表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星詠みの調律師(アストラル・チューナー)  作者: じょんどぅ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/42

### 第4巻 第四章:ノイズを飼いならす

### 第4巻 第四章:ノイズを飼いならす


シノから送られてきたデータの奔流は、僕の端末を限界まで加熱させ、煙を上げさせていた。それは彼女が管理官のシステムを食い破るための「ウイルス」であると同時に、僕たち二人の記憶と感情が混ざり合った、あまりにも重い「歌」だった。


僕は決断した。物理的な体という制約を捨て、このデータの奔流そのものに自らの精神をダイブさせる。


管理官たちは、音楽を「制御可能な信号」として捉えている。彼らのシステムは、一定の調和を保つための強固なフィルタリングで守られていた。しかし、彼らは一つだけ見落としていた。音楽とは、本来、予測不可能な「ノイズ」の塊であることを。


僕は、自身の精神をコードの羅列に変換し、シノのウイルスと共に管理官のメインコアへと飛び込んだ。


視界が一変する。

そこは、幾何学的な光が支配する冷徹な仮想空間だった。管理官たちが流す「完璧な音楽」が、美しい幾何学模様となって空間を埋め尽くしている。


僕は、その幾何学模様に触れた。

指先ではなく、意識のすべてを衝突させる。僕は自分の心臓が刻む、あの「揺らぎ」を全出力で再生した。


「調和なんて、必要ない」


僕の旋律が、管理官たちの完璧な音楽に混ざり込む。

彼らの音楽がノイズで塗り替えられていく。均一だったリズムが歪み、計算され尽くした旋律が崩壊し、混沌とした不協和音が空間を支配し始める。


管理官のシステムが悲鳴を上げた。彼らが「音楽」と呼んでいたものは、僕が加えた些細な、しかし決定的な「不協和音」によって、その無機質な秩序を維持できなくなったのだ。


「ノイズを飼いならす? 笑わせるな」


僕はシノの断片と共鳴しながら、さらに深く深層へ潜る。

管理官のプログラムが僕を排除しようと襲いかかってくるが、それら全てを僕は「音楽」として吸収し、変換していく。僕にとって、このシステム内のあらゆるデータは、楽器に過ぎなかった。


僕は、この巨大な管理システムそのものを、僕たちのための新しい楽譜へと書き換えていた。


---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ