第35話 ジジイが孫の嫁に怒られた!
「ウチのロジュを魔王討伐にだなんて、絶対に許せません!!」
魔導都市の最上階、
スクウィーク様のための『魔導師範室』という王様の玉座みたいな所で、
ロジェくんに魔王討伐メンバー決定を告げようとしたら、まさかの保護者同伴でやってきた。
(このお母さん、めっちゃ怒ってるわね)
背後では涙目のロジェくんが隠れている。
「しかしだな、我の弟子のひとりとして」
「まだ9歳ですよ?! 近所の遠足みたいなものと聞いてダンジョンの調査同行は許しましたが、
魔物にキスされたって言うじゃないですか! 息子の大切な初めてですよ?! お義爺様、わかってらっしゃるのですか?!?!」
物凄い剣幕、
魔法使いっぽい服装じゃなく、
エプロンを着けたごく普通のママさんだわ。
「おおこわ」
そう呟いたエアリーを睨むママさん、
妖精にも容赦ないわね、これが実母のパワーかっていう。
(随分と、話が違うじゃないのよ)
曽祖父と曾祖母は許可を出したが、
実母のNGが出ちゃった感じだわね、
おそらくロジェくんも魔物にファーストキスを奪われたのが、よほど精神的ショックだったのでしょう。
「しかしだな、我は魔導都市の長として、魔王討伐の代表者を選別する立場にある」
「だったら荷物をまとめて実家へ帰らせて頂きます! 行くわよロジェ」「う、うんっ」
「待たれよ! わかったわかった、今回の件は済まなかった、確かに無理をさせ……行ったか」
ショボンとしているスクウィーク様、
あとシュガルさんも……お年寄りが落ち込んでいると心が痛む、
それはそうと第一候補が潰えちゃった、冷静にかんがえると『そりゃそうでしょう』だけれども。
(でも信じたかったの、この嫌な流れを断ち切ってくれる事を!)
私はエルディスさまに、
目線でお願いする、話を進めて! と。
「それでスクウィークよどうする、残り3人を連れて行くか」
「いや、ロジェが居てこその全員だ、よってこの3人では無理だ」
「では選び直しか」「……最終手段だ、この魔導都市で一番魔力の強い者を連れて行く」
あああぁぁぁ……
嫌な予感があああぁぁぁ……
「ティナ、この年で最も魔力がある仲間だって、やったな!」
「……エアリー、貴方わかってて行言ってるでしょう」「何の事かな~♪」
「してスクウィークよ、その者は誰だ」「エルディスよ、それは……」「それは?!」
溜めに溜めて、
スクウィーク様が発した言葉は……!!
「我だ、魔法使いというのは年齢を重ねれば強くなる、我は今年で90歳、今が最強である」
やっぱりいいいいい!!!
「ふむ、悪くは無いな」「スクウィークは異論なしか」
「俺はぶっちゃけ、心置きなく前衛が出来るのであれば誰でも良い」
「ガイアも異論なしであるな、ということでティナお嬢ちゃん」「……あっ、奥様方は?!」
お婆さん連中が4人集まって話をし始めた!
「またカッコ良いスクウィークが見られるわ」
「こちらから通信魔法でスクウィークの視点を写し出しましょ」
「浮気しないかもチェックね」「場合によっては魔王戦でお金が取れるわ」
なぜか乗り気?!?!?!?!
「キルケ」「異論なしよ」「マレフィ」構わないわ」
「ラドカン」「お土産を楽しみにしているから」「シュガル」「従いましょう」
「という訳でだティナ」「……暫定よね?」「それで良い」「あーもう、わかりました!!!」
半ばヤケです。
「まーたジジイかよ!」
「エアリーも良いな?」
「ティナが良いなら仕方ねー」
いやもう、
とりあえずで良いから早く決めて先へ……。
「では明日朝、墓参りをして出発しよう」
「えっスクウィーク様、どなたのお墓でしょうか」
「それはのう」「はいそれは」「その墓は……我のである」
?????
「魔法使いの爺さん、お前、死んでたのか?!」「エアリー!」
「私たちのお墓でもあるのですよ」「婆さんたちも、実は死んでいる?!」
「妖精よ、その答えは明日朝だ、とにかく今夜は明日に備えて眠るとしよう」
そして旅立ちの朝、
私はそのお墓を見て……引いた。




