ラストダンジョン②
「次の扉を開けるぞ」
真ん中の黒い扉を開けると、前の扉と同じで中は見えず転移するタイプだった。
「よし、準備はいいな」
エレオノーラさんが最初に入って行き後を追う。
暗闇を抜けると岩窟へと転移する。
そこに待ち構えていたのは、10m近い巨大な胴体に9つの首を持つ蛇の様な生き物であった。
「ヒュドラだな」
「コイツは成体だな。次は簡単にいかないだろうなぁ」
グリートはニヤニヤしており、またもや戦闘には参加しなさそうである。
「前と同じ作戦でいい?」
「あぁ、オルフェが魔法で相手のターゲットを取り、私とリッヒとイルートで攻撃をする」
「しかしヒュドラと言えば、あの特性が・・・・・・」
「先程の件を考えると1度倒してしまえば扉が現れるのでは無いでしょうか?」
「皆んな、危ないよー」
作戦を立てているとヒュドラから9個の火の魔法が飛んで来て散り散りになる。
部屋の隅で邪魔にならない様にしている俺とホープ。
サボっているグリートにヒュドラの特性とやらを聞く。
「さっきのケルベロスと同様基本的には不死身だ。1つの首を斬り落とした所ですぐに生える」
実際にエレオノーラさん達が首を斬り落としているが、瞬時に新たな頭が生えてきている。
「そんな奴どうやって倒せって言うのよ」
「1つで駄目なら9本まとめて斬り落とせば良いだけだ」
簡単に言うが、9本それぞれが縦横無尽に動き回っていてまとめるのは難しそうである。
それなら体を真っ二つにしたらどうなのかと考えていたが、丁度エレオノーラさんが実践したところ斬られた瞬間に斬れた体がくっ付いて元通りになっていた。
その後ろで、リッヒさんが慌ただしく動き回っているが何をしているのだろうか。
「前世でも似た様な怪物を倒した伝説はあったけど、その方法は使えないのかな?」
「ほう、言ってみろ」
「8つの首を持つ蛇の怪物に強力な酒を飲ませて酔って寝た所を倒したとか」
「ハッ、そんなので倒せたらどれほど楽な事か」
グリートはバカバカしいと一蹴する。
試そうにも酒は無いし、戦闘も始まって警戒されているので無理だろう。
「皆さん、一度下がってください!」
リッヒさんが指示を出すと攻撃を止める。
そして、ヒュドラを誘き寄せると急に9つの首が一纏めになる。
「糸か」
「何とか気付かれずに張り巡らせる事が出来ました」
ロスさんから教えて貰った技で、ヒュドラの首をガッチリ締め付ける。
「あとは御三方に任せます」
「あぁ、任せろ」
ヒュドラを抑えるリッヒさんを除いた3人が一斉に9つの首を斬り落とし、ドシンと倒れて動かなくなる。
「扉が現れました」
ヒュドラの奥に黒い扉が現れる。
「復活する前に早く行こう」
「倒したんじゃないですか?」
「不死身だと教えただろう。10分程度でまた全部の首が生えてくる」
「倒す術は無い?」
「あるが疲れるから今は無理だな」
「どういう事です?」
「首と同じ回数倒せば良いんだ」
「つまり9本の首を9回も・・・・・・」
「しかもそれを1日以内でやらないと、また最初からになるんだ」
「確かに面倒ですね」
「それに今回の奴はアタリの個体だな。強力な毒液を吐く奴なんかもいる」
「あのそろそろ移動した方が良さそうです」
ヒュドラを見るとピクピクと動き出し始めていたので、すぐに扉を潜り元の場所に戻る。
「よしこれで二つ目はクリアだな。次は白い扉か」
「早く終わらせましょう」
リッヒさんも意気込み白い扉を潜ると真っ白な部屋に出る。
「何か居るか?」
「気配は感じません」
「ねぇ、あそこに扉あるんじゃない?」
ホープがドアノブに気が付いて指をさす。
扉自体は部屋と同色で一体化しているが、ドアノブは銀色であったのですぐに見つけられた。
「何の部屋なんだろうな?」
「休憩スペースでしょうか?」
「いやいや魔王城なんだから、そんな優しいもの無いでしょ」
確かにとオルフェさんの言葉に頷く。
何も無いならと扉を開けて部屋を出ようとした時、
「ん?」
グリートが何かに気付いた様に小さく声を漏らす。
「何かあった?」
「いや、何でもない。先に進むぞ」
絶対何かあっただろうに教えてくれず諦めて扉を潜る。
「どうやらまだ続きそうだな」
扉の先は青、緑、黄色の3つの扉が並んだ部屋になっておりダンジョン攻略は続きそうであった。




