第40話 ジジイを迎える3人の領主!
「凄いわね、お城の無い王都みたい」
「嬢ちゃん、気を付けろ、ここの領主は互いに仲が悪すぎる」
「つまりは」「ティナの奪い合いになるのか、よしワシが護ろう」「我も魔法で」
夜だけに警備が厳重そう、
と思ったら止められず中へ入る、
ほぼスルー、衛兵が丁寧に敬礼してくれている。
(3種類の鎧、つまりそれぞれの領主の……)
そして誘導された先で止まる馬車、
降りると中央広場か何かわからないけど、
夜光魔石灯に照らされた中、にっこにこの貴族3人が並んで待っていた。
「ようこそネブラスへ! 治安担当ネヴィラスでございます」
「ネブラスへいらしゃいませ、商売担当のルマンディと申します」
「夜遅くネブラスへありがとうございます、総合担当のベッテンブルですぞ!」
みんなそれぞれいかにも貴族の当主って感じ、
でも並んでいる感じはそんなに仲悪くは、と思ったけど、
普通より間が離れているわね、まあ横に並んではいる、一応。
「ワシは大勇者エ」「エルディス様にガイア様にスクウィーク様ですね」
「そして聖女ティナ様、皆様をお待ちしておりました」「ささ、こちらのテントへ」
「テントだと?!」「はいガイア様、臨時でこの街初の『共同教会』を設置しましたぞ!」
確かに白く大きなテント、
中へ案内されると教会っぽくしてあって、
ごろごろと重病人や古くからのであろう怪我人が!
(しっかり準備されているわね)
しかも見た感じ、
半数以上が3人の貴族の身内っぽい、
顔や身なりからしてそんな感じ、それぞれにそれぞれの警備もついている。
「順番はお任せします、まずはここに居る全員を」
「その若さで最高級の治癒魔法とお聞きしております」
「お布施は言い値で構いませんぞ、でなければそれ相応の」「始めます」
自分の胸の下を撫でで合図する。
「……あんまり連続は無理だろこれ」
「ええ、適度に休憩を取りましょう」
「休憩でしたら隣のテントに御用意しております」「ひっ!」
そんな近づかなくても、
と思いながら病の重いのから治癒、
3人の領主はそれぞれ泣いて喜んでいた。
(なるほど、このために一時休戦という訳だわ)
さすがに身内の命が懸ると、
嫌でもにっこにこで仲良く並んで、
共同作業をすると……ふう、6人で魔力が尽きたみたいだわ。
「えっと少し休みますが確認が」
「はい」「何でしょう」「何なりとお申し付けを、あっ寄付金ですぞ」
「それはまとめてエルディス様へ、ではなく、このテント内が終わったとたん殴り合いとか後は知らないとか、やめてくださいね」
揃って苦笑いしている。
「……少なくとも皆様が次の場所へ旅立つまでは」
「これに関しては、破っては『人ですらない』と言えますので」
「正直申しまして、3人とも我慢すれば良いだけの話ですぞー!」
いやそんなこと言われても、
ということでガイア様とスクウィーク様に護られて隣のテントへ、
中には豪華な果物が沢山! そんな情報までいつの間に、って妖精バレてる?!
「ふーっ、さすがにボクきつかったよ」
「ごめんねエアリー、少し横になるかしら?」
「まだ大丈夫、それより浄化!」「はいはい、ってメロンまであるわね」
私だって食べたいくらいの高価な果物がずらり、
そしてガイア様は備え付けのジュースを渡してくれる。
「ティナも飲め」「あっはい」
「ここは全ての店が、教会までもが3つの貴族派閥に分かれていてな」
「じゃあ合同教会を造ったのは本当に異例と」「ティナのためだけだろう」
じゃあ私がずっとここに居れば平和に、
って私はあくまでも魔王討伐のために立ち寄っただけだし!
「あっ、そういえばビジランテさんは」
「それらしい者はまだ見てない」「我もだ」
「では貴族の皆さんにお伺いすれば」「最後に聞くと良い」「忘れていたら我が尋ねよう」
案外、たった今エルディス様と会っていたりして!
「うまうまー」
「エアリー、ご満悦ね」
「よし魔力回復した、ティナ、さっさとやっつけよう!」
やっつけるって……!!
元の教会テントに戻るとそれを見てか、
エルディス様が3人の貴族の方へ声をかける。
「そういえばワシらの仲間、ビジランテを知らぬか!」
それに対して少し困ったような焦ったような表情の三人。
「あのお方については、のちほど」
「後で宿でお会いできるでしょう」
「ちなみに宿は特別に一軒屋を借りましたぞ!」
ということでテント内の病人怪我人は、
休みを何度も挟んでようやく終わったのでした、
いやほんと最後のひとりが終了すると、とたんに眠気が。
(でも夕食がまだなのよねえ)
先に余った果物に手を付けちゃおうかしら。




