第11話 若き聖女は、ジジイと語る!
「長閑な農園ですね」
「ああ、昼食休憩には丁度良いだろう」
目的の街までの途中にある広い広い農園、
その農民用詰所でトイレとか水の補給とか、
馬の休憩とかのついでに芝生でお弁当を食べる。
「勇者様にということです」
「おおオムイ、果物をそんなに!」
「ありがとうございますですわ」「では私は馬の引き手さんに」
デザートには困らないみたい。
「ボクも! ボクも!!」
「エアリーはむしろ、これが昼食だものね」
リンゴに浄化魔法をかけて渡す。
「いただきまーす」
「なんだ魔法が必要なのか」
「私がこうしないと、食べられないみたいで」
だからこその関係なのよね、
私はエアリーに食事をご馳走して、
エアリーは私に魔法で加護を授けてくれる契約。
「よし、食うぞ」「はい、いただきます」
「……それにしてもだ、長い魔王討伐の旅、野宿も普通にあると思うが大丈夫か」
「はい、教会では36時間、極寒の中で断食する修行も」「それはやり過ぎだろう」「その間、8時間毎に滝修行も」
もはやこれが普通なので、
環境的なものは大丈夫だと思うの、
ただ、教会の先輩方がよくおっしゃっていたのが……
『一番怖いのは、人間なのよ』
あの百合勇者を見て、
それをある意味で実感した。
「クレアはワシ達を、本当によく面倒見てくれた」「そうだったんですか」
「手綱を握る、とはまさにああいうことだったのだろう「何をされたのでしょうか」
「野外で手料理を丹念に作って振る舞ってくれたり、笑顔で思いっきり振りかぶってビンタしたり」「両極端ですね」
印象的なことが、
このふたつなんでしょうが。
「不思議と誰も恋愛感情を抱かなかった、
それがワシたちを取りまとめる一番の方法だと思ったのだろう、
今にして思えばそういう魔法を使っていたのかも知れんな」「チャーム魔法の逆のようなものですね」
私にも、そこまでの気配りが出来るかどうか、
全てはパーティーメンバー次第よね、よく考えて選ばないと。
「まあ全てを背負い込む必要は無い、
よく話し合うことだ、いざとなったら勇者を頼れ」
「そのような素晴らしい勇者様に会えると良いのですが」「もう会っているではないか、ここに」「えええぇぇぇ……」
勇者ジョークということにしてしまいましょう、
続いてオレンジを浄化してエアリーに渡すと美味しそうに食べている、
エルディス様は、もう弁当箱を空にして果物に移行している、お水もガブ呑み。
「パーティーメンバーに恵まれるかどうかも勇者の技量だ、
そしてティナを加える事ができた勇者は大当たり、幸せ者だ」
「えっ、そうなんですか?!」「見てわかるというか、雰囲気はさすがクレアの弟子だ」
そう言われましても……
でもエルディス様が伝えたいことは予測できる、
おそらく、そういう聖女になれと……組んで良かった、心からそう思えるパーティーメンバーに。
(私が相手どうこう考えるより、相手に私がどう見られるか、も重要よね)
なんとなくクレア様が生きていたら、
そのようなアドバイスをしてくれていたと思う、
エルディス様もそういう、私の師匠が言いそうなことを汲んで言ってくれたのかも?
「どこまでついてやってやれるかわからぬが、
メンバーが全員揃う所まではつきあってやりたいと思っている」
「つまりは、過去のお仲間全員と会わせていただけるのですか」「陛下の頼みでもあるからな」
確かに陛下は全ての弟子とパーティーを組めと、
とはいえ初手の『勇者の弟子』で躓いてしまったのだけれども、
それでも途中で素敵な、いえ、素晴らしい勇者が現れたら、後追いで弟子扱いにするという手も……!!
「おい、魔物の群れが農地に入ってきたぞーー!!」
農夫の叫び声に見ると、
狼系の魔物が入り込んできている!
どこから侵入してきたのか、これは対処しないと!
「ティナ、行くぞ!」「はい。エルディス様!」
遅れてオムイくんもやってきた、
さあ早速、訓練ではない正真正銘の、
ちゃんとした戦いを、魔物討伐を……始めましょう!!
「よし、ではオムイ、行け!」
「えっ、私は後衛系勇者で、大師匠が」
「ワシは最後の最後、魔物の群れのボスをだな」
なにやってるのよ、もーーー!!!
「ホーリーシャワー!!」
杖を掲げて光魔法を、
ワーウルフらしき魔物たちに浴びせる!
攻撃力は大した事ないけれども目くらましと動きの鈍化は確かなもの、なはず。
「おおティナ、よくやった!」
「こうなったら後は、お任せ下さい!!」
楽になったとたんこの態度……
ふう、私たち、いえ私、上手くやっていけるかしら?
(あくまでまだ仮メンバーですもの)
とりあえず次の街、
新たに加わる戦士様に期待しようっと。




