第19話 ジジイを入れず女同士の秘密話!
「アレクスさん、準決勝前に御相談と聞いて参りましたが」
「ああ、女性控室にわざわざ来ていただいて済まない、ふたりっきりだ」
「さっき、もうひとりの女性ミネバさんが敗退なさいましたものね」「もう出て行って貰った」
ちなみに彼女も求婚していた、
なんてことは……もう終わった話だからまあいっか、
それよりこれからのお話よ、ジジイもオムイくんも入れずのご相談。
「私も確認したい事が、残ったあと3人のうち求婚者は」
「2人だがロザーロ殿を倒しても、おそらく決勝で当たるだろう」「あっ、あのドルガさんですか」
「そしてそのドルガ殿の相手、ブラスカ殿は40代だ」「じゅ、熟練の技に期待しましょう」「だと良いが」
ええっと、状況を整理しましょう。
「アレクスさんが優勝すれば、最後にオムイくんと戦って」
「オムイが勝てば何でも言う事を聞く、そういう約束だったからな」
「でもアレクスさんが勝てば」「嫁に行く、私がドルガ殿に負ければ、優勝したら婚姻を受け入れる約束をした」
で、他のケースはっと。
「アレクスさんが準決勝で負けて、ドルガさんがブラスカさんに負けたら」
「ロザーロ殿では勝てないだろう、ちなみにブラスカ殿は妻子持ちだ、
いやそういう話ではなかったな済まない、ブラスカ殿が優勝すれば私はオムイとだ」
約束通り、戦ってあげると。
「もしもロザーロさんが優勝すれば」
「ロザーロ殿と結婚だな、考えられんが」
「ブラスカさんかアレクスさんが優勝して、オムイ君がアレクスさんに負けたら」「私は貴族へ嫁入りだ」「い、いいんですか?!」
無表情に頷くアレクスさん。
「そういう流れになればな、私は闘いにおいても人生においても、流れを重要視している」
「流されるんですか」「いや、流れというのはその場の空気の風とでも言おうか、説明が難しいな、
自分で作れる流れもあるし、水面に石を放り込んでその波紋の流れを、いや例えが少し違ったか」
なんとなく言いたい感じはわかる、
まあ、物凄く荒っぽく言えば、その時の気分次第みたいなものね。
「結果的に出来上がった流れに沿う感じですか」
「まあその流れはいくつもあって選ぶ、ということもありうる」
「わかりました、それでご相談は」「ドルガ殿かロザーロ殿が優勝した場合だが」
つまり、ドルガさんもしくはロザーロさんと、
アレクスさんが結婚することになるのね。
「はい、その場合……ってオムイくん、相手が誰でも乱入して優勝者と闘うって」
「そんなことをして、どうなるというのだ」「戦士の優勝者に勝って、アレクスさんに認めて貰う、みたいな」
「ドルガ殿かロザーロ殿が優勝したならそんなことはさせない、私がドルガ殿と約束したからな、ドルガ殿に失礼であろう」
そりゃあそうよねえ。
「あっ、では侯爵家の坊ちゃんの対処とか」
「ドルガ殿、ロザーロ殿が優勝の場合はそちらを優先する、そこで相談なのだが、
そもそも今回のトーナメント、王命による魔王討伐パーティーの戦士代表を決めるものだ」
うん、そこ大事、忘れてないわよ!
「そうなるとドルガさんかロザーロさんが単身赴任に」
「出来ればだが、妻である私も夫の旅について行きたい」
「えっ」「ガイア師匠は勇者パーティーが良いなら良い、エルディス様はティナが良いなら構わないと」
一気に前線が2人ねぇ、
でも新婚さん、色々と気を使いそう。
「魔王討伐の旅路で、いちゃいちゃされるのは、さすがに」
そういうのが許されるのは、
カップルの組み合わせが決まっていて余りが居ないか、
完全な平和的なハーレムパーティーだけだわ、逆ハーレムでもいいけど。
「わかった、では皆に気付かれないように、いちゃつこう」
「そういう問題?!」「仕事は、戦闘はきっちりやる、問題ない」
「でも私の心理的にちょっと」「駄目か」「うーん、本当に気にならなければ良いのですが」
本人の性格っていうのもあるわよね、
最も最初から、ガイア様は「強ければいいだろう」的な選び方だけれども。
「まあロザーロ殿は無い、私が負けたのは1回だけだ」
「では勝ったのは」「いちいち憶えていない、それだけ勝ってきた」
「ではやはりドルガさん」「互角だからな、経験から言えば私が少し不利、まである、しかし紳士的な良い戦士だ」
結構ゴツゴツな感じだったけど、
不器用なだけってう感じなのかしら?
「わかりました、その返答は準決勝と決勝を見て決めます」
「うむすまない、決勝前はさすがにこの相談は出来なかった」
「集中しますものね」「このタイミングで聞けて、いや伝えられて良かった、ありがとう」
ということで私は女性控室を出る、
廊下で誰も居ないことを確認してエアリーが胸元から顔だけ出した。
「結局、どうなるんだろうな」
「あの感じだと、ドルガさんか貴族に嫁入り、あっ!」「どうした?」
「貴族に嫁入りした場合、私のパーティーにちゃんと同行出来るのか、聞いておくべきだったわ!」
まあいいか。
――この時、私もエアリーも思いもしなかった、
そう、このトーナメント、いえ、アレクスさんの結末が、
まさかまさかの、あんなとんでもないことになるのだなんて……。




