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ファンタジジイアドベンチャー!  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 魔王討伐パーティー結成は、まずは勇者から! 編

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10/21

第10話 ジジイの長話に付き合う!

 馬車は王都をようやく抜けた。


「さて、ここからかなり時間がかかる、ワシの話でもしよう」

「えっエルディス様、隣町ですよね?」「とはいっても鉱山の麓、そもそも王都ができすぎる」

「ではいつ頃」「夕方には着くだろう、馬が潰れて良いならワシが手綱を握れば昼過ぎには」「やめてあげて下さい」


 どうもお年寄りは無茶しがち、

 考え方が古いと言いたいけれども、

 実績が伴っている以上、無下に扱う訳にもいかない。


「昼食の箱がきちんと人数分ありますね、あと馬の餌も」

「うむ、ところでオムイよ、ワシ以外のパーティーメンバーを述べてみよ」

「それは50年前の『最強の五人』ですよね」「おう」「あの、パーティー名が『最強の五人』なんですか?」「そうだティナよ」


 てっきり称号かと、

 通りでパーティー名を私が知らなかったはずだわ、

 二つ名だと思っていたのが正式名称だったのだから。


「勇者の中の勇者、彼が攻撃する時、魔王は必ず倒されるという大勇者エルディス様」

「おう、自分の大師匠についてはよくわかっているようだな」「一応は血が繋がっていますから」

「そういえばエルディス様、あの勇者4人中、3人繋がっていると」「おうティナ、繋がってない1人は破門になったな」


 あの唯一まともだった……愛の逃避行をしたけど。

 ていうかあの百合勇者、エルディス様の血が流れていたのね、

 今となっては関係ない、と言いたいけれど教会の後輩を紹介したのだったわ、おそらく同好の士を。


「そして次にお会いするのが、どのような硬い敵も、

 霧のようなつかみどころの無い敵もありとあらゆる武具で倒す、

 タンクから特攻まで全て行えるオールラウンダー戦士、ガイア様」


 大きく頷くエルディス様。


「ヤツの場合は決して便利屋とか器用貧乏とかではない、

 長い年月をかけ、全ての戦士武器や戦士戦術を極めた、

 本当の意味で、全ての戦士としての力がある、弟子が多種多様なのもそのせいだ」


 なんだかガイア様の話をウキウキでしていらっしゃるわね。


「続いて全ての攻撃魔法を極めただけではなく、

 新しい魔法まで開発して世に広め、自分しか使えない禁呪も持つという、大陸一の大魔導師スクウィーク様」

「大陸で、何か魔法による大事件が起こると真っ先に疑われるのもあやつだ、まあ以前の行いのせいだうがな!」


 な、何をやったのかしら?

 国王陛下の話によれば、その弟子も仲間に入れないと、

 そういえば私の師匠とも、文通していたらしいけどお葬式に時に一緒に焼いたとか、大量の手紙を。


「いつどこから来たのかわからない闇と影のアサシン、

 その素早さは誰も追いつけず、またまともに姿を見た者は仲間以外誰も居ないと言われる、

 黒装束のビジランテ、この名前すらも本当かどうかわからないそうですが」「奴は単なる下っ端、パシリで席を外す事が多かっただけだ」


 そんな凄腕アサシンをパシリだなんて!

 でも、そんなお方にまず弟子と呼べる方がいらっしゃるのかどうか、

 現在の所在地とかエルディス様、掴めているのかどうか少し不安になるわ。


「最後にそれら4人を支える大聖女様、

 時には光魔法で攻撃を、時には回復魔法で完全ある癒しを施し、

 現在も伝説として語り継がれ、その弟子は1000人を超えるという聖女クレア様」「うむ、正直怖かった」


 えっ何がー?!

 まあ教会内でも色々と伝説は聞いたわ、

 悪人を自白させるために壊しては癒し、壊しては癒しを繰り返したとか。


「リーダーは大師匠のエルディス様だったのですよね」「おう、弟子に、孫弟子にも嘘はつかん」

「私もそう聞き伝えられております」「しかしティナよ、本当の意味でのまとめ役はティナの師匠だったぞ」

「まあ、唯一の女性でしたし」「クレアを怒らせると地面が割れる、とまで我々の間で噂になっていてな」「怖いですね」


 教会では『堕天使が暴れまわる』とか言われてたそうよ、言わないけど。


「とにかくだ、その中でまずはガイアの話をしよう、

 ワシの相方にしてライバルにして親友にして定期的に対決を……」

「それよりボクの仲間について教えて!」「なんだ妖精」「エアリーだよっ!!」


 まずは自分の気になる話を聞かないと、

 気が済まないみたいね、まったくこの子は……

 とはいえ、ずっと1人で居たもの、仲間の存在はとても気になる所でしょう。


「妖精の集落では男がめったに生まれない、婿不足を嘆いていたな」

「えっ本当?! ボク、男だけれど」「もし生き残っていたら歓迎されるだろう」

「早く会いたいなぁ」「随分と昔の話だぞ、もし居てもババアかもな」「ジジイが言うんだ!」


 こらエアリー、という感じで軽くはたく私。


「まあ人間が乱獲したからな、焼いて食えば魔力が無限になるとか不死になるとか」

「えっそうなの?!」「スクウィークによればほとんど嘘らしい、せいぜい少し魔力が回復するだけだとか」

「試したの?!」「いや、魔法で分析しておった、着替えは加えていなかったぞ」「だったらボク、安心するー」


 私もエアリーのことは、

 妖精については実際のところ、

 あまり詳しくは知らない、だってエアリー自身が知らないのですもの。


「ちなみにその集落で妖精が言っておったのが」「なになにー?」

「世界中にある『母なる樹マザーツリー』のうち7本と出会うと、何でも望みが叶えられると」

「それ、本当に?!」「ああ、そのために旅立って帰らない妖精が多かったらしい、何でも人間にすらなれるとか」


 エアリーが人間に!

 妖精のお仲間が全滅したのであれば、

 それはそれでアリなのかも知れないわね。


「それ、やってみたい!」

「だがのう、1本の場所はわかっていても、残りまでは」

「そもそも7本も残っているのかという問題が」「オムイ、確かにそれはある」


 現にエアリーを護っていたというのも、

 出た瞬間に枯れてしまったって話だから……

 それがこの世界に残されていた、最後の一本ということもありうる。


「まあ妖精村は必ず寄る、そこまではつきあってやろう」

「ほんとにぃ?!」「だがなあ、最近は物忘れも多くてなぁ」

「かんべんしてよぉ」「他のメンバーにも聞いておいてやろう、さて、妖精の話はもういいな? ガイアとの最初の出会いはだな……」


 こうして道中は、

 勇者エルディス様のお話で退屈しないで済みました!!

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