↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の鏡は知っている 〜やられっぱなしの気弱令嬢、毒親と不実な婚約者をガラス越しに公開処刑いたします〜  作者: しの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/28

第11話 義妹の夜這い計画

大夜会の二日前。

屋敷の中は、エリスの衣装合わせで朝から大騒ぎだった。


「お母様、見て! このルビーのネックレス、アルフレッド様が前祝いにと贈ってくださったのよ!」


サロンの中央で、胸元を大きく開けた真紅のドレスを着たエリスが、鏡の前でくるくると回っていた。

首元には、大粒のルビー。しかし、その輝きを一目見ただけで、私は心の中で吹き出しそうになった。


(……アルフレッド様、本当にお金がないのね)


手鏡を通さずとも分かる、粗悪なガラス玉に金メッキを施した模造品。

しかし、手鏡をかざすと、さらに愉快な事実が浮かび上がった。


『鑑定結果:模造ガラス。原価・銀貨三枚。……なお、アルフレッド・ランカスターは昨日、本物のアンバーク家伝来ルビーを質屋に入れ、三千ゴールドの借金返済に充てています』


私の母の形見のルビーを質に入れ、浮気相手の義妹には銀貨三枚の偽物を掴ませて悦に入っているのだ。

まさに似た者同士、お似合いの道化だった。


「クララ、何を突っ立っているの!」


ガートルードが睨みつけてくる。


「お前は夜会には出ないのだから、エリスのドレスの裾のアイロン掛けをしなさい!」


「ええ、喜んで」


私は素直に頭を下げ、ドレスの裾を受け取った。


その日の深夜。

屋敷を抜け出そうとするエリスの足音が、再び手鏡に捉えられた。

彼女が向かったのは、またしてもアルフレッドの待つ馬車。


手鏡に映し出された馬車の中で、エリスはアルフレッドの膝の上に跨がり、甘ったるい声を上げていた。


『ねえ、アルフレッド様。夜会の後……あの女が捕まったら、すぐに私の部屋へ来てくださる? お母様には内緒で、祝杯をあげましょうよ』


『ああ、もちろんだとも。あのみすぼらしいクララが衛兵に引きずられていく様を見届けたら、君を本当の伯爵夫人として抱いてやる』


二人は人目を憚らず、馬車のシートの上で乱暴に唇を奪い合っていた。

その乱れた吐息、エリスのドレスがはだける様子、そして二人が交わした下劣な会話のすべてが、手鏡の水晶核の中に「動かぬ刻印」として克明に刻まれていく。


(ええ、祝杯をあげましょうね。……鉄格子の向こう側で)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。