第3話 敵のボスも、ある意味ジジイ!
「なんだお前ら、だらしがないぞ」
かなり進んだダンジョンの下層、
出てくる魔物もかなり強くなってきた、
私も教会の奥に沸く魔物を皆で倒したり封じたりしていた経験を思い出す。
(やっぱり強い前衛が多いとラクだわぁ)
しかし勇者の皆さんは必死ね。
「大師匠、前より強くなってねえか?!」
「あきらかに強力ですね、師匠、何かしたのでは」
「ティナさま、いざというときは私に抱きついてぇ!」「……背後からも来てます!」
なんだかんだでコンビネーションの良い勇者4人、
私はピンチになった時だけこっそり補助魔法を中心に助ける、
アンデッド系も増えて来て、いざとなったら浄化魔法を、と思うもののまだ大丈夫そう。
「ワシは何もしておらぬぞ、そう、あえて何もな」
偉そうなジジイもとい、
あえて腕を組んで若い弟子たちを見ているエルディス様、
たまに火の粉を振り払うように腰の剣で敵を倒すが軽く撫でるような斬り方で、いとも簡単に倒してしまう。
(階段でコケていたのが嘘のようね)
まあ84歳なのだから、
そのあたりは仕方ないとして、
4人の勇者をここまで見た感想を。
(最前線のイザル、意外とやるわね)
かなり荒くではあるものの、
まず最初にやってくる魔物の群れを斬って斬って押し返す、
最前線に立つ勇者はそれだけで心強い、とはいえ性格に難ありだけれども。
「どうだティナ、俺に惚れるのも時間の問題だなっ?!」
ではその時間が来る前にさっさと終わらせたい、
あとかなり無茶しているのをさりげなく補助や回復魔法で助けているのを、
本人は気付いてるんだか気付いていないんだか、これ周囲のフォローが無いと死ぬタイプね。
(典型的なハーレムタイプだわ)
実力が伴えばそれも許されるのでしょうけれども、私は勘弁。
「アンデッドが増えてきた、しかしここまで問題がないのはティナさんの補助魔法か? 助かる!
そう言って骨の敵を砕くニルド、
性格もイケメンだわ、きちんと補助の感謝を伝えてくれる、
イザルの取りこぼしをしっかり倒して後衛に流れて来ないよう気を使ってくれている。
(私に向かってきた敵を、素手で引き戻してまで……!!)
これはもう恋に落ちても、
仕方がないのかも? と少し落ちかけた。
「ティナさま、上からも敵が、さあ私にしっかり捕まって!!」
やたらアピールしつつ密着してくるフィオネさん、
その気があれば『フィオネお姉様』とか言わされそうだが、
なんというか、色んな意味で押し付けられている、いやまだそこまで親密じゃないし。
(でも、しっかり守ってくれる防御は完璧だわ)
こういう『護る勇者』も頼もしいしありがたい、
稀だけれどヒールを中心に後衛系勇者というのも居るらすうけど、
彼女の場合は剣でしっかり守ってくれつつなので、これはこれでパーティーによってはアリだと思う。
(でも、その性癖は私的にはナシだけれども!)
そして必死に背後からの敵を倒すオムイくん。
「エルディスさま、も、もうキツいです!」
「こんなのまだまだ訓練じゃ、今まで場数をこなしてきたではないか」
「しっ、しかし今日は敵が多すぎます、いったいどうしてこんなに」「後で説明しよう」
(大変そうにしているけど、今の所、取りこぼしは無いわね)
追い詰められて強くなっていくタイプっぽい。
結局この4人の勇者たち、さすが伝説の勇者が育てただけあって、
魔王討伐に誰を連れて行っても大丈夫そう、そうなると私の相性、好みね。
「……さあボス部屋に到着したぞ」
と言う勇者エルディス、
扉の無い入口から入ると、
薄暗い中、何かが玉座に鎮座している!
「あの、ライト魔法をつけてもよろしいでしょうか?」
「うむティナよ、ワシが50年ほど前に連れてきた、あやつの姿を見るが良い!!」
ボス部屋全体を魔法で照らすと、
そこに居たのは王冠を被ったミイラ、
しかも白髭をたくわえた……王様のような装束を着ている。
「エンディス様、あれは」
「あれこそがアンデッドの王、『グレートリッチ』じゃ!」
「なんだ、ボスもジジイかよっ!」「エアリー、しーっ、しーーーっっ!!」
あまりのボスの圧に、
みんな私の胸元から出た声に気付いていないみたい、
グレートリッチは杖を掲げると強そうな骨の魔物を召喚する。
(ケモノのアンデッドね)
こちらに構えて待機している、
それにしてもあのリッチ、高価そうな指輪してるわね、
いやそんな所に目を奪われている場合じゃないわ、若い勇者も緊張の表情。
「大師匠、アレはヤベえよ、なんであんなのが」
「この大陸全体で魔物の力が強くなっている、その影響じゃろう」
「では師匠、このまま頬っておけば」「じゃな、だから今日、ここで始末しておこう」
私の前に立つフィオネ。
「聖女様は私が護るわ!!」
本当なら頼もしいはずなんだけれども、
あらやだかっこいい、とはならないのは逆に私の魔法に邪魔になるから、
私だって補助魔法や回復魔法に忙しくなりそうなのに、このお姉さんはもう……
「い、いつでも逃げられるように準備しておきます!」
と言いながら震えるオムイくん、
追い詰められて強くなるタイプの勇者が、
早くも逃げの準備をしているのは、まあ役割分担としては正しいのかしら。
(色々と思う所はあるけれども、今は目の前のリッチに集中よ!)
さて、いよいよボスとの対決となるのだけれども……
目を光らせるグレートリッチ、いったい、どうなるのかしら?!




