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第四十九話 ミノタウロス

「カズト様、偵察部隊からの報告が上がってまいりました」

 執務室で書類の束を確認する俺にルッカがそう報告した。


「ありがとうございます。それで偵察部隊は何と?」

 先日の魔物の侵攻やグリズリーの件もあり、俺とヤクマは北の大地に再度偵察部隊を派遣していたのだ。


「はい。まずミズイガハラ近郊の状況ですが、先日の魔物侵攻時の残党などは見受けられませんでした。また、カズト様からお伺いしていた通り、グリズリーがミズイガハラ近郊でも確認出来ました。大きさこそ一般的なものではありますが、その数は群れごと移住してきたかのような数でありました」

「──やはりそうですか。それで北の大地の方は何かわかりましたか?」


 俺の質問に対し少し考えたのちルッカはこう答えた。

「……どうやらグリズリーが今まで暮らしていた森に"ミノタウロス"が確認されました」

「"ミノタウロス"が!?」

「はい。しかも今までに確認されたことのないほどの数が。おそらくはその森で繁殖していると思われます。今のところは侵攻を仕掛けてくる様子などは見受けられないようですが、注視が必要かと思われます」

「…………そうですか。ご報告ありがとうございます」


 おそらく偵察部隊の話に誤りはないだろう。"ミノタウロス"が個体数を増やしているのであれば、それは間違いなく脅威に繋がる。

 正直なところ、あの化け物グリズリーを超えると言われる"ミノタウロス"の群れを相手にするとなると、今の防衛体制では心許ない。仮に有効な防衛体制が築けたとしても、"ミノタウロス"への有効な攻撃手段がなければジリ貧になり兼ねない。


 やもすれば城壁や城門が破られ、街の中への侵入を許してしまうかもしれない。そんなことになれば街は崩壊してしまうだろう。

 "ミノタウロス"への対策は侵攻の情報が入ってからでは間に合わない。攻守ともに対策が急務であることは明白であった。


「ルッカさん、水路の建設は一時中断しましょう。そしてその労力を使って城壁を作り直したいと思います。まずは城門側だけでもいいので、急ぎ建設を開始します」


 --------


 こうして城壁の建設が開始されることとなった。

 水路と同様に竹筋コンクリートを利用していくこととなる。形状としては、城壁の外側と内側にそれぞれ厚さ50センチメートル程度の壁を竹筋コンクリートで作る。それぞれの壁同士の間隔は1メートルほど空けておき、壁同士の間は通れるようにするのが理想だ。


 そして建設については、ここでも鉄平石(テッペイセキ)を積み上げて作っていく。

鉄平石(テッペイセキ)を1メートルほど積み上げたら、積み上げたところまでコンクリートを充填していってください」


 一度に10メートル近い城壁の高さまで鉄平石(テッペイセキ)を積み上げることは不可能に等しく、また施工性の観点からも望ましくない。

 積み上げて、コンクリートを充填して、という流れであればその点の心配がないことから、ファティマの配下達にはそのように指示を送って。


 ファティマの配下達は手慣れた様子で作業を進めていく。水路建設でしっかりと要領を掴んでくれたのであろう。


「ではここは皆さんにお任せします」

 俺はファティマの配下達に向けてそう言うと、城壁を後にした。


 防衛については、城壁さえ出来ればかなり有効なものになるだろう。あとは攻撃手段だ。

 正直なところ、あのグリズリーよりも防御力があるのであればこの世界の武器で"ミノタウロス"の群れを相手にするのはまず不可能であろう。


 それこそ、"ゴブリン"や"オーク"を吹き飛ばした爆発のようなものがなければ。

 ──いや、あの爆発も罠としては有効ではあるが、"ミノタウロス"の群れを全てを吹き飛ばすまでとはいかないであろう。

 そうすると、他の攻撃手段も用意しておく必要がある。


「どうしたものかな……」

 俺は腕を組み、天を仰ぐように考え込んだ。


 するとその時、天からぽつぽつと雨粒が降り注ぎ始めた。

 空は真っ暗になり、遠くからは雷鳴と思われる音が空気を震わせていた。


 直後、先ほどまでの好天が嘘のように土砂降りの雨が地面を打ち付けた。


 すぐさま近くの建物の軒下に避難するも、ずぶ濡れになる俺達。


「……こういう時に大浴場があればな」

 俺はボソッと呟く。そしてその時、俺は自分の発言によってあるものの存在を思い出した。


「そういえば温泉にアレがあったな……。あとは……アレクさんの牧場ならもしかすると!」

 俺はひとしきり独り言を呟いたのち、ルッカへお願いをする。

「ルッカさん、後ほどアレクさんの牧場へ向かいたいと思います。雨が止み次第、アイネルの準備をお願いします」


 そうして俺達はアレクの牧場へと向かうのであった。

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