表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/53

第四十八話 水路②

 型枠と竹筋の設置が終わったならば、次はいよいよコンクリートの投入となる。コンクリートに使う砂利と砂は王都への街道沿いの湖から調達してもらった。


 まずは砂利と砂、そしてセメントをしっかりと混ぜ合わせる。そしてその後、水を少しづつ足し合わせていく。水を入れすぎてしまうと強度不足になってしまうため、ここは慎重に進めていった。


 そうして調合したコンクリートを鉄平石(テッペイセキ)の型枠の中に投入していく。そうしてコンクリートが50センチメートルほどの高さになるまで打ち上げた。

 そして竹の棒を使って、投入したコンクリートを上から刺すようにしてつついていく。


「ん? これで終いか? まだ型枠の上まで全然足りていないぞ?」

「一番上までいっぺんにコンクリートを投入してしまうと、コンクリートの重さによる圧力で鉄平石(テッペイセキ)の型枠が崩壊してしまうんです。なので、少しずつ時間を置きながら重ねていくようにしているんです」


「そうか。それであの竹の棒は何をしているのだ?」

「あれは締固めと言って、コンクリートの中の空気を排出させると同時に、砂利などのバランスが均一になるようにしているんです。


「──そうなのか。いまいちよくわからんのう。それにしてもこんなドロドロのものが本当に固まるのか?」

「ええ。大丈夫ですよ。数時間もすれば表面から固まってくると思いますよ」

「ふむ……。カズトが言うのならば間違いないのだろうが……」

 そう話すファティマの顔は怪訝(ケゲン)なものであった。


 こうしてコンクリートを何度も重ねていき、型枠の一番上まで打ちあがった所で水車を固定するための金具を埋め込んでコンクリートの充填が完了した。


 そして次はクウネルに事前に用意してもらっていた木の板と丸太を利用して組み上げていく。

 丸太で骨組みを組み、コンクリートに埋め込んでおいた金具に固定する。


「──本当に固まっておる。どんなに引っ張ってもびくともせん。こりゃあ"ミノタウロス"でも壊せんかもしれんな」

 ファティマは固定された丸太を思いきり押し引きしてコンクリートの強度を試していた。


「ええ。コンクリートを破壊するにはかなり骨が折れると思います。壊せても表面だけで、奥まで貫通して壊すのはどんなに強力な魔物でも難しいと思います」

「それは頼もしいのう。いずれは城壁にも使うのか?」

「──魔物の件もありますし、早いうちにそうしたいですね。ですが水路づくりで皆さんがノウハウを覚えてしまえば、そう難しい話ではないとも思っています」


 そして水車には水の流れを受ける羽根と別に、水を汲むための桶を取り付けておく。

 そうすれば水車を回転させつつ、水を汲むことが可能になるのだ。


 川の流れに沿うようにもう一台の水車も組み上げた。

 そして桶で汲み上げられた水は、水車の頂部に近付くにつれて排出されていく。


「おお、見事なものだのう。やはり見ただけで何をやっているのかがわかる方が見ていて楽しいものだな」

 この頃にはファティマは完全に冷やかしと化していた。

 また、時たま様子をうかがいにくるクウネルも同様で、二人そろって楽しそうに見学をしている光景は今までにないものであった。


 次は水路の整備だ。

 川から水路を引いてそれをそのまま利用してもよかったのではあるが、街中に行き渡らせるとなると、かなりの深さで地面を掘らなければならない。

 重機のないこの世界で地面を掘るとなると、かなりの時間がかかってしまうであろう。そのため今回は箱型の水路をつくり、そこへ水を汲み上げて流していく形とした。


 そしてこの水路には常時水が流れることになる。そのため、しっかりとした耐久性と防水性が求められる。ここでもまた竹筋コンクリートの出番だ。


 今回は専用に作った鉄の型枠を利用する。長さ1メートルほどのU字溝のような形になるようコの字型の型枠を準備し、それに竹筋と差し込み、コンクリートを充填していく。


「なんだ? 両側から竹がはみ出しているぞ?」

 ファティマは長さ方向の両端から竹がはみ出ていることを指摘した。


「これは水路を並べていったときにつなぎ合わせる部分なんです。隣り合う水路の竹同士が重なりあうように配置していきます。そして位置調整を終えた後に、接合部分を埋めるようにしてコンクリート固めていくのです。そうすると一つに繋がった水路になります」

「ほう」

「そしてそれを繰り返していくことで、街中に繋がった水路を配することが出来る、ということです」

「なるほどのう」


 次は水車の前に柱を2メートルの間隔を空けて3本立てる。もちろんこれも竹筋コンクリートでつくっていく。大きさとしては水路の幅と同じ大きさの断面が理想的だ。


 型枠は鉄平石(テッペイセキ)で、水車から水がこぼれ始める程度の高さまで鉄平石(テッペイセキ)を積み上げていく。


 そして積み上げた鉄平石(テッペイセキ)で囲まれた空洞に竹筋を挿入し、コンクリートを充填していく。この時、竹筋は積み上げた鉄平石(テッペイセキ)よりも少し飛び出す程度の長さを確保しておく。


 そしてコンクリートで作った水路を二本繋げたものの両端部が2本の柱に乗るように配置する。コンクリートはデリックを改造して簡易的に移動出来るものを利用して揚重していった。

 そしてもう1本の柱と水路が乗っている柱とを繋ぐようにして、水路をさらに配置する。


 この時、水路同士の接合部が柱から飛び出した竹筋に水路の竹筋が重なり合うようにして配置することが大切だ。

 そしてこの接合部をコンクリートで埋めていく。そうすれば柱と水路が一体化し、高い強度を得ることが出来る。


 そしてこの作業をひたすらに繰り返して、街中に水路を配するのだ。

 しかし、これだけの事業が一朝一夕で終わるはずもない。

 あとの作業はファティマの配下に任せて、俺達は進捗を見守ることにした。

お読みいただきありがとうございます!


面白いな、続きが気になるなと感じていただけたのならば、是非とも『ブックマーク』や『評価』をいただけると嬉しいです!


評価はページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップ、もしくはクリックしていただければ可能です。

今後も面白い話を提供させていただきますので、是非ともブックマークで追いかけていただければと思います!


引き続き応援をよろしくお願いします!!

ご意見・ご感想もお待ちしております。どうぞお気軽に!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ