第51話 結局、過ぎ去りしジジイに会えず出発と思いきや!
「領主の皆様、色々とありがとうございました」
「いえティナ様、こちらこそお礼を」「最後のワガママまで」
「帰りにまた寄られる事がありましたら、またもや大歓迎しますぞ!
にっこにこでお見送りの3貴族様、
出発前にどうしてもっていう遅れた患者を数名治療し、
ここ商業都市ネブラスともお別れ、ちなみに遅く起きた朝は寂しかった。
(居たのは女性騎士2人だけだったのですもの)
昨夜まではまだアサシンメイド&執事が残っていたのが、
ダンジョンから帰って寝て起きたら王都から来ているという女性2人のみ、
ただ昨夜のうちはビジランテ様の一派が朝食を作り置きしてくれたらしく、それを並べるだけだったみたい。
(おもてなし期間は、終わりかあってね)
元々が王都の、
王城の派遣所で持ち主は陛下なので、
私たちが使った後の後片付けもあるみたい、お茶も注いでくれたけど。
「うむ、ワシも色々と楽しませて貰った」
「次に会う時も健在でな、貴族が欠けているとか無いように」
「我は思うのだが、馬車が見えなくなったとたん蹴り合いとかするでないぞよ」
ぎくり、といった表情の3貴族、
それにしても最後まで来なかったわねビジランテ様、
ここで『ちょっと待ったーーー!!』とか言って走って来たら許したのに。
(まあ、本人が来なくて良かったのか悪かったのか)
過ぎ去りし英雄か、
とかつての『最強の五人』像を見る、
ここでの最後にクレア様の像へ花を置いて、っと。
「では乗るぞティナ」
「はい、エルディス様」
馬車が動き始めると、
街の住民も手を振ってくれる、
教会で治してあげたからでしょうね。
(お金はいっぱい稼げた、でも仲間は……)
でもこれからの旅、
まだまだたくさんの街に寄るでしょう、
そこで意外な新しいパーティーメンバーに出会えるかも?
(馬車内の密室で、エアリーが胸元から出てきた!)
そしてちょこんと私の肩へ。
「あーあ、もう妖精の本、無くなっちゃった」
「日の出前の寄合馬車で帰ったからのう、本も持って」
「そうですか、ってじゃあこの馬車の引手はいったい誰が?!」
ジジイとジジイとジジイを見る私。
「なんだ、ガイアが手配してくれたとワシは思ったが」
「俺はスクウィークが当然、交代要員を手配してくれているかと」
「我は知らぬぞ、そもそも我に次をという話すら、まったく聞いてないゆえ」
馬の引手を進行方向の小窓から覗き込むと、
身軽そうなお爺さんが、いえ、お爺ちゃんが普通に運転していた、
それを見てエルディス様が前のめりになって、興奮気味に声をかける!
「ビジランテ! ビジランテじゃないか!!」
続いてガイア様、スクウィーク様も!
「おお間違いない、この後ろ姿はビジランテだ」
「うむ、我も感じる、この引手は間違いなくビジランテである」
「ほ、本当?! エアリー」「ボクの鑑定だと68歳くらいだねー」
こちらを振り返るお爺ちゃん。
「いやあ見つかっちまったかぁ」
「やはりその声は間違いなく!」
「お主、いつのまに」「ということは、であるな」
まさか、またいつものパターン?!
「ええっと、お嬢さんを除いてまたオレが最年少かよ、68歳だがまあ、よろしく頼むよ」
そう言って腕で合図すると、
馬車は商業都市を出て離れた、
まさかまさかの電撃加入だなんて……
(お昼休憩のとき、詳しく聞かないとだわね)
それにしても、
かわいらしいお爺ちゃんだこと。
「エルディス様、よろしいのですか?」
「まあ、まだ若いからな、ワシは構わん」
「俺も久々にコンビネーションを使いてえ」「我もむしろ安心する」
ジジイとジジイとジジイは大丈夫みたい。
(となると……私に拒否権は無いわね)
むしろ、少しホッとした自分が居る。
「それにしても、どこに居たんでしょうね」
「ボク、1度だけ見たぜい」「えっどこで?!」
「最初の日、夜に屋敷に入る時、見守っていた群衆の1人に居た!」
そんなのわかるかーーー!!!
って叫びたいけど私は寝てたものね、
ジジイとジジイとジジイは気付かなくて当たり前、夜だし。
「これでもう安心だな」
「細かい事はまたビジランテに押し付けよう」
「50年前と同じように、パシリ確定である」「いや私もやりますから」
なんとなーく、
ビジランテさんが出難くかった?
理由が感じ取れるわね、この空気感で。
(ちょっと同情します)
とはいえ68歳、
普通なら看護されててもおかしくない年齢では……!!!




