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第五十二話 大砲

 アイリスに調合を依頼したのは黒色火薬であった。

 そして黒色火薬を使う武器……俺は大砲をこの世界で作ろうとしていたのであった。


 次は鋳造を用いて大砲と砲弾をつくっていく。

 2メートルほどの片側だけ開放された筒状の砲身に、球形の砲弾だ。


 砲身のお尻の部分には点火用の縄が入るほどの小さな穴だけを開けておく。

 そして移動を円滑に行えるように砲身を車輪を付けた木製の土台に取り付ける。

 大砲としてはこれで概ね問題ないであろう。


 しかし、肝心なのは砲弾だ。

 砲弾は人の手のひらを広げたほどの大きさで、射撃の正確性を増すには砲弾を限りなく球形に近づける必要がある。

 そのために何度も試作を行った。鋳型をつくっては修正し、何度もそれを繰り返す。そして数十度の試作の上、ようやく納得のいくものが出来あがった。


 それと時を同じくしてアイリスから黒色火薬の試作が出来たとの報告を受ける。

 そして早速俺達は大砲の試射を行った。


 蝋を塗り付けて湿気対策を施した袋に詰められた黒色火薬を砲身へと詰め込み、砲身の空洞部分に合わせて円形に加工した棒を用いてしっかりと押し込む。

 その後、砲弾を砲身へと詰め込み、黒色火薬同様に棒を使ってしっかりと押し込む。

 この時、砲身後部の黒色火薬点火用の穴は万が一の事故を防止するために塞いでおくことが重要だ。


 そして、黒色火薬と砲弾が砲身に詰め込まれたなら、次は点火用の穴から鋭利な棒を差し込み、黒色火薬の袋に穴を開ける。

 これで砲撃準備の完了だ。


「皆さん、耳を塞いで少し下がっていてください」

 俺はそう言うと先端にT字型の鉄棒がついた長柄の棒を手に取った。その棒のT字部分には火縄が巻き付いており、鉄棒の先端を点火用の穴に差し込むと火縄も同時に差し込まれるといった道具だ。

 そして皆を下がらせ、火縄を点火用の穴に差し込んだ。


 瞬間、激しい音と共に砲弾が発射された。


 ──しかし、その砲弾が行きついた先はわずか1メートル先の地面であった。


「…………」

「カズトよ、これが秘策か?」

 見学に訪れていたファティマが俺をからかうように言った。


 調合が悪いのか、はたまた火薬の量が足りなかったのか……しかし、わずか1メートルでは火薬の量を増したとしてもたかが知れている。


 なにかがおかしい。俺はそう思い、砲身の中を掃除して残渣を調べてみてることにした。

 すると詰め込んだ火薬の半分程の量が砲身内に残されていたのであった。


 そのことから俺は砲身内の酸素が不足し、燃焼が上手く進まなかったのだと推定した。

 だがこの程度の失敗は想定内である。アイリスには配合割合を調整した黒色火薬をいくつか用意してもらっていたのであった。


「アイリスさん、次は硝石を大目にした配合の火薬をお願いします」


 そうして俺達は試射を繰り返していき、ついに最適な配合と分量に辿り着く。


「では離れていてください」

 俺はT字型の棒を使います、火薬に点火する。


 瞬間、空気を震わせるほどの爆音とともに砲身から勢いよく白煙があがる。


 砲弾は空気を跳ね除けるように飛んでいき、そして1キロメートルほど先の地面がまるで水面のごとく飛び散った。


「──!」

 アイリスはあまりのことに身を屈めてしまっている。


「これはすごいのう。これならば"ミノタウロス"にも対抗できるであろうな」

 ファティマからの評価は上々であった。


 --------


 そして2カ月ほどの時が経過した。

 城壁の建設も順調に進み、城門側はほとんど完成していた。


 俺は城壁に登り、その出来栄えを確認していた。

 竹筋コンクリートはしっかりと固まり、十分な強度が得られているようであった。


 すると、ルッカが俺に駆け寄ってくるのが見えた。

 そして城壁の真下に辿り着くと上を見上げてこう言った。

「カズト様!! 大変でございます」

 いつも冷静なルッカが珍しく慌てた様子だ。


「どうしましたか?」

「それがつい先程調査部隊からの新しい報告があがってきまして、"ミノタウロス"が動きだしたということです」

「──そうですか。ついにきましたか。それで、ミズイガハラへの到達はいつ頃になりますか?」


「おそらくは四日ほどで到達するかと思われます」


 俺達に残された時間は四日間となった。俺達はこの四日間を活かし、"ミノタウロス"対策を万全のものにすべく急ピッチで準備を進めていった。


 まず俺達は既に量産体制に入っていた大砲の配備を進めた。

 城門側のみ完成している城壁の中段部および頂部にそれぞれ10門ずつの大砲を配備する。

 そして城壁外には先の"ゴブリン"、"オーク"侵攻時にも用いたアルミニウム粉塵爆弾用の櫓を設置していく。


 そして残った時間はひたすら鍛錬にあてた。どんなに優れた武器を持っていたとしても、まともに扱えなくては意味をなさない。


 こうして四日間はすぐさま過ぎ去っていったのであった──

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