第27話 ジジイと魔導都市巡り!
「まずは今、20代前半で一番の魔力を持つマージ様です」
巨大要塞の中の一室、
真っ黒で取っ手のない扉に案内人ヴァンさんが手をかける。
「マージ様、ヴァンです、スクウィーク様の使いで来ました」
すると扉が上にあがった。
「入ってどうぞ」「だそうです」
みんなでわらわらと入ると、
何やら分厚い本に執筆中のようね、
丸眼鏡の青年、立派な魔導服は魔力の高いご褒美かしら。
「用件を速やかに、ただし話すのは女性で」
「あっ、私ですか、私は大聖女クレア様の弟子で」「用件だけで良い」
「は、はいっ、魔王討伐の旅に出るパーティーの魔法使いを」「断る、以上だ」
あーあ、振られてしまった。
私が下がるとエルディス様が尋ねるみたいね。
「理由を聞こうか」「私は新しい魔法を書き記す方が、興味があります」
「しかし魔物に滅ぼされたら意味が無いだろう」「あなた方がやっていただけるのでは」
「人任せか」「人にはそれぞれの役割分担がありますから」「それを頼みたい」「でしたら条件が」
私の肩に乗る妖精エアリーに目をやった。
「ボクか?!」
「はい、妖精は精霊魔法を使うと聞きます、それを全て文章に出来るなら」
「だそうよエアリー」「説明はできないなー、ボクも仕組みとか、よくわかんない」「では話は以上で」
ガイア様がやる気満々だけど、
ここでそんな力ずくで連れて行く意味は無い、
続いて案内されたのは、いかにも魔女の館といった建物。
「今度も20代前半で、そのあたりの年齢では一番魔力のある女性です」
今度はベルをカランコロン鳴らす。
「……はい」「スクウィーク様の使いで来ましたヴァンです、ネブラ様に御用が」
入ると黒いメイド服の女性、
彼女かな、と思ったら奥へ通された、
そこには真っ黒い帽子にローブの40代ぽい女性が薬の調合中。
「あらヴァン、何かあったのかしら?」
「いえ、本日はネブラ様に御用が、この方はネブラ様の師匠、チューン様です」
「あらあら立派な殿方とお嬢様と、えっ、妖精?!」「失礼、勇者エルディスと申す」
ここは勇者様が出てくれた。
「まあ、あの伝説の」
「こちらに魔王討伐パーティーに相応しい魔法使いが居ると聞いて」
「ネブラね、いま台所の雑巾がけをしているわ」「ワシらに貸して貰えぬか」「そうねえ」
そして視点は、
またしても妖精エアリーに。
「ボクに用?」
「その妖精を焼いて素材にして良いなら」
「断る!」「あらそう」「スクウィークの頼みだったとしても駄目か」「私の弟子ですもの」
結局、会う事すら敵わず次へ。
「この魔導具屋です」「いらっしゃい」
「ジグ様、ミロイ様はどちらへ」「新婚旅行だ」
「あっ、そうでした、では魔王討伐に参加は」「そこの妖精を売ってくれれば貸し出そう」
こうして案内される場所では次々と……
「妖精を魔法で金に変えて良いか?」
「その妖精を飼いたいわ、だったら許可してあげる」
「押し花ならぬ押し妖精をしても良いなら」「みんな妖精目的かよ!」
エルディス様も、
そりゃあ荒れるわよね。
「……なあティナ、もうボク、帰って良い?」
「どこに帰るのよ」「アレじゃな、確かにエアリーが居ない方が、他の条件を引き出せるかも」
「さすがガイア様、良いアイディアですわ」「ではどこに隠しておく、スクウィークすら信用できぬぞ」
というエルディス様の言葉を受け、
ヴァンさんおすすめの喫茶店で落ち着くことに。
「まずは酒を頼もうか」「俺もだ」
「あっ、果物も売っていますね」「メシが食えるー!」
「申し訳ありません、我が魔導都市の魔法使いは、みんなクセが強くて」
そんなヴァンさんが謝ることでは。
「スクウィークの強権発動は無理か」
「そうですね、発動はできますが、従うかは個々の自由です」
「なんと困ったな、俺なら弟子に絶対言う事をきかせるが」「戦士様はねえ……」
私が呟くようにそう言った傍から、
早速、カラフルなお酒がやってきた、
私にはミルクとフルーツ盛り合わせ、浄化してエアリーに食べさせなきゃ。
「どうすれば良いかのう」
「こうなればスクウィークに決めさせよう」
「あの、でもそれも絶対言う事をきく訳では」「ききそうなのを選ばせれば良い」
エルディス様はそう言うけれども……
「ではこうしてはいかがでしょう」「はいヴァン様」
「参加したい方を募る、募集をかけるのです」「希望者から選ぶと」
「ただし対価は……いかがしましょう」「金貨だな」「給金だな」「あぁ、路銀が……」
ここでも教会で、
例の有償ボランティア活動をして稼ぎましょう。
「「では、乾杯!!」」
「昼間っからジジイは呑むなあ、ティナ!」
「はいはい、浄化したわよ、あーん」「ん~~……んぐんぐ、んまー!!」
あっそうだわ、
教会で治療ついでに、
パーティー募集の宣伝しちゃえ!!




