第23話 ジジイとババア、別れの時!
翌朝、ガイア様のお弟子さん達に見送られながらの旅立ち。
(ゴツいけど立派な馬車だわ)
引手の戦士もゴツい。
「魔導都市までコヤツが連れて行ってくれる、そこまでだがな」
「十分だ、馬車は途中で買うとして、引手はビジランテの弟子にやらせよう」
「ええっとエルディス様、確かアサシンの」「ああ、ガイア、どこに居るか知っているか……ガイア?」
見送りの中に居るお婆さんの所へ行った。
「また行ってくる、俺の最後の旅だ」
「あまりはめを外すんじゃないわよ、遊びもほどほどにね、アナタ」
「ああ、お前と一緒に行けないのは寂しいが」「そんな言い訳、もういいわ……でも、ありがと」
若い頃は、さぞかし立派な姐さんだったんでしょうね、
それはそうと、将来は立派な姐さんになりそうなのとその紐もとい……
アレクスさんとオムイくんもすっかり旅立ちに姿、いや昨夜はお楽しみだったそうで、声が漏れてたらしい。
(あっ、結局は昨日の闘いの後、治癒魔法で治してあげました、身体の方はね)
心の傷までは知らない。
ガイア様が奥様と別れの抱擁をしている間に、
私は手紙をあえてオムイくんの方に渡してあげる。
「これは……?!」「私の出てきた教会、知ってるわよね? そこにオムイくん向きの聖女が居るわ」
「そんな方が……?!」「魔王討伐パーティーの、私以外に最終候補だったビナスさんよ、よかったら連れて行ってあげて」
「良いんですか?!?!」「彼女が、本人が行きたがっていたから、第二第三部隊の要員と聞いたら、きっと喜ぶでしょうね」
深々と頭を下げるオムイくん。
「ありがとうございます!」
「能力は間違いないわ、能力はね、あとは本人を見て確かめて、母性溢れるタイプだから相性はきっと良いわ」
「だそうですアレクスさん」「感謝するティナ様、私たちは私たちで上手くやって行けそうだ」「私も安心したわ」
そう、想定した最悪の事態、
アレクスさんが優勝してあの侯爵家の坊ちゃんと結婚、
私たちの旅にあの坊ちゃんが、夫として二人揃って一緒についてくる、という状況にならなくて良かった。
(ちなみに振られたショックで引きこもっているらしいわ)
奥さんと離れたガイア様もやってきた。
「アレクス、餞別だ」「……ありがとうございます」
「いつかどこかで、また会うかも知れん、それまで生き延びるのだぞ」
「私は大丈夫です、私は」「アレクスさん……」「オムイ、調教は、いや指導は毎日だからな」「は、はいっ!!」
結局はアレクスさんって、
おそらく終始、オムイくんに心の中ではデレデレだったんでしょうね、
心が折れるくらいしばいておいて、拾うっていう……少しタチが悪いけど、彼女なりの愛情なんでしょう。
「大師匠、僕らは見送ったら乗り合い馬車で行きますから、まずは大教会へ」
「うむ、オムイはとにかくアレクスに何もかも任せろ、おそらくそれしか無い」
「新しいパーティーの、聖女様とも上手くやってみせます」「聖女ティナの紹介だ、確かだろう」
腕は確かです、
魔力も私より上かも?
唯一の心配は30代なことだけ!!
(ジジイ2人に比べたら、ピッチピチよ!)
ちなみにそのビナスさん、バツイチです。
「では行こうかガイア」
「おうよエルディス、また組めるな」
「前衛は任せた」「トドメは任せた、ってまた楽する気かー?!」
そんなこんなで馬車に乗り込んだ私達、
みんなに見送られて出発する、それにしてもねえ……
(84歳の勇者、81歳の戦士……)
つ、次こそは、
ちゃんとした方よね?!
「あの、魔導都市にいらっしゃるのは」
「大魔導師スクウィークだ、ワシより6つ上だ」
「俺よりは9つ上だが、どうも最後まで掴み所の無いヤツでな、クレアの葬式も一瞬姿を見せて一瞬で消えおった」
なにそれ怖い。
「またジジイが増えるんじゃねーだろーな?!」
「おお、やはり妖精か、久しいな、まだ生き残っておったとは」
「ガイア様、改めて、私の契約精霊エアリーです」「そういえば50年前、自称妖精がおったな」「自称?!」
エアリーが飛びながらガイア様の目の前へ。
「自称って、どういうことだー?!」
「なんでもマザーツリーを巡って、人間にして貰ったらしい」
「そ、それはどこに」「いずれ通る村だが、当時で老婆だったからのう、まあ伝承や記録が残っているかもな」
しょんぼりするエアリー、
そしてエルディス様が改めてガイア様に尋ねる。
「ところでビジランテはどうした、クレアの葬式にも来なかったが」
「俺も知らぬ、知っているとしたらスクウィークだろう、着いたら聞こう」
「よし、ではガイアよ」「おうエルディスよ」「「ここいらで、呑むか!!」
奥からお酒を取り出したふたり!
「え、えっ、えええぇぇぇ~~……」
私の震え声にも関わらず、
朝から馬車内で宴会を始めた、ジジイ2人なのであった。
「本当に大丈夫か、このジジイとジジイ」「エアリー……」




