第20話 そして決勝、結果にジジイは!
「ではこれより決勝戦を行う、まずはアレクス!」「……はい」
静かに入ってくるアレクスさん、
表情は引き締まり、まさに決戦といった感じ。
「さすが我のあれくすちゅわん! 華麗に勝って、我が嫁にぃ~~~でへへへへ」
デレデレの坊ちゃん、
頭上のトカゲも困り顔だ。
「そしてドルガ!」「……」
無言ながら笑みがこぼれているわね、
やはりアレクスさんに勝てば、勝てればっていうのを、
意識しているみたいね、紳士的って聞いていたんだけど。
「あれ、なんかヤツ、企んでねーか?」
エアリーの言う通りなら、
何か秘策でもあるのかも……?
「互いに、礼!」
「アレクス、握手だ」
「真剣勝負で頼む」「怪我はさせないさ」
距離を置いて互いに構える、
アレクスさんは相変わらずハルバード、
対するドルガさんはウォーハンマーという武器。
(まともに当たったら、怪我必須なのに)
現に準決勝で、
あのハンマーの餌食となったブラスカさんの治療は、
結構大変だったわ、あれのどこが紳士的……手を抜いたら失礼ってやつかしら?
(さあ、いよいよだわ)
ちなみにオムイくんは、
アレクスさんが勝った場合の対戦に備え、
入場口手前で見守りながら稽古しています、素ぶり中心。
(この一線でアレクスさんが疲れ果てていれば、あるいは……!!)
そのような淡い期待?
をまるでかき消すかのように、
審判の号令が闘技場に響く!
「では、はじめっ!!」
その直後、
ドルガさんはとんでもない行動にでた!!!
「なにっ?!」
ザザザーーッッ!!
(足で、地面を蹴って土ぼこりが舞った?!)
それはまるで煙幕のような、
決勝までさんざん荒らされた地面が、
少し耕されるような形で砂が大量に積もっていた!
「うわっぶ!!」
完全に視界を奪われたアレクスさんのもとへ、
ウォーハンマーが……振り下ろされた、危ないっ!!
「そこまでっ!!」
審判である衛兵のその声に、
ウォーハンマーが寸前で、本当の直前で止まった!!
「うっ……ううっ?!」
「勝者、ドルガ!」「言っただろう、怪我はさせないと」
「ひ、卑怯だぞ、紳士的な貴殿が、なぜこんな真似を」「今日、この時のためだ」
にやけた表情のドルガ、
年齢は20代中盤といった感じ、
あっこれ、黙っていればイケメンなのにって部類なのでは!
「では、これまでは」
「正攻法で行けば互角、ならな勝てる方法を選んだまでだ、ルール違反ではあるまい」
「しかしモラル的には」「優勝すればプロポーズを受け入れてくれるのだろう? 真面目な君だ、従わない道は無いはずだ」
と、私のほぼ前方の巨体が立ち上がった!
「無効だ! こんな試合、領主代理、いや次期領主として反則、無効を宣言する!!」
あっ、私と最初に会った時のような、
比較的普通の喋り方に戻った侯爵家の坊ちゃん、
しかしそれを征するガイア様、落ち着いて座れと。
「この場の責任者は俺だ」
そう言って決勝を戦ったふたりの所へ歩み寄る、
伝説の勇者ガイア様……アレクスさんは目に入った、
いえ、顔にも被った土ぼこりを払っている、目は洗わないと。
「ガイア師匠」「ガ、ガイア様、こんな卑怯な手は……」
「ドルガよ、どんな手でも勝ちは勝ちだ、それを認めよう」
あーあ、勝っちゃった。
「いいのかオイ」
「エアリー、これも『流れ』っていうのじゃなーい?」
そう、まさしくアレクスさんが言っていた……
これをオムイくんは、いったいどう見ているのかしら?
そしてエルディス様は……今度は芋を食べてらっしゃる、表情を変えずに。
「では、この私ドルガが、勇者パーティーに……!!」
喜びの表情を見せるドルガに、
ガイア様が答えたのは、まさかの展開だった!
「しかしまだ優勝ではない、最後に戦う相手を用意している、その勝者こそが優勝だ」
「えっ、トーナメントを、決勝を勝てば優勝では」「違う、まだ1試合残っている、隠していたが」
「では、その相手を倒せば」「本当の意味での優勝だ、今度こそ認めよう、何もかもな」「では、その相手は……?!」
おっと、ここでオムイくん登場?!
と思ったけれども、出てくる気配は無い。
「……相手は俺だ、この師匠を超えてみよ」
な、なっ、なんですってーーーーー?!?!?!
お弟子さんが先が3つに分かれた武器を持ってくる、
確かあれはトライデントとかいう、しかも全体が太い!
「なるほど、ラスボスですか、良いでしょう、
アレクスに使って手はもう使えませんが、別の手がありますから」
「ふんっ、何をどうしようと、この俺はまだ老いぼれてはおらぬぞ!」
ええっとエルディス様の3歳下ということは、
81歳よね? 大丈夫? 本当にいけるのかしら?
アレクスさんは他のお弟子さん、同僚の手を借りて水で目を洗ったり埃を払い終えている。
(さあ、いよいよ本当の決勝が、始まるのね)
この師弟対決、
果たしてその結末は……いかに?!




