第29話 夕食会で真面目なジジイ!
「エルディス、ガイア、そしてクレアの弟子ティナ、今日はよく来てくれた、存分に食べて行って欲しい」
夕食会は薄暗い中、
蝋燭に照らされての豪華な食事、
なぜこんなに灯りを落としているのかしら。
「フルーツ盛り合わせ、うめえうめえ」
エアリーはご機嫌だけども!
最初に浄化してあげて正解だったわ、
ともかく雰囲気がありすぎる食卓、こういう演出なのかしら?
「ティナ」「はいエルディス様」
「ワシが許可する、ライト魔法を」「よろしいのでしょうか」
「俺からも頼む」「ガイア様まで」「やめておいた方が良いがのう」
というスクウィーク様の声に構わず、
頷くエルディス様に応えるように無詠唱で『ライト』の魔法を!
これが思わぬ後悔を生む事も知らずに……そう、まばゆい光に照らされた食卓に居たのは……!!
(しわしわの、4人の老婆が食事中だわ)
寝室では薄暗い照明だったため、
隠されていたそのリアルな肌が、なんというか、
見てはいけない物を映し出してしまった、そんな罪悪感が。
「ティナ、もう良い」「はいエルディス様、あの、申し訳ありませんでした」
「ワシも謝っておこう、済まない事をした」「俺もだ、謝罪する」「何かあったのかー?!」
「エアリーは気にしなくて良いわ」「それで皆が外へ出ていた時に届いた情報なのだが」「はいスクウィーク様」
さらっと話を進めてくれたのはさすがハーレムの主、
これ以上の謝罪は逆に失礼にあたってしまうものね、
同じ女性として、さっきの件はもう触れないでおくことにしましょう。
「ここから北西の岩地に新たなダンジョンが出現したそうでの」
「なぬ?! やはり魔物が活性化したのはこの大陸に」「魔王であるな」
「俺のトライデントに早速の出番か」「待て待て慌てるな慌てるな、話はここからである」
改めて緊張に包まれる食卓、
いやさっきのアレはノーカウントにして欲しい、
緊張というよりは凍った状態だったわね、見てはいけないものを見てしまったような。
「調査中か」「エルディス、一応スタンピードに備え見張ってはおる」
「なら尚更、俺が」「ガイア、そういえば新たな仲間は見つかったのか」
「教会で募集した、明日朝に希望者は来るはずだ」「どこへだ」「教会前ですわ」
何人来るのかしら、
ヴァンさんに問い合わせてた人が何人も居たから、
さすがにゼロは無いと思いたいけれども……お給金は完全出来高制。
「まあ良いであろう、その前に我も我で冒険に出たい者を呼んだ」
「探しに行かせておいてか」「エルディス、別に1人でなくても良いであろう」
「で、そいつはどこだ」「呼んだと言ったであろうガイアよ……よし、入ってくるが良い」
その言葉に入って来た4人、
みんな若いわ、やたら背の低いのも居る、
そしてずらりと横に並んだ、薄暗いけど髪の色くらいはわかる。
「ほう、面構えは良さそうだな」
「エルディスよ、顔で闘うのはお主のような勇者か俺のような戦士、前衛の話だ」
「ではまず赤髪の少年、我とキルケのひ孫、ロモンである」「15歳です、燃やすのは得意です!」
男の子なのに髪が長いわね、
私と同い年かあ、話が合うと良いけれど。
「次に青髪の魔女、我とマレフィのひ孫、ジェディ16歳である」
「砂漠でも魔物を溺れ死にさせる、水魔法を得意としています、よろしくお願いします」
「マレフィは氷魔法は苦手なのじゃが、水魔法はめっぽう得意でな」「とマレフィも言っておる」
それより背が高くて胸が大きいのが少しくやしい、
まさか水魔法で胸を膨らませているんじゃ、勇者様に選ばれるために!
……さすがにそれは考えすぎね、エアリーはそんな自己紹介に目もくれずメロンの皮で遊んでる、揺れるベッドにして。
「こちらの緑髪は隠匿魔法を得意としておるラドカンである」
「14歳だけれど、お役に立ちたく思って来ました、連れて行ってください」
「ラドカンの地魔法は使いようによってはタンクにもなる、ランダとのひ孫でおすすめであるな」
スクウィーク様自らのイチ押しみたい、
それでも相性というものがあるので、そのあたりを……
最後にやたら背の小さな男の子、いやこれ何歳なの、大丈夫?!
「最後に銀髪の小僧、シュガルとのひ孫でロジェである」
「魔法の速さは負けません、頑張ります!」「おい、いくつだ」
「はいエルディス様、9歳です!!」「若いな」「成長しています!!」
そりゃあ9歳ですものね、成長途中。
4人の紹介が終わりスクウィーク様が私たちを真面目な表情で見回す。
「以上の4人と、募集をかけて教会に集まった者で調査へ行くとしよう、
明日の朝食後で良いな、使える者が居れば何人でも連れて行くが良い」
「スクウィーク、この子らは本当に前向きか?」「確認した、間違いない」
……嫌な予感が湧いてこないと良いのだけれども、ねえ。




