第46話 治療最終日だからって多くない? ジジイが言うには!
「みなさ~ん! ここネプラスで最も人が多く訪れる教会、
我がベッテンブル家がお墨付きの教会、聖女様チャンスの日ですぞ!」
「なにそのふれ込み」「と聖女様も照れております、本日がラスチャンスとなっておりまーす!!」
ここネプラスにおいて『総合担当』とかいう貴族、
とにかく『何でも屋』らしく、困ったらとりあえずベッテンブル家、
などという暗黙の了解みたいなのが平民に広がっているとか、庶民派ってやつか。
「どうもトイレが近くてねえ」
「加齢による頻尿ですね、気休め程度ですが」
「ありがとう、気持ちだけですまないね」「自由ですから」
一応、病気といえば病気かしらね。
「幼い頃から慢性鼻炎が」
「これは根本治療できそうです」
「おお、鼻水が引いた! ありがたいありがたい」
こういうのって治療費が地味に高いのよね。
「すまないコッソリ頼む、娼館で性病に」
「はいはい、ほどほどにして下さいね、治りました」
「おっし、じゃあ、かみさんのご機嫌取ってくらあ」「お代はおいてけぞな」
ぞな、なんて言葉も使うんだスクウィーク様!
次は重病人ね、降ろすのに時間がかかっている、
教会の僧侶さん達が手伝っているものの、しばらく待ちましょ。
「そういえばエルディス様とガイア様は、今頃」
「情報収取と言っておった」「娼館で、ですか」
「確かにビジランテはそういの好きだったからのう」
だったら裏で取り仕切っている可能性も、ある、と……
でも私には公私混同としか思えないし、まさか陛下からの支度金で?!
おそらく問い詰めれば情報収集の必要経費とか、ふざけた言い訳をしそうね。
(でも残念ながら、合っているなら文句もあまり言えない)
いや、情報だけなら三大貴族経由で普通に話を聞きに行けば。
「ティナ嬢、準備が出来たようであるぞ」
「あっはい、これは大変……少々時間を頂きますね」
「ようやく来られたんだ、いくらでも待つさ」「では……」
かなり長い間、
病に蝕まれていたみたいで全身が変色していた、
それでもじっくり魔力を込めれば何とかなった、おそらく。
「父上! 父上ー!」
「……はっ、ここは?!」
「ネプラスまで来て聖女様に、父上……うわあああああ!!!」
息子さん泣いちゃった。
「す、すまない、とりあえず代金はいくらだ」
「自由です」「えっ」「自由です♪」「しかし」「自由でっす♪」
こういう時は笑顔が圧になると先輩から聞いた。
「父上どうしましょう、銀貨1枚しか」
「ばっかもーん! 俺の命が、ぎぎぎぎぎ銀貨一枚だとおおお?!?!」
「後ろが待っていますので、さっさと」「かたじけない」「次の方ど、あっごめんなさい」
胸の中でエアリーがグッタリしていたわ。
「今日は長期戦になる、ティナ嬢、しっかり休んできてくれ」
「はい、それにしても、最終日とはいえ列が多くないですか、果てが無いようで」
「おそらく近隣の街、下手すると遠く離れた街や隣国から話を聞いて来ているのだろう」
だからなのね。
という話にベッテンブルさんも入ってきた。
「我が教会は庶民が中心、支払える額が少ない、
だからこそ沢山来て頂いて路銀を稼いで頂こうと」
「そういうお気遣いですか」「ささ、お休みはあちらへ」
まあ儲かるなら良いけど、
そのお金をエルディス様の娼館代とかにされたらさすがに怒るわ、
ということでエアリーをテーブルの上に寝かせて浄化した檸檬の汁を飲ませる。
「……ぷはあ。ボク、生き返ったよ」
「ごめんね、今日は時間がかかりそうよ」
「でもほとんどはラクな魔法だから、へーきへーき」
私単体でもある程度の回復はできるけど、
それだとなぜかエアリーが拗ねちゃうのよねえ。
「エアリーが行きたくなったら戻りましょ」
「妖精の本を読みたい!」「まだ読み切ってないの?」
「ううん、ぼく、憶えてるんだ、大切な部分はメモしたい!」「返すの伸ばして貰うから、終わってからね」
早く列を消化しないと、
終わり所がなくなっちゃいそうね。
(明日はダンジョンだから、早く寝たいけど……)
今、並んでいる列にビジランテ様が居れば探す手間も省けるのに。
「よっし、じゃあもういいよ」
「隠れて」「はいはいはーーーい」
そして治療を再開していると、
いかにも金持ちそうな太ったおじ様が!
「最近、男なのに母乳が出てきた」
「あっ、それ、ごくまれによくあるそうです」
「治るか」「やってみます、でもこれって病気の部類かしら……???」
結果、治って金貨1枚いただきましたー!!
などということもありながら、終わったのは夜遅くでした。




