて行かなくて大丈夫かな、
回復ポーション多めに持たせるとか、
あとは冒険者ギルドで僧侶を借りるとか。
(そうなると、新メンバーを探す手もあるわね)
とりあえず提案してみましょ。
「ビジランテさん、お一人で大変でしょう、新たな仲間を」
「うーん、まだ早いかな」「でも、よろしいのでしょうか、その」
「そこまで心配してくれるなら奴隷でも買うか」「戦闘奴隷ですか」「タイミングが合えば良いのが釣れる、値は張るが」
ようは横取りみたいな形になるのかな。
「なあ、逆にメイド雇うのはどうだ?」
「エアリー、戦闘能力の無い子はお荷物になるわ」
「じゃあ戦闘能力のあるメイドをだな」「そんな都合の良い話が」「ふむ、探してみるか」
なぜか乗り気のビジランテ様。
「まあとにかく、到着してからですよね」
「そうだな、他にも考えている事はあるが、まあそれもナベックで」
「戦闘メイドか、ワシとしては若い方が良い」「俺は馬車の運転が出来るのが」「我としては回復役をもう1人といった所である」
すっかり出来上がった酔っぱらいジジイ、
明日になったらもうすっかり忘れていそうだわ、
とにかく、さっさと貿易都市ナベックへ行ってしまいましょう。
「はいはいお爺ちゃんたち、そろそろ消灯の時間よ」
「おお、闇夜で呑む酒もオツだな」「心眼で呑む、俺の好みだ」
「ライト魔法くらいなら我でも」「寝なさい!!」「ティナさん、あきらめよう」「ティナ、防御壁張るぜい」
明日は二日酔いのジジイを運ぶ予定、しかも3人。
(まったくもう……でもなぜか憎めない……かな?)




