ラストダンジョン①
ホープの願いで、ラストダンジョンと呼ばれる魔王城へと向かう俺達。
メンバーは、エレオノーラ、オルフェ、リッヒ、グリート、イルートの5名である。
「本当にこの道で合っているのか?」
「大丈夫、大丈夫」
黒い葉に黒い幹の不気味な木が生えた森をかれこれ2時間は彷徨っている。
今の所、魔物と遭遇したりと危険な事は起きていない。
「そろそろだと思うんだけどなぁ」
「ねぇ、本当に大丈夫なのよね?こんな所で迷って死ぬなんて私は嫌よ」
「そこはコタケ君の転移があるから大丈夫だよ」
「大丈夫なんでしょうね!」
オルフェさんの言葉にホープは俺を見ながら確認するので頷いてみせる。
「しかし、ここまで歩いても見つからないとなると」
「あぁーーー!」
先頭を行くオルフェさんが声を上げる。
まさか本当に道を間違えたのではと思い背中から覗き込んでみると、森を抜けた開けた場所に真っ黒な城がそびえ立っていた。
「あれだよ!あれ!」
「ラストダンジョンと言う呼び名に相応しい不気味さですね」
空は曇り夜の様に暗くなり、冷たい風が吹き荒れている。
ひとまず閉ざされている門の前までやって来る。
「もう一度確認するが、皆準備は出来ているな?」
エレオノーラさんの確認に全員が頷く。
「じゃあまずさここの開け方だが、誰か知っている者は?」
「エレオノーラちゃんも分からんのかい!」
「オルフェこそ何で知らないんだ」
「こういう所は勝手に開かれなりしますが」
「面倒だ壊せば良いだろう」
「皆様、こちらをご覧下さい」
皆んなで話し合っているとイルートが何かに気が付く。
そこには鍵穴があったのだ。
「まぁ、魔王城だから家でもあるしそうだよね」
「でもこの穴の大きさなら・・・・・・」
俺は鍵穴とホープを見ながら言う。
「ちょっと待ちなさいよ。こんな得体の知れない場所に私を突っ込もうって訳!?」
「言い出しっぺなんだし、少しは貢献しないと」
「わ、分かったわよ」
ホープが鍵穴に上半身を突っ込みガチャッガチャッと音がすると、門が音を立てながら開く。
「これでいいわけ?」
汚れで顔が黒くなったホープをイルートが即座に拭く。
「ありがとう」
「あとはアンタ達に任せるわよ!」
エレオノーラさんが先行して城内に入ると、ボッボッボッと松明に火が灯っていく。
中は広くシャンデリアや調度品が置かれたエントランスで、ここでも魔物の姿は無い。
しかしその代わりに中央には赤、黒、白の3つの扉が右から順に並んでいた。
「怪しさ満点」
「だがこれがここを攻略するのに必要なんだろう」
「どれから入りましょうか?」
「赤と黒は危険そうですね」
「白が安全とは限らんがな。私なら逆に白を危険にするな」
「悪い性格ですね」
「邪神なものでな」
「無難に右の赤から入っていくか」
エレオノーラさんの案で右の扉を開けるが、中は真っ暗で先が見えない。
「どうやら転移させられる様だな。私の後に続いてくれ」
まずはエレオノーラさんが入り、皆んなで後に続いて行く。
真っ暗な空間を通り抜けると広間になっており、そこに赤い毛並みで3つ首の犬が寝ていた。
入って来た筈の扉も消えている。
「ケルベロスか。あれは地獄の生き物の筈だが何故こんな所に居るんだ?」
グリートが首を傾げる。
「生きているのでしょうか?」
リッヒさんがそう言うと、スンスンと鼻を鳴らしたケルベロスが目を覚まし立ち上がる。
「貴様らアレをただの犬と思うなよ」
「グルゥゥゥゥ」
体長は5m近くあり、口から炎を出しながらこちらに向かって来る。
「私が止めるから皆んなで頑張って」
オルフェさんが魔法で撹乱する。
「おー頑張れー」
グリートは呑気に観戦に回る。
ケルベロスが吐く炎をオルフェさんが氷魔法で凍らせ、その隙にエレオノーラさん達が攻撃を加える。
「なんか弱いな?」
ケルベロスの強さに疑問抱くグリートであるが、戦っているメンバーも疑っているようだ。
戦闘を始めてから5分程度でケルベロスはボロボロである。
「一斉に行くぞ」
エレオノーラさん、リッヒさん、イルートの3人が動きの止まったケルベロスの3つの頭を切り落とす。
「グルゥ」
首がゴロゴロと転がり生き絶えたかと思いきや、体へと戻りくっ付いて元通りになる。
「グルウゥゥ」
しかも先程よりもワンサイズ大きくなっている気がする。
「あぁ、なるほど。コイツまだ幼体だな」
グリートが気付いた様に言う。
「そういう事は早めに言ってよ。どうやって倒せばいいの?」
「天使でも連れて来て浄化するんだな。物理で倒せん事は無いが何回倒す事になるかは分からん」
全員でグリートをジッと見る。
「私は違う」
転移でケフィリアを連れて来ようにも、今日は出掛けていて不在なのだ。
「皆様、ケルベロスの後ろに先程の赤い扉が現れています」
イルートが気付き、そこを目指す事にする。
「足元固めたから今の内に!」
オルフェさんが魔法で足止めをして動けない内に横をすり抜けて扉に辿り着く。
「ふぅ、何とか逃げ切れたわね」
「何故幼体かは分からんが弱くて助かったな。成体だとこうも簡単にはいかん」
「でもそんなヤベー奴はクリアしたんだし、後の2個の扉も大丈夫でしょ」
「オルフェ様、それはフラグという物です」
少々不安になりつつ、次の黒い扉を開くのであった。




