第18話 ジジイと観戦、戦士トーナメント!
「それではここに勝ち残った8名を紹介する!」
お昼の闘技場、お客さんいっぱいね、
高らかに声をあげたのは衛兵、領兵ね、街中で見た服から言ってそうでしょ、
そしれずらりと並んだ戦士たち、男性6名に女性2名、みんな表情が貫録ある。
(とはいえ、おじさんは1人だけね、あとはみんな若くおそらく20代)
いえアレクスさんはまだぎりぎり19歳だったわね、
ともかく1人1人紹介されては頭を下げたり武器を掲げたり、
ちなみに私はエルディス様とメインスタンド最前列、と言いたいけどその前に例の坊ちゃんが座っている。
(つまりスタンドの前ね、闘うエリアに大きな椅子が用意されて、どっかり座っている)
巻き込まれちゃえ、とか悪い事を思ったりしたけど、
端っこなので狙って吹き飛んできたりしない限り安全でしょ、
隣に解説役のガイアさんが座っているから、いざとなったら護るでしょうし。
(にしての王子の頭、例のトカゲ系魔物いやティムペットを被ったままで邪魔!)
ちょっとずれちゃお、
気を使ってエルディス様の、私を挟んで反対側の、
オムイくんもずれてくれた、うん、これでちゃんと見られるわ。
「おっ、前が見えるようになった!」
「エアリー、いい? 変な細工しちゃ駄目よ」
「わかってるよ、こっそり観戦しか、しないよ!」
とかやっているうちに、
紹介は最後の1人アレクスさんに。
「ラストは若干19歳、今決勝大会最年少、女戦士アレクス!」
「私はもう誰にも負けない、以前負けた相手にも、お返しさせて貰う」
「あれくすちゅわぁ~~ん! ひゅ~ひゅ~! さっすが我が婚約者だぜ~!!」
痛い、寒い、この坊ちゃんの気持ち悪い言葉にもクールな表情のアレクスさん、
いいの? 本当にいいの? 生贄なのわかっているの? と思っても口には出せない、
ええっと、彼女が優勝してオムイくんとの真・ラスト決闘に勝ったら、私はアレの奥さんと旅に出るってこと???
(ま、まあ、アレクスさんに罪は無いけれども!)
あっ、8人が箱からくじを引かされているわね、
そして出た数字順にトーナメント表に名前が書かれる、
アレクスさんは1番を引いたみたい、このあとすぐの闘いだわ。
「ガイアよ、アレクスは優勝しても我の嫁になるんだよな?」
「坊ちゃん、坊ちゃんははアレクスからは何と」「終わったら伝えるから待って欲しいと、はにかんでおったぞ!」
「ではその時に」「もったいつけるなあ我の婚約者は!」「流れを受け入れるとは言っておりました」「なら決まりだな!!」
ん? つまり流動的ってことでは??
場合によってはルートは分岐する訳だし、
確かに中途半端な結果、アレクスさんも求婚者も、ワンチャン再戦のオムイくんも負ければ、この坊ちゃんの嫁ルートに。
(あとアレクスさん優勝の場合は、王命で魔王討伐へ行く訳だから、それを理由に断る事も出来るわよね)
ただ、ひとつ嫌な予想が私の頭をよぎったが、
これはこのトーナメントが終わって、決断を待って声に出そうっと。
オムイくんはずーっと心配そうな表情、闘う出番が来ると良いわねえ。
「ねえオムイくん、何を考えているの?」
「……誰になっても、優勝者と闘おうと思って」
「いざとなったら乱入?」「勝てなくても、後悔はしたくない」
うん、ちょっと男の子の表情になったかな。
「あれくすちゅわわわわぁぁぁあああああぁぁぁん! ぐふふふふふ」
こっちは見なくてもわかる、
いやらしい表情だわきっと。
「さてティナよ」「はいエルディス様」
「衛兵が審判なゆえ止めるとは思うが、もしもの時は治療を頼む」
「あっはい、そうですね、深刻な状況になれば即座に」「我のお抱え聖女になっても良いのだぞ?!」
いやー! こっち見ないで。
「では早速、準々決勝第一試合を行う、負けた者は速やかに退場するように」
勝ったら残るのね、
次の相手の闘いを見ないといけないし。
「ではまずアレクス、そしてベルナ!」
相変わらずハルバードを手にしたアレクスさん、
対するベルナさんは片手斧を両手に持って二本で戦うのね、
あれなら防ぎながら攻撃が出来るけど、近接戦に持って行くつもりかしら?
「お互い、礼! そして構えて」
そうね、この礼が無いと単なる喧嘩だわ。
「それでは……はじめっ!!」
結果、アレクスさんがハルバードで手斧二本を弾き飛ばした。
「そこまで! 勝者、アレクス!」
強い、本当に強いわ、
そしてこの強さにオムイくんは、
どうやって勝つのよ……脱いでも多分駄目よ、昨夜、老人二人の裸踊り見ても平然としてたし。
(むしろ逆に、アレクスさんが脱いだらオムイくん目を手で覆いそうね)
そんなことしなくても勝てそうだけど、もちろんアレクスさんが。
「では負けたベルナは退場!」
「あれくすちゅわん、こっち、こっち、我の隣!」
坊ちゃんがでかい椅子の中でずれて、
空間を作っているわね、2人で座ろうっていう、
それにお構いなしに用意されている椅子に座るアレクスさん。
「では第二試合、ケブラ対ロザーロ!」
今度は槍とモーニングスターの対決ね、
このおふたり、ひょっとしてどっちかが求婚者?!
「アレクスは渡さん!」
「こちらだってアレクスは、必ず優勝して嫁に貰う」
「どっちもかよ!」「こらエアリー」「あれくすちゃんは我のだ、わ・れ・の!」
当のアレクスさんは、
いたって真面目に戦いを見るようね、
優勝するために真剣だわ、凄く集中をしている。
(そしてエルディス様は……)
あ、なんか豆をぼりぼり食べてる、
すっかり他人事の観客モードだわね、
私もそれくらい、気楽に観た方が良いのかしら?
「互いに礼! そして構えて……はじめっ!!」




