1.魔女の生き様
私の人生は孤独で始まった。
生まれてすぐに、今いる場所は自分の家ではないと理解した。豪華な部屋、美しい人たち、それでいて私に対する態度には、まるで嫌悪や憎しみが抱かれていた。
「そろそろこの子は塔に送られるわね」
ある日、侍女が部屋の外で言っていた言葉だ。盗み聞きをしていたわけではない。聞こえてしまった。その時、私は5歳だった。そんな幼いにも関わらず、「追放」という言葉がすぐに頭に浮かんだ。
それを聞いた数日後、馬車に乗せられ、大きく聳え立った塔についた。周りには草原が広がっている。けれど、生き物は1匹も見えない。ただ、風が吹いている中に、どっしりと塔が建てられていた。
その中に無理やり入れられると、御者は馬車の音を大きく立て離れていった。数分間、入り口の前で突っ立っていた。
「そっか………」
それが、私が出せた言葉だった。悲しい。寂しい。けれど涙は我慢した。なぜか、人前でなくても泣くことは恥ずかしかった。
そして入り口から出ようとすると何かに弾かれた。結界だ。私を塔に閉じ込めるための。仕方なく、塔を登って、一つ一つ部屋を確認していった。
中は、1人で住むには充実しすぎていた。塔の外見に対し、部屋が大きい。きっと、昔の魔女がこの塔に住んでいたんだろう。
その日はまだ昼だったが、ご飯も食べずにベッドで眠った。
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朝起きると、自分でも不思議なことに何も違和感は感じなかった。「塔の中だ」それしか思わなかった。とりあえずと思い、図書室らしき場所で本を読む。文字は習ったことがなかったので少しずつ。
1人なのでお腹が空いたと思うまで本を読み続けた。お腹が空いたら、お腹が膨れるまでご飯を食べ、また本を読む。そんな日が数ヶ月続いた。
ある日、図書室の本を全て読み切った。けれど、他にも本はたくさんある。図書室で過ごしている間に、それなりに体が大きくなった。王宮での環境は悪く、子供が育つような場所ではない。塔に来て、普通とは遠く離れていても、王宮よりはマシな生活だった。
それから一ヶ月、一年、三年、どんどん年月が過ぎていった。季節に移り変わりを楽しんだり、勉強をしたり、新しいものに挑戦したり。時間がたくさんあり過ぎた。毎日が同じような日常。けれど、たまに違う日常が来る。それが楽しかった。
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そして何十年と歳月が過ぎ、私の体は老体。もうすぐ死ぬ。後悔などはなかった。ベッドから起き上がることも困難で、食事は体調が良い時に、数日分ベッドの横に置いておいた。
誰とも触れ合わなかった日々。それが私の運命なんだと幼い頃から理解していた。けれど、自然と言葉が漏れた。
「最後ぐらい、自由になりたかった……」
そんな私の幼い口調に、つい笑って、死んでいった。
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そして、私が人生をやり直したのは、塔に連れて行かれた日だった。




