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素直になれない男のプライドみたいなやつ

「なんだかんだ嬉しそうだが、何が不満なんだ? 沢山戦えてるし、娯楽だって結構あると思ってるんだが……」

「だから冒険者なのさ! Aランクだっけ? あの戦いをもっとしたいのさ!」


 あぁ、リビングアーマーのリビちゃんと共に撃退した奴らか、俺としては2度と来るなと言いたいところだが……。


「それにユキムラ達と戦うのも良いけどたまには他の奴等とも戦いたいのさ!」

「ワガママな奴だな、その願いを聞いてやりたいのは山々だがそう簡単に来てくれるもんじゃないぞ?」

「そこを何とかするのが君の仕事でしょ!」


 こやつめ痛いところを突きよるわ。


 よっぽど退屈なのかミストはギャーギャーと騒ぎ立てる。ユキムラでも連れてきてやろうかと思ったが今日は訓練は休みで非番らしいから無理に呼ぶのは止めておこう。休みは大事だ。


 そんなことは見た目は子供なミストでも分かってはいるしミストも今日は本当に暇なんだろう、何故癇癪を起こしたのかは実際簡単に想像はついている。


 退屈なのは本当だと思うが何気に1年近くもこんな生活をしているのだ当然慣れっこに決まっている、暴れていたのは別の件……つまり俺を呼び出す口実に過ぎないのである。


「はぁ、建前は良いとして本音を言ったらどうだ? ラビィが俺を呼び出した時点で大体分かってるんだから」

「うぐっ……、そ、それはその……」


 先ほどの騒がしさから一変、急に年相応にしおらしくなるミストだが、お前って外見年齢と中身の年齢のギャップが一世紀違う気がするからどう判断すれば良いか分からない。


 でも死んでからも中身くらいの成長が無いわけだしやはり子供扱いでも問題ないな、むしろガキ扱いでも十分だろう、そうしよう。


「さて共犯者のラビィよ、情状酌量の余地を3秒だけくれてやる。3、2……」

「ミストがクロトと遊びたいんだってさ!」


 ラビィは自白した。それはもう何の躊躇いもなく売れないと評されていたバンドマンが急に売れたときになって掌を返すレコード会社の如く鮮やかにだ。


 お前って奴は本当……ミストの顔見てみろよ、俺が「共犯者」って言った時点からアイコンタクト送ってたぞ当然のごとく無視しやがって驚き通り越して真顔だぞアイツ。


「何で言うのさ!?」

「えー? 遅かれ早かれバレてたじゃーん」


 被告人ラビィ面倒くさがって即ネタばらしである。


「変なプライド持ってるミストが悪いよね、クロト?」

「ここで俺に振るかね?」


 まぁ確かに素直じゃないのはミストの持ち味と言うか、それは個性として認めてあげても良いんじゃないか? 女子と違って男子は素直になれない生き物だぞ、知らんけど。


「まぁ兎に角遊びたいと言うことだな、よし何する?」

「クロト、君は本当にあっさりしてるのさ」

「元々だ」


 うーむ切り返しは早いとかはたまに言われてた気がするがそんなことはどうでも良いだろう。


「と言うか何で分かったのさ!?」

「簡単な事だ、もしお前が暴れまわった場合運動能力がゴミなラビィが逃げ切れる筈がない、【転移】を使う前に塵になるだろう」

「私の評価低くない!?」


 そんなことはない、ラビィと俺の身体能力はどっこいどっこいだ。つまり俺の評価でもありどちらにしろゴミなのだ。あれ、評価低くない!?


「それとこの家だな、暴れたにしては綺麗すぎだ。この部屋は何も壊されてないし、傷が付いてるのは家の外側……しかも壊れても問題ない所だったしな」

「す、スゴいのさ。僕とラビィの渾身の演技を見抜くだなんて」


 お前のは演技ではないと思う。あと相談する相手間違えてます、イチゴミルクで脳みそドロッドロの奴に相談しても甘い作戦しか出てこないぞ。


「お、お見事なのさ」

「なぞなぞよりも簡単だった」

「ひどい……」


 そんなことは置いといて。


「で、どうする?」

「ふふ、今回こそは勝たせて貰うのさ」


 やたらと自慢気な顔をしているミストだが、その台詞は何度も聞いているので実質無視で問題ない。


 因みに俺とミストのゲームにおける勝率は俺が9割位だな、残りの1割はお情けで勝ちを譲ってます。だって泣くんだもの。


 大概が俺の持ち込みだからなぁ、そりゃ勝つわ、ミストは初見でやるようなものだし……俺イカサマとか普通にやるし。


 反則だって? バレなきゃ良いと思うの。


 元の場所にいたときもクラスメイトと賭け事ではイカサマ使いまくって負け無しだったしバレることもなかったからな、ただし山田の奴には何故かバレた。おまけにイカサマ使っても勝てないとかあいつ絶対チーターだろくそが。


 会うことは2度とないとは思うが山田と戦うことになったら間違いなく負けるだろうな、普通の戦いなら。まさか夢で見た勇者になって攻略に来たりしてな、あっはっは。んなわけないか。


「自信満々だな、その様子じゃミストの持ち込みか?」

「ふふん! その通り、今回は僕の企画をするのさ!」

「ほほう、それはそれは。物騒なのは止めてくれよ?」


 何をするのかと問う。


「殴り合いをするのさ!」

「物騒じゃねぇか!」


 2秒前の台詞を思い出せよ、ラビィよりも頭が悪くなったらいよいよ末期だからな!?


「え、ダメ?」

「よーしお前がバカだと言うことは分かった。脳みそ筋肉め」


 このダンジョン脳筋しかいないのか、だれかまともな奴を仲間に欲しいよ……。


「他にはないのか?」

「ないのさ」

「ないのか……」


 帰りたい、もういっそのこと帰って寝たい。


「うーん、そうだな。ならこうしよう、侵略ゲームだ」

「侵略ゲーム?」

「クロトどゆこと?」


 俺が提案したのは1種のストラテジーゲーム。チェスや将棋なんかをイメージしたいところだ。


「えーとそれぞれで戦力を用意してその戦力での陣取り合戦みたいなもんだ、ホブゴブリンとオーク達の戦いの時と同じだ」

「あぁ、旗取りの奴だね?」

「そうだ、ただ少し違うのは攻める側と守る側に別れる事だ」

「それって片方はずっと守って片方は攻めるってこと?」

「お、察しの良さだけは良いな、イチゴミルクをやろう」

「わーい、バカにしてない?」


 無視だ。

 

 そこから更にルールを切り詰めていく。


 指揮官である俺とミストを抜いて選抜出来るのは15人で行うタワーディフェンスをやろうと思っている。


 自分の戦力は自分で集めること、指揮官は戦闘に参加することは出来ず指示をとばすのみ攻撃側にミスト、守備側が俺と言う事にする。


 ついでにラビィはミスト側に行って貰うことにしよう、あいつらの頭2つ分で漸くまともに作戦が作れるだろうし。


 フィールドはあまり使われていない村エリアよりも下の階層を5つ使って行う事にしよう。この5つの階層の何処かにダンジョンコアのダミーとなるダミーコアを守備側が任意で設置し、罠を張り巡らせて攻撃側の妨害をする。


 勝利条件は攻撃側がダミーコアの破壊、守備側は3時間守れば勝ちとしよう。ダンジョンって広いからな、この位の時間が妥当だろう。


「ふっふっふ、クロト、私とミストを一緒にしたことを後悔すると良いよ」

「君に敗北を教えてあげるのさ」


 余裕綽々な笑みを浮かべるアホ二人だが、確かに後悔するかもしれないな、主に混ぜるな危険的な意味で。


 ただ調子にのられてるのも癪なのでこっちも煽っておこう。


「あぁそうだな。後悔するかもな? あっさり勝ちすぎて詰まらないって」


 嫌なやつが浮かべそうな笑みを逆に返してやる。


「ぬぐぐっ、普通にムカつく……!」

「絶対ギャフンって言わせてやるのさっ!」


 耐性0かよ、分かりやすいな。


「あ、このバトルでは俺は念話以外は使わない。ラビィにも後で念話は渡しておくから利用してくれあとモニターもありだ、俺が権限をフルに使うとボコボコにしちゃうしな」

「「絶対勝つ!」」

「開始は3時間後、こっちで合図しよう。じゃ解散」


 俺に勝つと息巻いたミストとラビィは早速仲間集めに走った様だし俺も15人選抜するとしようか。


 あと使用するエリアの罠も作っておこう。

いよいよ始まる、ワガママから始まる異世界バトル

ミストの運命やいかに!?


あ、感想と評価お待ちしております

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