プロローグ
魔女。
それは強大な力を持ち、人々を脅かす存在。そう言い伝えられている。
けれど、私が仕えていた主は、優しく穏やかな、言い伝えとは反対なお人柄だった。
それなのに、人々の「魔女」や「魔女の血筋」に対する思いは、どんどん嫌悪感や恨みに変化していく。その思いによって、主は塔に閉じ込められていた。
一度だけ聞いたことがある。主は人生をやり直したそうだ。私たちに会ったのは2回目の人生。1回目の人生は一生を独りで塔の中で過ごされたという。
今から私が話すのは主の2回目の人生。私たちに出会い、自由になる物語。
主はすでにこの世にはいない。けれど、主人の一生を、語り継ぐものがいなくても、後世に残ることさえできれば——
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主は生まれてすぐに両親を亡くされた。そして、ある程度王宮で育てられると、1人、塔の中に閉じ込められた。
「なぜ塔から出てはいけないのか」、「私が何をしたのか」そんな疑問を抱えても、質問できる相手さえいない。主は「孤独」だったと言った。
それからの生活は規則的になったという。決まった時間に起きて、決まった時間に勉強する。寝る時間だけは毎日違って、いつも寝不足だったそう。
「その生活は飽きないか」
そう主に聞いたことがある。主は「楽しい」と答えた。ただ、それだけしか答えなかった。楽しかった。楽しかったのだろう。
けれど、楽しかっただけだ。
主は長生きしたらしく、100歳は超えていたそう。主は1人の生活に、自身の年齢や誕生日、いろいろなものを忘れてしまったのだそう。
『一度だけ自由になりたかった……』
そう言って、主は亡くなった。看取る人物なんかおらず、死体はどうなったのかはわからない。
誰とも接することなかった人生。100歳を超えていても、主は幼い口調だったそう。
それから、私たちと主都の物語が始まった。




