第21話 ガラス越しの告白
『……ん、アルフレッド様、くすぐったいわ』
『エリス、君は本当に愛らしいな。あの陰気なクララとは大違いだ』
広間中の三十枚の大鏡に、大音量で響き渡る男女の甘ったるい声。
映し出されたのは、父の旧書斎のソファで、半裸で抱き合い、熱烈に舌を絡ませるアルフレッドとエリスの姿だった。
貴婦人たちが扇子で顔を覆い、貴族たちが目を丸くする。
映像は途切れない。
鏡の中のアルフレッドが、青い毒瓶を掲げて冷酷に笑う。
『大夜会の最中、君のグラスに微量の痺れ薬を入れて倒れてもらう。「クララが妹を毒殺しようとした」という完全な現行犯の出来上がりだ』
『あんな愚図な女、早く消えてしまえばいいのよ!』
さらに、別の鏡には、下男が私の部屋に毒瓶を仕込む現場の映像。
そしてもう一枚の鏡には、エリスの部屋のドレッサーの宝石箱がクローズアップされ、二重底の奥に隠された「本物の毒瓶」が鮮明に映し出された。
「う、嘘だ……! 何だこれは! 何の幻術だ!」
アルフレッドが狂ったように叫び、耳を塞ぐ。
「幻術ではありません」
ヴィンセントが冷酷に宣告した。
「古代遺物『真実の反射鏡』による、過去の光彩記録の完全再現。王立魔術院および司法院の鑑識により、一切の偽造が不可能な絶対証拠として公認されているものだ」




