第37話 目的地を確認してジジイと打ち合わせ!
「そうであった、次の目的地は商業都市ネブラスであったのう」
「あそこは遊べるところが多い、遊び人のビジランテが居そうな所だ」
わざわざ馬車の引手に聞いてくれた大魔導師スクウィーク様、
それに対し、酒を昼間っから呑みながら尋ねるエルディス様、
床に座ってるわね、ってガイア様も同じようにして、山賊ですか。
「にしても魔王討伐の報告を陛下にする時すら居なかったヤツだ、本当に捕まるかどうか」
「あの、みなさんのお仲間の、最後の御一方ですよね?」「ああ、アサシンのな、この国の元暗部だ」
暗部というのは国王陛下の命令のもと、
見えない所で裏の作業に徹する者達の事で、
情報収集から秘密のミッション、あと暗殺なんかもやる。
「本当に居るのか?!」「妖精よ、我の勘がそう言っておる」
「90歳のジジイの勘かー」「エアリー、言葉を慎みなさい!」
「良い良い、我も妻を怒らせると『殺すよジジイ』と言われてな」「ババアにか」「だからエアリー」
ここで一冊の本を取り出すスクウィーク様。
「読みたがっていた妖精の本である」
「マジかー!」「ランダより貴重な本ゆえ決して失くさず返せと」
「い、いつまでに?!」「この馬車の引手が持って帰るゆえ、ネブラスで一晩明かすまでであるな」
豪華な馬車内、
なんとなく魔法を感じる。
「この馬車はスクウィーク様のですか?」
「そうであるティナ嬢、この中に居れば魔力が少しずつ回復する」
「ボクもティナの魔力を回復させているよ!」「本当に大した妖精であるな」
妖精本を座席の上で読み始めるエアリー、
ジジイがふたり床に座っているからって……。
「あっ、商業都市というのは武器防具が揃えられますね」
「ワシは自前で十分じゃ」「俺もだ、トライデントの予備の斧もある」
「我は杖を三本、まあごく普通の杖でも構わぬ、『大魔導師、杖を選ばず』とも言うからのう」
武器装備に関しては、
50年前に討伐した時のがあるのね、
それを最新技術で加工とかする手もあると思うけれども。
「ティナはどうだ」
「私も師匠の形見の杖が」
「言われてみれば懐かしいな!」「ガイア様、見覚えが」「無い!」
もう酔っぱらってる……。
「それはそうと嬢ちゃん、商業都市は色々とやっかいだぞ」
「ガイア様、それは、なぜ」「本当に何でもあるうえ、居る者も様々だ」
「あっ、治安が悪いと」「賭博場や娼館も、合法なものと非合法なものが混在している」
非合法な賭博場、大勝ちすると命を狙われそう、
そして非合法な娼館、真っ先に浮かんだ光景が痛々しい、むしろ救いたい。
「取締りとかは」
「あそこは色々と複雑で領主が3人居る」「えええ」
「全て国王陛下に認められた、役割が違う領主が小競り合いをしているそうだ」
色々と混とんとしていそう。
「ちなみに闘技場も合法なのと非合法なのが、
奴隷売買所も合法なのと非合法なのがあるぞ」
「えっ、奴隷ですか」「使い捨てで奴隷を買う酷い奴も居るらしい」
それこそ助けたいけれども、
買った所で使い道はっていう。
「その商業都市で、まずは」
「ビジランテを探す、あちこち回れば本人でなくても手掛かりは出るかもな」
「あちこちとは」「さっき言った所だ、分担はリーダーに任せる」「よし、ワシは涙を呑んで娼館と酒場だ!」
ちょ!
「うれし涙か~?」
「エアリー、本を読みながら聞いておったか」
「ボクはティナの胸の中に隠れるよ、捕まったら売られちゃうからねー」
よくわかっているわね。
「ガイアは闘技場と賭博場」「任せろ、あそこの闘技場は何度か行った」
「スクウィークは奴隷売場や情報屋を頼む」「我に任せよ、商店も回ろう」
「ティナは教会だがひとりでは不味い、行く時は誰かと一緒に」「でしたらまず、私がみなさん誰かについて行きます」
さすがに15歳の聖女がひとりで歩ける街じゃなさそうね、
宿に籠ってもやる事無さそうだし、エアリーは籠って本を読みたそうだけれども、
私も何気にその本を読んでみたいから、どうしても1人の時はエアリーと読みましょう。
「ではまずは俺と昼は闘技場、夜は賭博場だな」
「ならワシはスクウィークと娼館に」「無理である」
「そうか、もう90歳だからな」「いや、嫁に浮気禁止の呪いをかけられていてな」
と素肌を見せると……!!
「それはキスマーク、ですよね」
「一生消えぬな、この状態で他の女を自らの意思で抱くと恐ろしいことになる」
「わかったスクウィーク、ワシとは夜に酒場へ行こう」「それならつきあってやるわい」
と、到着してからの話が決まったのでした。
「おっと済まない、早いがトイレに」
「俺もだ」「我も行こう」「お爺ちゃんたちー?!」
到着までに、
馬車が何回止まるんでしょうね。
(さて、アサシンのビジランテさん……その弟子は、うまく仲間に出来るのかしら???)




