第4話 ジジイが最後に、物を言う!
「ぐあっ、コイツ、ゴリ押しが効かねえ!」
「当たり前じゃイザル、一度ワシらが倒したとはいえリッチの上位種じゃぞ?!」
「跳ね返されるし、当たっても手応えが、ねえっ!」「ただのアンデッドとは訳が違うからの」
正面から戦うイザルとは別に、
背後に回って関節を斬り続けるニルド様、
しかし剣を杖で弾かれて、勢いで尻もちを着いた。
「駄目だ、魔力で身体を覆っている!」
「ふむ、さすがニルド、よく気が付いたのう」
「みんな、剣に魔力を込めるんだ、集中し切った瞬間でないとヤツには効かない!!」
続いて大きく飛び上がった女勇者フィオネ、
狙ったのはグレートリッチの王冠、だが効かない!
むしろ跳ね返されている、壁に背をぶつけると物凄い形相に。
「なんで装備まで魔法防御がかかっているのよ?!」
「おいバカ女、ニルドが『魔王で覆っている』って言ってただろ?!」
「うっさいわね、そんなことよりオムイはどうしたのよ?!」「ま、まわりの敵を倒してますが、も、もうっ」
そんなオムイを加勢するニルド様!
「身内で、揉めてても仕方ないだろう、
みんな役割を整理するんだ、イザル、杖や持つ腕を攻撃して召喚させるな、
フィオネはグレートリッチの弱点を探ってくれ、オムイは俺と一緒に雑魚を倒すぞ!」
その言葉に返事する三人!
「わかった」
「任せなさい」
「助かりますっ!」
うん、この中に本当の勇者様は、ひとりしか居ない。
いや忘れではならない伝説の大勇者様にも意見を頂戴しないと。
「あのエルディス様、そろそろ私の魔法を」
「少しずつだ、だが今は弟子の様子を見てやってくれ、選ぶためにな」
「申し訳ありませんが、その、どう見ても一択なのですが」「決まったか」「はい」
むしろ、なぜ選ばせたのっていう。
「では次はティナの力を見せて貰おうか」
「はい、いきなり浄化してもよろしいのでしょうか?」
「いや、まずは皆の強化からだ」「それでは魔力付与を」
胸元をポンポンと2回叩くと、
私にだけ聞こえる小さな声で『わかった』と……!
その直後、4人の勇者が虹色に輝いで動きがあきらかに変った!!
「軽い、身体が軽いぞ!」「これは凄い、さすが聖女様の力だ」
「ティナさまぁ、あぁ、貴女の愛を感じますわぁん♪」「速過ぎて、強すぎて自分でも怖いです!」
「ほうほう、さすがクレアの弟子、クレアの全盛期を思い出すな」「面識はほとんどありませんが……」
思い出すたびに別人という。
世話係が多すぎるのよ、ありがたいけれども!
「よし、連携で倒すぞ、イザルは動きを止めてくれ、
フィオネは首を、オムイは足を」「わかったわ、ならニルドは?!」
「この剣で、貫く! だが集中させてくれ、ティナさんから頂いた魔力を、更に研ぎ澄ます!!」
よく見るとみんなそれぞれ四種四様の勇者剣、
それぞれ個性があって面白い中でニルドの構えた剣が、
さらに光り輝いてオーラを纏っている、これなら行けるのでは……!!
「ま、待って、グレートリッチも光り出してる!!」
オムイくんの言葉に見ると、
こちらこもちらで紫の炎みたいなオーラに身を纏っている、
顎に手をあててうなるエルディス様、にがい顔をして口を開いた。
「まずいな、追い詰められたからか、それとも環境の変化か、上位種になとうとしておる」
「ええっ、じゃ、じゃあどうすれば、今なら滅してしまいましょうか」「待てティナよ弟子に聞く、お前ら進化前に勝てるか?!」
「これ以上強くなるのは、ずりいよ」「戦術を、しっかり実行出来れば」「私はティナ様の活躍が見たいですわ」「ちょっと自信ないです」
答えを一巡聞き終わると、
エルディス様自ら長く大きな勇者剣を抜いて……!!
「ふんっっ!!」
あっ、横に斬って簡単に倒しちゃった!
グレートリッチが崩れて行く、王冠も、指輪も……
装備アイテム類もまとめてボロボロと黒い消し炭になって……消えた。
「凄い、これが勇者の力……!!」
「一度倒しておるからな、さあ戻るぞ」
そう言って颯爽とボス部屋から出るエルディス様、
本当に勇者の、伝説と言われる力を見せていただいた、
これで84歳とは……現役時代はどれだけ強かったのでしょ?
「おおっ、おおおおお」
また階段で滑ってるし! こんどは上りで!!
「大師匠、無理するから」「師匠、下から支えましょうか」
「ではティナ様のお世話は私が♪」「やっぱり最後は、エルディスさまに持っていかれちゃった……」
「最後にジジイが物を言うってか!」「エアリー、余計な事は言わないの!」「……もう大丈夫だ、さっさと出るぞ」
さて、勇者様をお借りしなくちゃだわ、
その前に、帰り道ついでに気になった事を聞いちゃいましょ。
「ちなみにエルディス様、グレートリッチは何に進化しようとしていたのですか?」
「魔王クラス、最上位種の『フォーエバーリッチ』だろう、そうなれば倒せなくなる、ダンジョンごと封印だ」
「では、間に合ったのですね?」「だがボスが居なくなった以上、このダンジョンはもう単なる穴だな、どっちみちもう使えん」
それでも新たな魔王誕生よりもは……!!




