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第28話 契約の口づけ
「……傲慢なご提案ですこと、判事閣下」
私は胸元の手鏡をそっと指先で押さえ、悪戯っぽく微笑んだ。
「私の鏡で、閣下の本音を覗いて差し上げましょうか?」
「覗くまでもない」
ヴィンセントは私の手を引き寄せ、自らの胸元へと当てさせた。
厚い法官服越しに伝わる、狂おしいほどに激しい心臓の鼓動。
「私の魂のすべてが、君を欲している。……嘘だと思うなら、法廷で証言してもいい」
「ふふ……判事の偽証罪は重いですわよ」
私の唇から漏れた笑い声を、男の熱い唇が奪い去った。
夜風の中、星空の下で交わされる、深くて甘やかな口づけ。
冷え切っていた私の過去のすべてを、熱い情熱が溶かし去っていく。
私は男の逞しい首筋に手を回し、自らその熱さを受け入れた。




