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優夜と花  作者: 瑞代 杏
15/18

14.買い物に行こう


「花ー」

「はい? なんですか、優夜?」

「花は夏服持ってるのかー?」

「夏服ですか? んー……花が持ってきたのは春用のお洋服ばっかりですね」

 春用じゃ夏だと少し暑いかもな……ちょうどいいな。

「そか。んじゃ、買いに行くか。俺もちょうど夏用の服欲しかったしな」

「はい、分かりました」

「よし、さっさと行くべ」

「はい。あ、優夜? どこに行くんですか?」

「近所のは微妙だから、デパートだな」

 面白い服なら置いてるんだが、俺も花も普段着にしていいような代物じゃねぇしな、アレ。

「分かりました。それじゃ、したくしてきますね」

「おう」

 あらかじめ着ていく服を選んでいたのか、花はすぐに降りてきた。

 何でそれにしたかは知らんが、文字Tシャツは別として……水玉のふんわりスカートとポーチは実にそれらしく、お子様らしい格好だった。

 文字Tの『裏路地』には突っ込んだほうがいいんだろうか……?

「どうですか、優夜?」

 花がファッションショーのモデルのように、その場でクルリと一回転してみせる。

「あ、ああ……似合ってるぞ」

 とりあえず、花から目を離さないようにしよう……マジで裏路地に連れてかれかねんわ……色々な意味で。

「んー? びみょうに目が泳いでた気がしますがありがとうございます。それじゃあ、そろそろ行きましょう?」

 さすが花……鋭いな。

「俺も準備オーケーだ、いこべ」


「わ、大きいですね」

「ああ、この辺じゃ一番大きいデパートだな。5階が服売り場だから離れんなよ?」

「はーい」

 ぎゅー――

「だからって裾を掴むな裾を! 掴むなら手にしてくれな……」

「はい、優夜」

「そう、それでいいんだ。じゃ、5階に行くぞ」

 本当はちょい恥ずかしいし、あまり良くないんだが……迷子になられても困るしな。

 エスカレーターに乗って5階まで行ったが、花も知っているモノだったらしく、エレベーターの時と違ってそれほど騒がなかった。

 5階についてすぐ、目的の服屋に着いた。

「ここは隣が子供服売り場になってんだ。俺はこっちで服選んでっから花も選んできな」

「はい、分かりました」

 とてとてとて――

「……さて、どれにしようかね」

 色々迷ったが、カッターシャツにジーンズと後はTシャツなど無難なヤツを買った。

 支払いを済ませて、と……花がこっちに走ってきたが、手に持ってるヤツは……――

「優夜、こんなのはどうですか?」

「……花」

「はい?」

 ポカッ!

 とりあえず、拳骨を一発くれてやる。

「いたっ!? たたきましたね!? お父さんにもたたかれたことなかったのに!!」

「お嬢ちゃんだからさ――って、そんなことはどうでもいいわ! ガキ用のボンデージなんかどこから持ってきたんだ!? あぁ!?」

「どこっていわれても……そこの服屋さんにおいてありましたよ?」

 ヲイ……ボンデージ置いてる服屋ってどんなンだよ!?

「いいから置いてこい……」

「分かりました」

 戻ってきた花が代わりに持ってきたのは、水色のサマーワンピースとちょっとしたパーティにも着ていけそうな子供用のお出かけ服とTシャツや小物数点……まぁ、これならいいだろう。

「それでいいのか?」

「はい、花はこれでいいです」

 レジで支払いを済ませて、受け取った袋を花に渡してやる。

「ほらよ」

「あ、ありがとうございます……優夜」

 それを大事そうに抱きしめる花。

「気にすんな。次はどこ行くかー」

「んー……あ! 優夜、お人形さんが売ってます!」

 そういえば、このフロアには服の他に人形関係の売り場があったな、7階のおもちゃ関係フロアじゃないのが謎だが。

「ん? ああ、見ていくか?」

「はい、少しだけ……」

 少しだけと言いながらも花の目は輝いている。

 人形が好きとか、やっぱ年相応の女の子なんだな。

「わぁ、かわいいお人形さんがいっぱいです!」

「そうだな……花、俺ン家来てからゲームばっかやってるだろ? 買ってくか?」

「ええっ!? い、いいですよ……安くないですし」

 花が慌てて首を横に振る。

「気にすんな。どれだ?」

 先日も言ったが、俺は高校生にしてはあり余るくらいの小遣いを貰っている。

 確かに安いものではないが、人形くらいわけないし、自分の子供にプレゼントをあげると考えれば何の問題もないからな。

 ……別に子供が欲しいわけじゃねぇからな?

「そ、それじゃあこの子を……」

 花が指差したのは、花が胸に抱いて収まるくらいの西洋風の人形だった。

 着ている服がなんとも……花らしいチョイスだな。

「よし、じゃそれ持ってレジ行こうな」

「はい、ありがとうございます……あ、優夜! これどうですかっ!?」

「ん? なになに……」

 レジに並んでるとき、花が妙にはしゃぎだしたのでそれを見てみると――

「――あなたの携帯のバイブレーションに反応してカワイイお人形さんが声を出します、か。面白そうだな、買ってみるか」

「はいっ、花もおもしろそうだとおもいいます」

 機能もそうだが、雑な作りだがシンプルな人形が気に入った!

 男の持ち物じゃねぇが、気にするほどのことでもねぇだろ。

 代金を支払って早速携帯にストラップを通して人形を付けてみる、花は花で大変ご満悦のようだ。

「さて……そろそろ昼だし、メシにするか。花は何が食べたいんだ?」

「んー? 花はなんでもいいです、優夜におまかせします」

「そか。じゃ、とりあえず――」

 8階の食事処フロアに行こうとしたら携帯が震えてどこからか声が聞こえてきた……が――


『オイ、メールが着たぜ』←とても汚い声


 ……あん?

「花、何か言ったか?」

「んー? いえ、花はなにもいってませんよ?」

 だよなぁ、てかどう聞いても花の声じゃなかったしな……。


『オイ、メールが着たぜ』←すごく汚い声


 ……また聞こえてきたぞ。

「さっき、なんか変な声が聞こえなかったか?」

「優夜もですか? 花もなんか変な声ききました……」


『オイ、メールが着たぜ』←のれそれ汚い声


「……もしかしなくても、これか?」

 携帯に付けた人形を確認してみる、ゴノレゴよりも酷い声がソレから出ていた……。

「そうみたいですね。少しがっかりです……」

「だな……まぁ、これはこれでいいか」

 人形自体にもマナーモード機能が付いてるし、声を除けば悪いものじゃないしな。

 その後、俺と花は8階のレストランで楽しく喋りながら、景色を眺めながら昼飯時を過ごしたのだった。




 ――帰宅後のお話。

「さぁ、今日からあなたは花の家族ですよー、臓物太郎」

「オイィ! 今シャレにならん名前が聞こえたんだが!?」

「んー? いけませんか? じゃあ……髑髏吉右衛門で」

「却下だ! というか、なんで男みたいな名前なんだよ!?」

「んー……じゃあ、臓物腐乱子で」

「いい加減臓物から離れろっ!!」


 残念!! 花のネーミングセンスはゼロだった!!

文字T面白いですよね、良いものがあったら着たいところです。『淫乱』とか『肉奴隷』とか(嘘

花の人形はドールリケのDタイプに近いものになります、それより少し大きめですが。

というか、『のれそれ』って一般の人分かりませんよね?(汗

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