第14話 ジジイが見届ける、まさかの決闘!
夕焼けの闘技場にて始まる決闘、
勇者代表は駄目弟タイプの駄勇者ことオムイくん、
対する戦士代表は高身長のかっこいい女戦士アレクスさんだ。
「ガイア様、確かに身体の大きさが」
「ああ、それに武器もな」「あれって確か」
「ハルバードだな、大人げない」「現にもうすぐ20歳じゃ」
エルディス様の言った『ハルバード』とは、
簡単に言うと槍に斧をくっつけたような武器で、
ある程度の距離を取って戦うには最高だとかいうのを聞いた覚えが。
(でも、上手く潜り込んで間合いを詰めれば……!!)
審判が入るみたい、
双方の武器をチェック、
オムイくんは相変わらず勇者剣だけど細いわ。
「アレクスさん、嫁に出るって、どどどどういうことですか?!」
「貴族から身請けの話が出ていてな、何もなければ丈夫な子供を産んで欲しいそうだ」
「そんなあ!!」「それだけでは無い、それを聞いて兄弟子が何人も、明日のトーナメントで優勝したら結婚して欲しいと」
そうそう、そんな話の真っ最中だったわね、
やはりカッコイイ系のお姉さまだけあってモテるのね、
貴族の理由はともかく、この街が、そしてガイア様の弟子筋が男ばかりで、女が少ないからなのでしょうけれども。
「じゃあ、もうこれで僕が負けたら」
「逆に勝てばオムイ、君と結婚してやろう」
「……わかりました、命賭けで行きます」「殺し合いはよせ」
お互いに構える、
エルディス様やガイア様といった、
ジジイが見届ける中の、まさに決闘……!!
「なあティナ、ボクの魔法でオムイを勝たせようか?」
「エアリー、それは駄目、それだけは絶対に、やっちゃ駄目よ」
「わかったよ、あーあー退屈だなあ」「いいから休んでいなさい」
とはいえ私の谷間からしっかり決闘を見るエアリー、
さあ、審判は引いていよいよ戦いの合図が……闘技場に声が響く!
「始めっ!!」
先に動いたのは、
勇者オムイくんの方だった!!
「でやあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
広い闘技場を使って、
アレクスさんを中心に大きく円を描いて走っている!
これで長槍でもあるハルバードの動きを定まらなくするつもりかしら?
「良いのか、オムイ、本当にその戦法で良いのか」
「後ろに回り込めば、いくらエレクスさんだって!」
「そうか、徐々に円を小さくして、じわじわ近づく作戦か」
そして走る速度が上がってきている、
これはいつ、どの距離でオムイくんが飛び掛かるか、
全てはそのタイミング次第ね、それを見極める事が出来れば、奇跡の勝利が……?!
「でえええええぇぇぇぇぇーーーーいっ!!!」「……そこだ」「えっ?!」
スッテーーーン!!!
(あらあら……)
走っていたオムイくんの足元に、
ハルバードを突いて見事に躓いて転ばせた!!
あーあ情けない、相手がいつまでも受けの訳ないでしょうに。
「いででででで」
「そこまで、勝者アレクス!」
「そ、そんな、最後がこんな負け方だなんて……」
悲しいけれども、
これが決闘なのよねえ。
「オムイよ、あきらめろ」
「……イヤです!」「ならもう1回か、変わらないと思うが、いや、変わらないが」
「そっ、それでもです!」「……もう十分チャンスはやった、だがあと100回チャンスをやっても結果は変わらないだろう」
あーあ、無慈悲な宣告が。
「あと1回、もう1回、お願いしますっ!!」
「……その目は初めて見せる目だな、わかった、条件付きでチャンスをやろう」
「本当ですか?! そそそそそ、その条件って」「明日の魔王討伐戦士決定トーナメントで私が優勝した場合だ」
えっ、でも優勝したら私のパーティーに、
あっそうだわ、負けない自信があるからなのね。
「優勝した時、だけですか」
「そうだな、あとは私に求婚している戦士が優勝しなかった場合」
「あっ、優勝したら」「その相手と結婚する、皆、私に勝ったことがあるからな」
これはまたハードルが高そうね、
ていうか何人居るのかしら、複数は間違いなさそう、
いっそオムイくんがそのトーナメントに参戦、ってもし優勝しちゃったら私と組む事になるじゃないの!!
(何にしろ、オムイくんにとっては祈って準備をするだけね)
まあ、他人の恋路はどうあれ、
私と組むパーティーが誰になるのか……
でも優勝者がアレクスさんと結婚した場合、いきなり単身赴任?!
「よし終わったの、エルディスよ、飯じゃ宴じゃ」
「おうよガイア、決闘の後は宴会と決まっておるからな!!」
うん、もう日が沈むからね、
アレクスさんはすたすたと退場、
オムイくんは遅れてとぼとぼと……大丈夫かしら。
(とにかく、明日のトーナメントね)
午前中、どうしようかしら。




