第53話 とりあえず温泉で、ジジイとまったり!
「ふう、温泉は極楽じゃ」「休憩には良い場所だな」
「50年前と変わらぬ湯である」「ティナ、そっちは大丈夫か」
「ええ、一緒の御婦人方と仲良くやっていますわ」「ババアばっかりだけどな!」「エアリー……」
物流拠点の街、
貿易都市ナベックを目指す私たちは、
峠の途中にある温泉付き修道院で休んでいた。
(ウチの系統ではないけど、そこそこ歓迎して貰いました!)
なんでも私の師匠クレア様が、
昔ここで結界を張ったらしくって、
その魔法がまだ残っていて魔物が入ってこられないらしいのね。
(それで私が、その結界を補強したのです)
もちろん妖精エアリーのおかげでもあるのだけれども、
そんな感じでお食事をいただいて露天風呂で温泉をいただいています、
当然ながら男湯と女湯が分かれていて、衝立越しにジジイと普通に会話。
「それでティナよ、ここで路銀は貰えそうか」
「どうでしょうエルディス様、たまたま重病を治しに来た人と会えれば」
「嬢ちゃん、ここの僧侶を治すのは」「ガイア様、私が治療する事が、お布施になっているので」「なんだそれは」
私がここの女性僧侶を治した所で、
対価は私たちの、ここへの宿泊と食事となる、
もはや私が治療というお布施をしたような形なのであまり対価を求められない。
(それが例え、頼まれてやったことだとしても)
ただ、教会を借りて私が他の方に治療するのはまた別で、
その場合はお客様もとい救いを求めて来た人と私の交渉となり、
かかっても教会を借りる場代くらい、まあこんな峠に病人はそうそう来ないでしょう。
「我に何か手伝える事はあるか」
「スクウィーク様、結界があるので魔物の心配はありませんから」
「そうか、ではここで路銀は」「まだ商業都市ネブラスで稼いだ分が沢山ありますから」
会話だけの受け答え、
姿が見えないのでビジランテ様がどうしているか、
わからないわね、またパシリでもさせられているのかしら?
「こらビジランテ、もっとしっかり背中を洗え!」
「はいはいエルディスさん、こうですか」「うむ、湯をかけよ」
パシリどころじゃなかった!!
「ええっとエルディス様、ビジランテ様も疲れているのでは」
「ではティナが来てくれるのか?」「いやさすがにその勇気は」
「ボクが洗ってあげようか」「お前は力が足りぬだろうがっ!!」
うん、妖精だからね、
ちなみにこちらの御婦人方には、
せいぜい『5歳くらいの子供と一緒に入っている』くらいにしか思えない認識阻害がかかっている、とはエアリー談。
「にしても、50年前と変わらず、ここの酒は薄いのう」
「ガイア様、それってお神酒、お浄めようのお酒では」
「酒をよこせと言ったらこれしかないと言っておった、無いよりもはマシだがな」
罰当たりジジイ……
神に捧げるお酒を、おそらくガブガブと、
まあいいわ、明日朝、出発ぎりぎりまで僧侶の皆さんの治療、その続きをしましょう。
「まあ良い、ナベックは美味い物も集まると聞いておる」
「スクウィーク様、ではエルディス様が言っていた『グルメ都市』にあてはまると」
「運が良ければな、本当に様々な物資が、食材が集まる都市ゆえ、当たりハズレも当然、である」
美味しいものが食べられるのは良いとして、
エルディス様達の年齢的に、健康的に大丈夫なのかしら、
まあ、あれだけお酒を呑んでいて今更っていうのもあるけれども。
「ティナさん、物流都市は情報も集まる、そのためにも寄るべき場所だ」
「ビジランテ様、では情報収集をお願いできますでしょうか」「元からそのつもりだが」
「逃げるのか」「逃げたな」「逃げるのであーる」「参ったな、どうすれば」「ビジランテさんの好きにさせてあげて!」
まったくもう、
困ったものだわ、
ビジランテさんが動向を渋ったのがよくわかるわっていう。
「まあワシは美味い物を喰って待つとしよう」
「俺も酒とツマミで待とう」「我も魔力が回復する食事をしようぞ」
「ええっと、私も私で教会でいつものをしていますから!」「まったく使えねえジジイ3人だなオイ!」
今回ばかりは、
エアリーの暴言はそのままにしておきましょ。
(やっと人数が揃った、メンバーが集まったと思ったら……)
まあ良いわ、
これもいわゆるひとつの、
聖女としての修行ということで。
「この先、本当に大丈夫かしら」「今更かよ!」
でもエルディス様も、
ガイア様もスクウィーク様も、
おそらくビジランテ様も、本当にここぞという場面では頼りになるのよねえ……
(むしろ、ここぞ以外が不安で心配だけれども!)
とにかく冒険は、
ようやくパーティーが揃ったばかりだもの、
聖女クレア様、その最後の弟子として、頑張りましょう……エアリーと一緒に。
「ビジランテ様、お風呂を上がったら改めて打ち合わせを」
「そうだなティナさん、俺とふたりだけの方が話が早そうだ」
「ワシもいるぞ」「俺も俺も」「我にも相談を」「温泉でまったりしていて下さい!」
とはいえ気が付いたら、
三人とも沈んでいたとかありそうで怖いわね、
年齢が年齢だけに……84歳、81歳、90歳ですもの。
(若手で68歳のビジランテ様、かわいそう)
ビジランテ様こそ、
温泉でまったりしていただきたいわね。
「次は俺の背中だ」
「はいガイアさん!」
「その次は我であーる」
……乱入しちゃおうかしら??
新作「遠藤の部屋にはヤベエお姉ちゃんが6人も来るらしい」連載中です!
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現代ラブコメものです、是非よろしくお願い致します!!




